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弥生の章
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「ああ、何でも言うことを聞く、言ってくれ」
近藤は三度頷いた。百合香の目は真摯な光を帯びて近藤を捉えている。
「あの四人の女子とは普通の会話はいいんだけど、このことに関しては一切何も言わないこと」
何で、と言う顔で近藤はわたしたちを見た。
「オンナ同士の喧嘩だからよ。あんたらもうまいこと言いくるめられてこんなこと、したんでしょ? ま、欲もあったんだろうけどね。でもね、相手が誰であれ、二度とこんなバカげたことはやらないように。犯罪なんだからね。万死に値するんだからね。相手が弥生だったことに感謝して欲しいくらいだよ」
百合香は近藤の腹から足を下ろして手を差し出した。きょとんとした顔で近藤は百合香を見た。しかしすぐに気がついて一瞬躊躇った後、百合香の手を掴んだ。百合香が力を込めて近藤の体を引き起こした。
「始末はわたしたちがつけるから」
自分より頭一つ分以上は大きい近藤を見上げ、胸を張って百合香は言った。
まったく、百合香はうまい。
わたしは倒れているもうひとりの体を起こし、気合いを入れた。男は咳きこんで意識を取り戻した。
「な、何だ?」
きょろきょろと見回し、男は立ち上がった。
「何だ、塚原か」
百合香はぼそりと言って、その腹に拳を叩き込んだ。
「ぐッ」
塚原は口と腹をを押さえて屈み込む。屈み込んだ塚原の髪を掴み、顔をあげさせてからもう一度腹に拳だ。
「ゲフッ」
咳込む塚原の髪をもう一度、掴んであげさせると、顔を近づけて、囁いた。
「次はない。死んだ方がマシな目に合わせてあげるからね」
訳もわからず、コクコクと頷く塚原を近藤の方に押しやって、百合香は言った。
「じゃ、頼むね。そうだ、あいつらがこのことを先輩たちにバラすって言っても無視するんだよ。わたしたちがきちんとするから」
近藤は頷いた。その目はオンナを見る目じゃなかった。
「ああ、あんたを信じるよ。弥生さん、ホントにごめん」
わたしは頷いた。
百合香が笑って近藤の肩を軽く叩き、ドアを開けた。顔だけ出し、手で合図する。
「ほら、急いで出な。誰もいないから」
「ああ、ほんとに悪かった」
「あ、そうだ、これ、忘れ物」
百合香はさっきのカメラをぽい、と近藤に投げた。反射的に受け取った近藤は驚愕の表情で百合香を見た。百合香は早く行け、と言わんばかりに面倒くさげに片手を振った。
「……サンキュー」
そう言い残してよろけながらふたりは出ていった。百合香がわたしをじっと見ている。
「何?」
「いや、も少し痛めつけるべきだったかな、と」
「そんなことより、百合香って何で近藤とか、塚原とか知ってるの」
「……勉強してるから」
「はあ?」
「手紙、ほんとは全部読んでるの。ファンクラブのことはそれで知ったし、各クラスの名簿と写真で照らし合わせて交友関係図も作ったし、実を言うと弥生が捨てた手紙も毎日読んでる」
わたしは呆れて何も言えなかった。百合香は気まずそうにわたしを見て続けた。
「だって、弥生は透ちゃんの心配ばっかして自分のことはまるで考えてないみたいだし。大体、最初に入れ替わったときに根本美輪の根性悪はわたしだって判ったのに、弥生ってば全然気がついてないんだもん」
「百合香…」
心を読まないように必死で扉を閉め続けてたから……。
「……ごめん。ありがと」
「別にいいんだよ。そんなの、感謝してほしくてやってるわけじゃないんだから。結構おもしろいんだ」
「じゃ、今日からわたしもやるから教えてくれる?」
「無理しなくていいよ」
「違うの、わたしも守りの体勢は飽きたから。それに、守るものも増えたし」
「木村、か」
「貴憲だよ」
「ホレたの?」
「わからない」
これは正直な気持ちだった。惚れていないと言えば嘘になるのかもしれない。
「だけど、貴憲が学校に来たらほっとけないと思う。そしたらまた富樫みたいなバカが出てこないとも限らないし」
「そっか、確かにそうだね。弥生姫はいまいち自覚が足りないからなぁ。そこは透ちゃんと似てるんだよね」
「そういう百合香は判ってるの?」
百合香は微笑んだ。
「弥生よりは、ね」
まいったなぁ。姉の面目は丸つぶれだ。
「さて、そろそろ行きますか」
「根本たちには何したの?」
「別に。どかないと大声張り上げて先生呼ぶって脅しただけ」
「そう」
「ビンタ一発、お返しはしたけど」
「え?」
「髪、引っ張らなかったからいいでしょ?」
平然と、百合香は言った。
「でも、あいつ泣かなかったよ。結構根性あるかも。だけど弥生がわざとぶたせてるって知ったらどんな顔するかなぁ」
「百合香……」
「なんて表情してんの」
手洗い場の壁に掛けてある申し訳程度の鏡を指さして、百合香が言った。覗くと情けないくらい悲しい表情のわたしがいた。
ああ、わたしずっとこんな表情してたんだ。
「へんな、かお」
「だめだよ、そんなかお」
肩に手をかけ、鏡の中に百合香が割り込んできた。お手本のように見事な笑顔を見せてくれる。
「ま、恋してるオンナは数倍輝くって言うから、しかたないけど」
「言ってくれる」
「さて、弥生さん、戦場に戻る前に女王様の微笑みを取り戻して戴きましょうか。何よりもそれがあのオンナに対する武器になるんだからね」
五時限目が始まる直前にわたしは教室に滑り込んだ。入った瞬間に教室は静まりかえった。ちらりと見ただけで男子たちは慌てて目を反らす。中には口を開いたままぼんやりと見ている男の子もいた。百合香直伝の笑顔の効果は絶大のようだ。
根本美輪を見ると、なるほど、頬に濡らしたハンカチを当ててわたしを見ないようにしている。百合香の一発はかなり効いたらしい。ヒロコが怯えた目でわたしを見た。わたしはヒロコを見なかった。無視して睦月ちゃんの席に行って、ありがとう、と囁いた。
「……よかった、大丈夫だったんだ」
「ま、ね。百合香が来てくれたから」
睦月ちゃんはじっとわたしの顔を見つめた。
「何?」
「元気、出たみたいでよかった」
「百合香に言われたんだ。変な顔してるって」
「変な、顔?」
「そ、変な顔。透ちゃんにも言われた。ちゃんとしろ、って」
「よくわかんないけど、藤島さんの顔で変だったら私なんてどうなんだろう」
「かわいい、かお」
わたしはそう言って自分の席に戻った。
まだ、最後の仕上げは終わっていない。
近藤は三度頷いた。百合香の目は真摯な光を帯びて近藤を捉えている。
「あの四人の女子とは普通の会話はいいんだけど、このことに関しては一切何も言わないこと」
何で、と言う顔で近藤はわたしたちを見た。
「オンナ同士の喧嘩だからよ。あんたらもうまいこと言いくるめられてこんなこと、したんでしょ? ま、欲もあったんだろうけどね。でもね、相手が誰であれ、二度とこんなバカげたことはやらないように。犯罪なんだからね。万死に値するんだからね。相手が弥生だったことに感謝して欲しいくらいだよ」
百合香は近藤の腹から足を下ろして手を差し出した。きょとんとした顔で近藤は百合香を見た。しかしすぐに気がついて一瞬躊躇った後、百合香の手を掴んだ。百合香が力を込めて近藤の体を引き起こした。
「始末はわたしたちがつけるから」
自分より頭一つ分以上は大きい近藤を見上げ、胸を張って百合香は言った。
まったく、百合香はうまい。
わたしは倒れているもうひとりの体を起こし、気合いを入れた。男は咳きこんで意識を取り戻した。
「な、何だ?」
きょろきょろと見回し、男は立ち上がった。
「何だ、塚原か」
百合香はぼそりと言って、その腹に拳を叩き込んだ。
「ぐッ」
塚原は口と腹をを押さえて屈み込む。屈み込んだ塚原の髪を掴み、顔をあげさせてからもう一度腹に拳だ。
「ゲフッ」
咳込む塚原の髪をもう一度、掴んであげさせると、顔を近づけて、囁いた。
「次はない。死んだ方がマシな目に合わせてあげるからね」
訳もわからず、コクコクと頷く塚原を近藤の方に押しやって、百合香は言った。
「じゃ、頼むね。そうだ、あいつらがこのことを先輩たちにバラすって言っても無視するんだよ。わたしたちがきちんとするから」
近藤は頷いた。その目はオンナを見る目じゃなかった。
「ああ、あんたを信じるよ。弥生さん、ホントにごめん」
わたしは頷いた。
百合香が笑って近藤の肩を軽く叩き、ドアを開けた。顔だけ出し、手で合図する。
「ほら、急いで出な。誰もいないから」
「ああ、ほんとに悪かった」
「あ、そうだ、これ、忘れ物」
百合香はさっきのカメラをぽい、と近藤に投げた。反射的に受け取った近藤は驚愕の表情で百合香を見た。百合香は早く行け、と言わんばかりに面倒くさげに片手を振った。
「……サンキュー」
そう言い残してよろけながらふたりは出ていった。百合香がわたしをじっと見ている。
「何?」
「いや、も少し痛めつけるべきだったかな、と」
「そんなことより、百合香って何で近藤とか、塚原とか知ってるの」
「……勉強してるから」
「はあ?」
「手紙、ほんとは全部読んでるの。ファンクラブのことはそれで知ったし、各クラスの名簿と写真で照らし合わせて交友関係図も作ったし、実を言うと弥生が捨てた手紙も毎日読んでる」
わたしは呆れて何も言えなかった。百合香は気まずそうにわたしを見て続けた。
「だって、弥生は透ちゃんの心配ばっかして自分のことはまるで考えてないみたいだし。大体、最初に入れ替わったときに根本美輪の根性悪はわたしだって判ったのに、弥生ってば全然気がついてないんだもん」
「百合香…」
心を読まないように必死で扉を閉め続けてたから……。
「……ごめん。ありがと」
「別にいいんだよ。そんなの、感謝してほしくてやってるわけじゃないんだから。結構おもしろいんだ」
「じゃ、今日からわたしもやるから教えてくれる?」
「無理しなくていいよ」
「違うの、わたしも守りの体勢は飽きたから。それに、守るものも増えたし」
「木村、か」
「貴憲だよ」
「ホレたの?」
「わからない」
これは正直な気持ちだった。惚れていないと言えば嘘になるのかもしれない。
「だけど、貴憲が学校に来たらほっとけないと思う。そしたらまた富樫みたいなバカが出てこないとも限らないし」
「そっか、確かにそうだね。弥生姫はいまいち自覚が足りないからなぁ。そこは透ちゃんと似てるんだよね」
「そういう百合香は判ってるの?」
百合香は微笑んだ。
「弥生よりは、ね」
まいったなぁ。姉の面目は丸つぶれだ。
「さて、そろそろ行きますか」
「根本たちには何したの?」
「別に。どかないと大声張り上げて先生呼ぶって脅しただけ」
「そう」
「ビンタ一発、お返しはしたけど」
「え?」
「髪、引っ張らなかったからいいでしょ?」
平然と、百合香は言った。
「でも、あいつ泣かなかったよ。結構根性あるかも。だけど弥生がわざとぶたせてるって知ったらどんな顔するかなぁ」
「百合香……」
「なんて表情してんの」
手洗い場の壁に掛けてある申し訳程度の鏡を指さして、百合香が言った。覗くと情けないくらい悲しい表情のわたしがいた。
ああ、わたしずっとこんな表情してたんだ。
「へんな、かお」
「だめだよ、そんなかお」
肩に手をかけ、鏡の中に百合香が割り込んできた。お手本のように見事な笑顔を見せてくれる。
「ま、恋してるオンナは数倍輝くって言うから、しかたないけど」
「言ってくれる」
「さて、弥生さん、戦場に戻る前に女王様の微笑みを取り戻して戴きましょうか。何よりもそれがあのオンナに対する武器になるんだからね」
五時限目が始まる直前にわたしは教室に滑り込んだ。入った瞬間に教室は静まりかえった。ちらりと見ただけで男子たちは慌てて目を反らす。中には口を開いたままぼんやりと見ている男の子もいた。百合香直伝の笑顔の効果は絶大のようだ。
根本美輪を見ると、なるほど、頬に濡らしたハンカチを当ててわたしを見ないようにしている。百合香の一発はかなり効いたらしい。ヒロコが怯えた目でわたしを見た。わたしはヒロコを見なかった。無視して睦月ちゃんの席に行って、ありがとう、と囁いた。
「……よかった、大丈夫だったんだ」
「ま、ね。百合香が来てくれたから」
睦月ちゃんはじっとわたしの顔を見つめた。
「何?」
「元気、出たみたいでよかった」
「百合香に言われたんだ。変な顔してるって」
「変な、顔?」
「そ、変な顔。透ちゃんにも言われた。ちゃんとしろ、って」
「よくわかんないけど、藤島さんの顔で変だったら私なんてどうなんだろう」
「かわいい、かお」
わたしはそう言って自分の席に戻った。
まだ、最後の仕上げは終わっていない。
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