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17章 もう、後戻りは出来ないから……
285話 時に疑わしき者へ近付きしことも重要であり
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「くっそ、本当になんで分かってくれないんだよ……」
集合住宅の出入り口、その壁に凭れて溜め息を吐く
「勢いで出て来たけど何も進歩してないんだよなぁ……それどころか悪化したかも……」
頭を抱えて眉間にシワを寄せる
「どうやってアリサ達の方へ向かわせるか……言ったら『俺も連れて行く』みたいな感じになりそうだし……」
ガチャ
玄関口の扉が開き反射的に振り向く。すると相手も気付いたのか立ち止まりレンゼに向き直った
「ッ……サラ、さん……」
ペコリ。そうお辞儀をするとサラは腕に掛けているカバンを膝の上に置いてしゃがみ込み小さな声で話しかける
「どうかしましたか?」
「……いえ、なんでもないです」
「ですが、ここに居ては風邪を引かれますよ? もう、冬ですし」
サラは灰に染められた空を仰ぐと再びレンゼに視線を戻す
「良ければ家に来ますか? 飲み物くらいなら直ぐにお出し出来ますが……」
「ッ…………お願い、します」
ゆっくりと立ち上がり顔を上げてサラの顔を見てニコッと微笑む。そして集合住宅の中に入って行くサラの後ろを一定距離を保ちながら付いて行く
「こちらです」
二度、階段を上がって幾つかのドアを通り過ぎた先で立ち止まりカバンの中から鍵を取り出し鍵穴に挿し込む。ガチャリ。そう鳴ると鍵を抜いてカバンの中に仕舞い、ドアを開ける
「どうぞ」
軽く会釈して部屋の中に入る。すると突如として甘い甘い、甘ったるい香りが漂って来た。即座に鼻を摘んで顔を顰めると振り返る
「ッ~……なんなんですか……? この匂い……」
「これは私の好みの花の香りを配合したものです」
ドアを閉め、無表情かに見えるその口元を僅かに緩ませる
「ではお上がり下さい。上履きは……すみません、人が来ることを想定してはいませんでしたので……。良ければ私のサンダルを使いますか?」
そう言われてレンゼは足元へ視線を移す。そこには花の刺繍が施されたピンク色のサンダルが置かれていた
「い、いえ……サイズが合いそうにないので……」
苦笑して見せながら後退りして奥へと向かって行く
「ていやぁあああ!」
刹那、レンゼは一度だけ前へ床を蹴って移動する。するとブンッと音を立てレンゼの後頭部を掠めた
「ニャ!?」
「あ……ごめん」
謝りながらクルリと振り向き後頭部を掠めたソレを睨み付ける
「……フライパン……?」
「泥棒なんて許さないんだから!」
キッチンの方からフライパンを片手にアリサより身長が高い女性が髪を揺らして出て来る
「って……ママ?」
「マ……えぇッ!?」
驚いた様子で振り返るとサラはコクっと頷く
「大分昔の事ですがその子が子供の頃、私が拾ったのです。名前はソラです」
「へ、へぇ~……ソラさんって言うんですかぁ~……」
口をピクピクと引き攣らせて微笑み、ソラの方へと顔を向けるがその目は何処か空虚に染められていた
「ぇ……嘘っ! ママ! 今の聞いた!? この距離でママの声聞こえてたみたい!」
ソラがフライパンをレンゼに向けてそう叫ぶ。それと同時にレンゼは再びサラの方を向く。するとサラは無表情で両手で輪を作り、口周りに当てる
「レンゼくんは耳が良いので気にしてませんでしたが、どうやら私の声は小さいみたいでこの距離だと聞こえないそうです」
ぎりッと歯を軋ませて少し引き気味に瞳だけを動かしソラを見上げる。それと同時にレンゼの後ろでサラが靴を脱ぎ歩き始めた
「それで……君は?」
「……レンゼ、です。宜しく」
「へ~。ママぁ、この子どうしたの~?」
レンゼを通り過ぎ、ソラの耳元でコソコソと呟く
「彼は私のお客さん。危害は加えないで」
「え? うん……。分かったけど……」
少し不本意そうにレンゼをジッと見詰めてレンゼの前に来るとしゃがみ込みニッコリ微笑む
すると小声で……
「ママに手ぇ出したらシメるぞ」
と、言いながらレンゼの頭をクシャッと掻き混ぜる
「それではコチラへ。茶でも用意しますので座って待っていて下さい」
「はい、分かりました……」
目の前で微笑む女性。彼女を見詰めながら固唾を飲み、コクリと頷くと廊下の端を通って横を通り過ぎる
リビングにはリズとほぼ同じような感じで家具が置かれているがベッドが見当たらない。椅子のもとへ行くと一息吐いて椅子を引き座る。すると目の前に飾られている細長い花瓶とそれに入れられた一輪の花を見て溜め息を吐く
「ふぅ……ったく……なんなんだ一体……」
「ねぇねぇ」
「な、なんですか?」
ソラがテーブルの下、視界に入らない位置からピョコっと顔を出す
「君さ、ママに近付いて何する気なの?」
「……いえ、何も……無いことはないですが……サラさんのこと、一つ聞いても良いですか? それに因って何かするのかしないのか、それが変わるので」
「ふぅ~ん……それで? 何が聞きたいの?」
「貴女が拾われた時と今、サラさんの容姿って変わってますか?」
ソラは顔をしかめてレンゼを睨み付ける
「何が言いたいの?」
「おかしいと思いませんか? 大分昔に拾ったと言ってましたけどだとすれば容姿が合ってない気がするんですよ。貴女が子供の頃からですよ? でも今のサラさんは何処からどう見ても二十代前半。おかしいですよね?」
「う~ん……でもママだし……? て言うかなんで君とママのこと話さないといけないのさ」
舌打ちすると、ソラの頭をサラが軽くチョップした
「いてて……」
「お客さんに失礼ですよ」
サラはレンゼの前にスッとコースターを置きその上に透き通った茶色い液体の入ったカップを置く
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
湯気の立つ白いそれを両手で持つと二度、息を吹きかけて冷ますとチビチビと飲み始める
「だあっつ!」
もう一度、長く息を吹きかけると軽くプラプラと左右に振らし、口に付ける
ごくっ
「……? あれ、美味しい」
集合住宅の出入り口、その壁に凭れて溜め息を吐く
「勢いで出て来たけど何も進歩してないんだよなぁ……それどころか悪化したかも……」
頭を抱えて眉間にシワを寄せる
「どうやってアリサ達の方へ向かわせるか……言ったら『俺も連れて行く』みたいな感じになりそうだし……」
ガチャ
玄関口の扉が開き反射的に振り向く。すると相手も気付いたのか立ち止まりレンゼに向き直った
「ッ……サラ、さん……」
ペコリ。そうお辞儀をするとサラは腕に掛けているカバンを膝の上に置いてしゃがみ込み小さな声で話しかける
「どうかしましたか?」
「……いえ、なんでもないです」
「ですが、ここに居ては風邪を引かれますよ? もう、冬ですし」
サラは灰に染められた空を仰ぐと再びレンゼに視線を戻す
「良ければ家に来ますか? 飲み物くらいなら直ぐにお出し出来ますが……」
「ッ…………お願い、します」
ゆっくりと立ち上がり顔を上げてサラの顔を見てニコッと微笑む。そして集合住宅の中に入って行くサラの後ろを一定距離を保ちながら付いて行く
「こちらです」
二度、階段を上がって幾つかのドアを通り過ぎた先で立ち止まりカバンの中から鍵を取り出し鍵穴に挿し込む。ガチャリ。そう鳴ると鍵を抜いてカバンの中に仕舞い、ドアを開ける
「どうぞ」
軽く会釈して部屋の中に入る。すると突如として甘い甘い、甘ったるい香りが漂って来た。即座に鼻を摘んで顔を顰めると振り返る
「ッ~……なんなんですか……? この匂い……」
「これは私の好みの花の香りを配合したものです」
ドアを閉め、無表情かに見えるその口元を僅かに緩ませる
「ではお上がり下さい。上履きは……すみません、人が来ることを想定してはいませんでしたので……。良ければ私のサンダルを使いますか?」
そう言われてレンゼは足元へ視線を移す。そこには花の刺繍が施されたピンク色のサンダルが置かれていた
「い、いえ……サイズが合いそうにないので……」
苦笑して見せながら後退りして奥へと向かって行く
「ていやぁあああ!」
刹那、レンゼは一度だけ前へ床を蹴って移動する。するとブンッと音を立てレンゼの後頭部を掠めた
「ニャ!?」
「あ……ごめん」
謝りながらクルリと振り向き後頭部を掠めたソレを睨み付ける
「……フライパン……?」
「泥棒なんて許さないんだから!」
キッチンの方からフライパンを片手にアリサより身長が高い女性が髪を揺らして出て来る
「って……ママ?」
「マ……えぇッ!?」
驚いた様子で振り返るとサラはコクっと頷く
「大分昔の事ですがその子が子供の頃、私が拾ったのです。名前はソラです」
「へ、へぇ~……ソラさんって言うんですかぁ~……」
口をピクピクと引き攣らせて微笑み、ソラの方へと顔を向けるがその目は何処か空虚に染められていた
「ぇ……嘘っ! ママ! 今の聞いた!? この距離でママの声聞こえてたみたい!」
ソラがフライパンをレンゼに向けてそう叫ぶ。それと同時にレンゼは再びサラの方を向く。するとサラは無表情で両手で輪を作り、口周りに当てる
「レンゼくんは耳が良いので気にしてませんでしたが、どうやら私の声は小さいみたいでこの距離だと聞こえないそうです」
ぎりッと歯を軋ませて少し引き気味に瞳だけを動かしソラを見上げる。それと同時にレンゼの後ろでサラが靴を脱ぎ歩き始めた
「それで……君は?」
「……レンゼ、です。宜しく」
「へ~。ママぁ、この子どうしたの~?」
レンゼを通り過ぎ、ソラの耳元でコソコソと呟く
「彼は私のお客さん。危害は加えないで」
「え? うん……。分かったけど……」
少し不本意そうにレンゼをジッと見詰めてレンゼの前に来るとしゃがみ込みニッコリ微笑む
すると小声で……
「ママに手ぇ出したらシメるぞ」
と、言いながらレンゼの頭をクシャッと掻き混ぜる
「それではコチラへ。茶でも用意しますので座って待っていて下さい」
「はい、分かりました……」
目の前で微笑む女性。彼女を見詰めながら固唾を飲み、コクリと頷くと廊下の端を通って横を通り過ぎる
リビングにはリズとほぼ同じような感じで家具が置かれているがベッドが見当たらない。椅子のもとへ行くと一息吐いて椅子を引き座る。すると目の前に飾られている細長い花瓶とそれに入れられた一輪の花を見て溜め息を吐く
「ふぅ……ったく……なんなんだ一体……」
「ねぇねぇ」
「な、なんですか?」
ソラがテーブルの下、視界に入らない位置からピョコっと顔を出す
「君さ、ママに近付いて何する気なの?」
「……いえ、何も……無いことはないですが……サラさんのこと、一つ聞いても良いですか? それに因って何かするのかしないのか、それが変わるので」
「ふぅ~ん……それで? 何が聞きたいの?」
「貴女が拾われた時と今、サラさんの容姿って変わってますか?」
ソラは顔をしかめてレンゼを睨み付ける
「何が言いたいの?」
「おかしいと思いませんか? 大分昔に拾ったと言ってましたけどだとすれば容姿が合ってない気がするんですよ。貴女が子供の頃からですよ? でも今のサラさんは何処からどう見ても二十代前半。おかしいですよね?」
「う~ん……でもママだし……? て言うかなんで君とママのこと話さないといけないのさ」
舌打ちすると、ソラの頭をサラが軽くチョップした
「いてて……」
「お客さんに失礼ですよ」
サラはレンゼの前にスッとコースターを置きその上に透き通った茶色い液体の入ったカップを置く
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
湯気の立つ白いそれを両手で持つと二度、息を吹きかけて冷ますとチビチビと飲み始める
「だあっつ!」
もう一度、長く息を吹きかけると軽くプラプラと左右に振らし、口に付ける
ごくっ
「……? あれ、美味しい」
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