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二章 無意味の象徴
101話 『赫怒』
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二人は、レイとナツメは山道を歩いていた。獣は今の所出て来る気配は無い。それどころか、この山に入ってからというものの一度たりとも獣が出て来る事はなかったので、これからもないと仮定して問題無いだろう。それに、上空であれだけ暴れ狂う『竜』がいるのだからいたとしても既に逃げているだろう
逃げられるかどうかは別として──の話だが
「──この辺りまでには、燃え広がってないみたいだね」
レイが被害の無さそうな木々を見回して口にした
「お姉ちゃんは、こっちに来たのかな……?」
「どうだろう? たぶん、来てるんじゃないかな。被害が少ないって事は、多少は安全って事だから」
その言葉を聞くと、ナツメはテキパキと辺りを捜索し始めた。レイと逸れない程度の距離まで離れて探し、木の裏まで見て探し、木の上や斜面の下、そうして探している内に見つけた川の中を覗き込んでまで探す
それでも、見つからない
中々見つからずにナツメのレイの手を握る力が強くなると、次は見晴らしの良い場所を探す事になった。そこなら他の人達も見つけやすいんじゃないのかな、とはレイの言い分だ。展望台は危ないからそれ以外で、とも付け加えていた。──ナツメは段々と探し始めていた頃の目の輝きを失いつつもそれに頷き、それでも見晴らしの良い場所を探す合間合間に懸命に、泥まみれで膝や手に擦り傷をつけても歩き回った。ずっと探し続けた
山の中を探している最中、ふとナツメを覗くように振り返ると顔中に汗をびっしょりかいていて、レイはしまった、とでも言いだけに口をあんぐりと開けて目を瞠った。それからすぐに我に返って深呼吸をしてから言う
「少しきゅうけ──」
「だいじょーぶ。だから、お姉ちゃんを探す……」
しかしそれは、言い終わる前に断られてしまったのだった
周りをくまなく捜索しながら少し早めに歩いている二人は距離が少しある。手分けした方が人を見つけやすいからだ。誰が言ったわけでもなく、ナツメがそうして懸命に探す内にレイも同じように探していた
「……そっか」
それだけを小さく開いた口の中で呟くと、捜索に拍車をかけて再開する。とはいえ、流石にレイにも疲労の陰は差しているようで、少しずつ速度が緩んでしまっている
「ぁ──」
不意に見つけたものに、ナツメは声を出してしまった。慌てて口を両手で塞ぐが、既に出してしまった後の祭だ
──しかし、目の前に浮いている、空中に空いた穴のようなものは依然としてそこから動き出す気配も、何かが出て来る気配も漂わせてはいない
ほっ、と胸を撫で下ろしてなんとか危機を免れたナツメは忍び足でこっそりと近づいて行く。多少の擦れる音が鳴るのは仕方がないが、それでもほとんど出さずに進んでいると言っても過言では無いだろう
話し声がナツメの耳に届いた。男の声が、二つ。膨らんでいた胸が一気に萎んでいくのを感じながら、ため息を抑えてレイの方に忍び足で向かう。穴に近づいて行った時よりも乱雑で稚拙で、大きな音を鳴らしていた
最初から視界に入っていたレイの上着の裾を引っ張ると、レイはすぐに振り返った
「どうしたの?」
「男の人がいるみたい。何か、話してた」
「男の人……二人? ──あっ、もしかして……」
レイはナツメの少し挙動不審な案内を受けながらその穴まで向かう。案内をされてから数十秒も経過しない内にレイ達は穴のすぐ側まで来ることができた。今はその下でしゃがんで様子見の最中だ
中空に空いている穴としか形容できないものの中から、男の声がした。若い。二人。それらを聞いて、レイは記憶の底を漁り、その中からこの声と同じ声を持つ、知っている人物へと辿り着く
「コーイチくん?」
「んぉ?」
穴の中から彼の声がする
「コーイチくん!?」
「っ、レイ、か……?」
「う、うんっ! そうだよ!」
頬が緩んでしまっているのを自覚すると共に、激しい自己嫌悪に心臓を潰されそうなほど強く、キリキリと掴まれてしまった。それに目を苦々しく細めて対処すると、あわや自己嫌悪は手を放した。ただ、どこにも去らずに、それは胸の内に留まり続ける
「どこだ? どこにいるんだよ! それに、もう良いのか? 平気なのか? 動けんのか? あアッ!?」
「──平気だよ。……ねっ、コーイチくん」
怒鳴っているコーイチに、少し落ち着かせた口調で話を進める
すると、レイからは姿が見えないコーイチが大きく、諦めたようなため息を吐き出し、頭をかく。それから息を吸い込んで、これまでの事を忘れ去るように吐き出す
「──んだよ。いきなり改まった口調で……」
「こっちにね、ナツミちゃん来なかった?」
「ナツミぃ? ──ってーと、あの双子の片方か。……いや、見てねーな。ハダチ、オレが寝てる間に見たか?」
「うんや。見てねーぜ? つーかよ、さっきから話してる『れい』ってどこの誰なんだって聞きたいぜ?」
「あ? 決まってんだろ? ここにいるんだから」
「──ああ、そういう事かよ。分かったぜコーイチ」
穴から素早い動きで何者かが飛び出して来て、レイはナツメを庇うようにその影とナツメの間に割り込んだ
「おーおー、悪ぃ悪ぃ。驚かせたか? オレはハダチだ。よろしく頼むぜ? コーイチとは旧知の仲ってやつだぜ」
「ボクはけん──い、石田、レイ、です。今は、訳あってこの子の双子のお姉ちゃんを探しています。心当たりはありませんか? この子と、顔は少し似ているんですけれど……」
言い直した苗字に、意識して引き締めたはずの頬が綻び始める
「──いや、ねーぜ?」
「ありがとうございます」
「──それよりもお前、コーイチに取り入ってどういう魂胆だ? 何も得なんかねーぜ? さくらの差し金かぁ?」
──レイの前に立つハダチが腕を組んでレイに嫌悪と赫怒の篭った双眸で睨みつけられ、ナツメが「ひっ」と声を漏らしてレイの背中に縋り付くように震えて隠れた
「──よう、レイ。オレも一緒に探してやるよ」
「……ありがと、コーイチくん」
穴から這い出てきたコーイチの顔は見なかった。今はただ、ハダチに微笑みを投げかけてナツメの頭に手を置く
「ハダチさんも、手伝ってくれるんですか?」
「──いいぜ。けどな、俺らはアレをぶっ倒すんだよ。それが嫌ならとっとと消えた方がいいぜ?」
「ははは、大丈夫ですよ。黙って見ている訳にもいきませんから」
言外に『代わりに竜退治を手伝え』と言い切るハダチに苦笑と了承の二つを返したレイの頬は、小さく引き攣った
それからすぐにコーイチが穴から出て、レイの前に立つと「んで? 探してほしい奴ってのは?」と聞いた
「ボクはね、皆を探してるんだ」
「──それじゃなんだ? お前らははぐれた奴らを探してるってのか? そこのもう片方じゃなくて?」
「……そうだよ。できれば、ナツミちゃんを優先して見つけたいけど……。こんなに広いと、難しいでしょ?」
既に穴から出て来て、首を捻っているコーイチの対面に立つのはレイとナツメ。ナツメはじっと気後れした瞳でレイの背後からコーイチ達──主にハダチを見つめていた
「マジかよ……。確かにそれもしてぇけどよ……。あんなバケモンがいたら、ムリだろ。皆生きて帰るとか……」
コーイチの考えを受けて、ナツメがレイの上着を掴む力が強まる
「それにな? 俺らはまずリーダーをブチのめしてから身勝手に他人の事を簡単に捨てやがるような事すんなよって言いに行くんだよ……。なあ? ハダチ」
同意を求めるように後ろへ目を向ける。そこにいるのはハダチだ。ハダチは値踏みするような視線をレイにぶつける。レイが目を細めて身構えたのでため息を吐いて歩き始める
「コーイチの言う通りだぜ。俺らはサクラをぶっ倒しに行く。それからあの竜も殺す。けどまあ──」
ポンッとコーイチの肩に手を置いて前に出てきた
「──分かった」と、助け舟を出す「探してやるぜ?」コーイチの前に立ち、不敵に笑っていた「一緒にな」
逃げられるかどうかは別として──の話だが
「──この辺りまでには、燃え広がってないみたいだね」
レイが被害の無さそうな木々を見回して口にした
「お姉ちゃんは、こっちに来たのかな……?」
「どうだろう? たぶん、来てるんじゃないかな。被害が少ないって事は、多少は安全って事だから」
その言葉を聞くと、ナツメはテキパキと辺りを捜索し始めた。レイと逸れない程度の距離まで離れて探し、木の裏まで見て探し、木の上や斜面の下、そうして探している内に見つけた川の中を覗き込んでまで探す
それでも、見つからない
中々見つからずにナツメのレイの手を握る力が強くなると、次は見晴らしの良い場所を探す事になった。そこなら他の人達も見つけやすいんじゃないのかな、とはレイの言い分だ。展望台は危ないからそれ以外で、とも付け加えていた。──ナツメは段々と探し始めていた頃の目の輝きを失いつつもそれに頷き、それでも見晴らしの良い場所を探す合間合間に懸命に、泥まみれで膝や手に擦り傷をつけても歩き回った。ずっと探し続けた
山の中を探している最中、ふとナツメを覗くように振り返ると顔中に汗をびっしょりかいていて、レイはしまった、とでも言いだけに口をあんぐりと開けて目を瞠った。それからすぐに我に返って深呼吸をしてから言う
「少しきゅうけ──」
「だいじょーぶ。だから、お姉ちゃんを探す……」
しかしそれは、言い終わる前に断られてしまったのだった
周りをくまなく捜索しながら少し早めに歩いている二人は距離が少しある。手分けした方が人を見つけやすいからだ。誰が言ったわけでもなく、ナツメがそうして懸命に探す内にレイも同じように探していた
「……そっか」
それだけを小さく開いた口の中で呟くと、捜索に拍車をかけて再開する。とはいえ、流石にレイにも疲労の陰は差しているようで、少しずつ速度が緩んでしまっている
「ぁ──」
不意に見つけたものに、ナツメは声を出してしまった。慌てて口を両手で塞ぐが、既に出してしまった後の祭だ
──しかし、目の前に浮いている、空中に空いた穴のようなものは依然としてそこから動き出す気配も、何かが出て来る気配も漂わせてはいない
ほっ、と胸を撫で下ろしてなんとか危機を免れたナツメは忍び足でこっそりと近づいて行く。多少の擦れる音が鳴るのは仕方がないが、それでもほとんど出さずに進んでいると言っても過言では無いだろう
話し声がナツメの耳に届いた。男の声が、二つ。膨らんでいた胸が一気に萎んでいくのを感じながら、ため息を抑えてレイの方に忍び足で向かう。穴に近づいて行った時よりも乱雑で稚拙で、大きな音を鳴らしていた
最初から視界に入っていたレイの上着の裾を引っ張ると、レイはすぐに振り返った
「どうしたの?」
「男の人がいるみたい。何か、話してた」
「男の人……二人? ──あっ、もしかして……」
レイはナツメの少し挙動不審な案内を受けながらその穴まで向かう。案内をされてから数十秒も経過しない内にレイ達は穴のすぐ側まで来ることができた。今はその下でしゃがんで様子見の最中だ
中空に空いている穴としか形容できないものの中から、男の声がした。若い。二人。それらを聞いて、レイは記憶の底を漁り、その中からこの声と同じ声を持つ、知っている人物へと辿り着く
「コーイチくん?」
「んぉ?」
穴の中から彼の声がする
「コーイチくん!?」
「っ、レイ、か……?」
「う、うんっ! そうだよ!」
頬が緩んでしまっているのを自覚すると共に、激しい自己嫌悪に心臓を潰されそうなほど強く、キリキリと掴まれてしまった。それに目を苦々しく細めて対処すると、あわや自己嫌悪は手を放した。ただ、どこにも去らずに、それは胸の内に留まり続ける
「どこだ? どこにいるんだよ! それに、もう良いのか? 平気なのか? 動けんのか? あアッ!?」
「──平気だよ。……ねっ、コーイチくん」
怒鳴っているコーイチに、少し落ち着かせた口調で話を進める
すると、レイからは姿が見えないコーイチが大きく、諦めたようなため息を吐き出し、頭をかく。それから息を吸い込んで、これまでの事を忘れ去るように吐き出す
「──んだよ。いきなり改まった口調で……」
「こっちにね、ナツミちゃん来なかった?」
「ナツミぃ? ──ってーと、あの双子の片方か。……いや、見てねーな。ハダチ、オレが寝てる間に見たか?」
「うんや。見てねーぜ? つーかよ、さっきから話してる『れい』ってどこの誰なんだって聞きたいぜ?」
「あ? 決まってんだろ? ここにいるんだから」
「──ああ、そういう事かよ。分かったぜコーイチ」
穴から素早い動きで何者かが飛び出して来て、レイはナツメを庇うようにその影とナツメの間に割り込んだ
「おーおー、悪ぃ悪ぃ。驚かせたか? オレはハダチだ。よろしく頼むぜ? コーイチとは旧知の仲ってやつだぜ」
「ボクはけん──い、石田、レイ、です。今は、訳あってこの子の双子のお姉ちゃんを探しています。心当たりはありませんか? この子と、顔は少し似ているんですけれど……」
言い直した苗字に、意識して引き締めたはずの頬が綻び始める
「──いや、ねーぜ?」
「ありがとうございます」
「──それよりもお前、コーイチに取り入ってどういう魂胆だ? 何も得なんかねーぜ? さくらの差し金かぁ?」
──レイの前に立つハダチが腕を組んでレイに嫌悪と赫怒の篭った双眸で睨みつけられ、ナツメが「ひっ」と声を漏らしてレイの背中に縋り付くように震えて隠れた
「──よう、レイ。オレも一緒に探してやるよ」
「……ありがと、コーイチくん」
穴から這い出てきたコーイチの顔は見なかった。今はただ、ハダチに微笑みを投げかけてナツメの頭に手を置く
「ハダチさんも、手伝ってくれるんですか?」
「──いいぜ。けどな、俺らはアレをぶっ倒すんだよ。それが嫌ならとっとと消えた方がいいぜ?」
「ははは、大丈夫ですよ。黙って見ている訳にもいきませんから」
言外に『代わりに竜退治を手伝え』と言い切るハダチに苦笑と了承の二つを返したレイの頬は、小さく引き攣った
それからすぐにコーイチが穴から出て、レイの前に立つと「んで? 探してほしい奴ってのは?」と聞いた
「ボクはね、皆を探してるんだ」
「──それじゃなんだ? お前らははぐれた奴らを探してるってのか? そこのもう片方じゃなくて?」
「……そうだよ。できれば、ナツミちゃんを優先して見つけたいけど……。こんなに広いと、難しいでしょ?」
既に穴から出て来て、首を捻っているコーイチの対面に立つのはレイとナツメ。ナツメはじっと気後れした瞳でレイの背後からコーイチ達──主にハダチを見つめていた
「マジかよ……。確かにそれもしてぇけどよ……。あんなバケモンがいたら、ムリだろ。皆生きて帰るとか……」
コーイチの考えを受けて、ナツメがレイの上着を掴む力が強まる
「それにな? 俺らはまずリーダーをブチのめしてから身勝手に他人の事を簡単に捨てやがるような事すんなよって言いに行くんだよ……。なあ? ハダチ」
同意を求めるように後ろへ目を向ける。そこにいるのはハダチだ。ハダチは値踏みするような視線をレイにぶつける。レイが目を細めて身構えたのでため息を吐いて歩き始める
「コーイチの言う通りだぜ。俺らはサクラをぶっ倒しに行く。それからあの竜も殺す。けどまあ──」
ポンッとコーイチの肩に手を置いて前に出てきた
「──分かった」と、助け舟を出す「探してやるぜ?」コーイチの前に立ち、不敵に笑っていた「一緒にな」
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