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閑話 温もり
198話 リズ
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「そう言えばなんて名前なんですか?」
「え? 言ってなかった? 私の名前はリズ。分かった?」
「分かりました……じゃあなんの仕事をしてるんですか?」
「私の仕事は書記官。外交特権もあるまあまあ偉い地位なんだよ?」
「へぇ~そうなんですか……」
沈黙が空間を支配した
数分後
「一つ、聞いて良いですか?」
挙手して聞くとリズは書類に目を向けながら答えた
「何?」
「ジェネット商会ってご存知ですか?」
「えぇ。知ってるわよ。各地で話題になってるアレでしょ? あの回り方からしてそろそろこっちにも来るんじゃないかな? 早くて二週間後くらいと思うけど」
「そう……ですか」
レンゼが俯くとリズはキランッと目を光らせた
「もしかしてお買い物に興味あるの? だったら帰る前にアリサちゃんへのお土産も兼ねてお買い物してから帰りましょうか!」
「え? あ、はい……」
そうして再び沈黙が空間を支配した
コンコンッ
「開いてますよ~」
ガチャ
「やぁやぁ! 仕事、捗っているかな?」
「……まあ、はい。て言うか早く戻ってください」
ドアを開けて花束を持った金髪蒼眼の青年が入って来た
「そんな事言わずに今度お茶でも「絶対に行きません」」
その言葉を掛けられた途端に青年は固く動かなくなった
「ははは……じゃあお花ここに置いておくね……」
リズが作業している机の端に花束を置き、とぼとぼと残念そうに歩いて出て行った
「い、今のは?」
「今のはジョン大佐。いつもこうやって仕事の邪魔しに来るのよ。ああ見えても凄腕の魔術師なんだけどね……」
「そうなんですか……」
肩で未だ軽く引っ掻いてくるヒールゥに笑って返事をすると真っ直ぐにリズの仕事を見詰めた
「……」
「どうしたの? トイレ?」
「あ、いや、ただ仕事を見ておこうと思って……」
「安心して! レンゼくんの為に六時までには頑張って終わらせるから!」
と、意気込んで先程の約二倍の速度で仕事を再開した
カチコチカチコチ……
リズの右側の壁に掛けてあるアンティークの時計が針を刻む音が聞こえてくる
短針がそろそろ真下を刺そうとした頃……
「今日の分終わった~!」
ボーン……ボーン……
「すぅ……すぅ……」
項垂れてコクっコクっと上下に頭を揺らしながらうたた寝しているレンゼの頭を軽く叩いて起こした
「……ん?」
「起きて起きて。まだ夜じゃないから」
「ん~……」
目を擦って欠伸を掻くと椅子から立ち上がった
「まだ眠たい?」
コクっと頷くとリズはしゃがんでレンゼに背を向けた
「ほら、おんぶしてあげるからおいで」
レンゼがフラフラした足取りでリズの背中に倒れ込むとリズは膝裏に腕を回し、背負い直して立ち上がった
「んぁ……」
まだ視界がぼやける中、瞬きをする
「あ、おはよう。……って言ってもまだ夜だけどね。ご飯食べる?」
「……」
寝ぼけ眼で起き上がり、声のした方を見詰める
「お~い。起きてますか~」
レンゼの前まで来て眼前で手を振った
「……ッ!」
漸く気付いたレンゼは布団から慌てて出て壁に張り付いた
「そこまで露骨に驚かなくても……」
苦笑して近付いて来るリズを手で制すと首を左右に振った
「ちょっと待って……!」
息を荒げて壁の方に向くと頭を抱え込んだ
「あわわわ……」
その時になって漸く気付いた
「え? 何? この服……」
自宅からずっと来てきた白いシャツではなく大きめの白いキャミソールにサイズがぴったりの白いトランクスパンツを穿かされていた
「……何これ?」
「それ可愛いでしょ~。カメラは少し高くて買えなかったけど私の目にしっかり焼き付けてあるからね~」
ニコニコと笑い近寄って来るリズに対してレンゼの顔は青白くなりながら振り向いた
「あはは……俺……男ですよ?」
「でも可愛いじゃな~い。犬だって男女関わらずに可愛いとか格好いいとか思ったりするでしょ?」
「俺……人ですよ?」
「人でも可愛いものは可愛いんだから~。あ! レンゼくんにとっても似合った単語思い付いたよ!」
「ち、因みにそれは……?」
震える声で聞くとリズは少し興奮気味に答えた
「男の娘!」
「そ、それじゃあ俺が小さい子供みたいじゃないですか」
「違うよ~。『男』の『娘』って書いて男の娘。男の子だけど女の子みたいに可愛い子の事を言うんだよ~。世界初の名誉称号。男の娘! これからも可愛いお洋服なら沢山買ってあげるからね~!」
心にその言葉が深く突き刺さり、グハッと吐血して白目を向いて壁に倒れ掛かった
その時に口から吐いた血で壁にダイイングメッセージを書き残した
『オレはオトコだ』
「え? 言ってなかった? 私の名前はリズ。分かった?」
「分かりました……じゃあなんの仕事をしてるんですか?」
「私の仕事は書記官。外交特権もあるまあまあ偉い地位なんだよ?」
「へぇ~そうなんですか……」
沈黙が空間を支配した
数分後
「一つ、聞いて良いですか?」
挙手して聞くとリズは書類に目を向けながら答えた
「何?」
「ジェネット商会ってご存知ですか?」
「えぇ。知ってるわよ。各地で話題になってるアレでしょ? あの回り方からしてそろそろこっちにも来るんじゃないかな? 早くて二週間後くらいと思うけど」
「そう……ですか」
レンゼが俯くとリズはキランッと目を光らせた
「もしかしてお買い物に興味あるの? だったら帰る前にアリサちゃんへのお土産も兼ねてお買い物してから帰りましょうか!」
「え? あ、はい……」
そうして再び沈黙が空間を支配した
コンコンッ
「開いてますよ~」
ガチャ
「やぁやぁ! 仕事、捗っているかな?」
「……まあ、はい。て言うか早く戻ってください」
ドアを開けて花束を持った金髪蒼眼の青年が入って来た
「そんな事言わずに今度お茶でも「絶対に行きません」」
その言葉を掛けられた途端に青年は固く動かなくなった
「ははは……じゃあお花ここに置いておくね……」
リズが作業している机の端に花束を置き、とぼとぼと残念そうに歩いて出て行った
「い、今のは?」
「今のはジョン大佐。いつもこうやって仕事の邪魔しに来るのよ。ああ見えても凄腕の魔術師なんだけどね……」
「そうなんですか……」
肩で未だ軽く引っ掻いてくるヒールゥに笑って返事をすると真っ直ぐにリズの仕事を見詰めた
「……」
「どうしたの? トイレ?」
「あ、いや、ただ仕事を見ておこうと思って……」
「安心して! レンゼくんの為に六時までには頑張って終わらせるから!」
と、意気込んで先程の約二倍の速度で仕事を再開した
カチコチカチコチ……
リズの右側の壁に掛けてあるアンティークの時計が針を刻む音が聞こえてくる
短針がそろそろ真下を刺そうとした頃……
「今日の分終わった~!」
ボーン……ボーン……
「すぅ……すぅ……」
項垂れてコクっコクっと上下に頭を揺らしながらうたた寝しているレンゼの頭を軽く叩いて起こした
「……ん?」
「起きて起きて。まだ夜じゃないから」
「ん~……」
目を擦って欠伸を掻くと椅子から立ち上がった
「まだ眠たい?」
コクっと頷くとリズはしゃがんでレンゼに背を向けた
「ほら、おんぶしてあげるからおいで」
レンゼがフラフラした足取りでリズの背中に倒れ込むとリズは膝裏に腕を回し、背負い直して立ち上がった
「んぁ……」
まだ視界がぼやける中、瞬きをする
「あ、おはよう。……って言ってもまだ夜だけどね。ご飯食べる?」
「……」
寝ぼけ眼で起き上がり、声のした方を見詰める
「お~い。起きてますか~」
レンゼの前まで来て眼前で手を振った
「……ッ!」
漸く気付いたレンゼは布団から慌てて出て壁に張り付いた
「そこまで露骨に驚かなくても……」
苦笑して近付いて来るリズを手で制すと首を左右に振った
「ちょっと待って……!」
息を荒げて壁の方に向くと頭を抱え込んだ
「あわわわ……」
その時になって漸く気付いた
「え? 何? この服……」
自宅からずっと来てきた白いシャツではなく大きめの白いキャミソールにサイズがぴったりの白いトランクスパンツを穿かされていた
「……何これ?」
「それ可愛いでしょ~。カメラは少し高くて買えなかったけど私の目にしっかり焼き付けてあるからね~」
ニコニコと笑い近寄って来るリズに対してレンゼの顔は青白くなりながら振り向いた
「あはは……俺……男ですよ?」
「でも可愛いじゃな~い。犬だって男女関わらずに可愛いとか格好いいとか思ったりするでしょ?」
「俺……人ですよ?」
「人でも可愛いものは可愛いんだから~。あ! レンゼくんにとっても似合った単語思い付いたよ!」
「ち、因みにそれは……?」
震える声で聞くとリズは少し興奮気味に答えた
「男の娘!」
「そ、それじゃあ俺が小さい子供みたいじゃないですか」
「違うよ~。『男』の『娘』って書いて男の娘。男の子だけど女の子みたいに可愛い子の事を言うんだよ~。世界初の名誉称号。男の娘! これからも可愛いお洋服なら沢山買ってあげるからね~!」
心にその言葉が深く突き刺さり、グハッと吐血して白目を向いて壁に倒れ掛かった
その時に口から吐いた血で壁にダイイングメッセージを書き残した
『オレはオトコだ』
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