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12章 放浪
163話 余所者
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「あぁ…いてぇ…」
頭を押さえて上体を起こすと石ころが目に映った
「やっぱり…風邪かぁ…」
ヨロヨロと立ち上がるとコツっと後頭部に何かをぶつけられた
「あ?」
振り返るとそこには涙目になってレンゼを睨み付ける十数人の子供達がいた
「お、お前のせいで村が危険になったじゃないか!」
「そうよ! 余所者の貴女があの男の言う通りにしておけば私達は安全だったのに!」
その子供たちに大人が駆け寄り拳骨を喰らわせたり説教したりしている
「やめなさいお前たち!」
「あの子は何も知らないで必死だったんだ!」
「余所者だからって相手にしなかった私達が悪いんだから!」
大人達が子供達の動きを牽制すると諦めた様な目でレンゼの方に歩いて来た
(なんか気不味くない…? でも大体は読めた…村の人達は賊に搾取されてる訳か…そこに俺が来て賊の男を追い払ったから自分達に被害が及ぶ。そう言いたいんだな…)
「ナ~…」
「そうだな…風邪も俺の不注意。この事も俺の…せいなんだよな…」
フードを深く被ると唇を噛み締めた
「我が村の子供たちがすみません。して、この様な離れの村に何用で?」
白髪の老人が杖を着いてレンゼに近寄って来る
「実は旅をしていまして」
「旅…と言うと?」
老人が目を細めて聞くとレンゼは微笑んで見せた
「まあ、少し事情があって家に帰れないんですよ…」
(本当は心の準備の問題だけど…)
心でそんな事を思いながら言葉を紡ぐ
「それで、あるモノを探してるんですけど…知ってますか? ジェネット商会を…」
老人はジッとレンゼを見詰め、少しだけ黙り込んだ
「しかし、こちらとしても少々被害が出ておりまして…」
そう言うと老人はチラッと自身の後ろで子供を宥めている大人達に目配りした
「…分かりました。よ「そうですか! ありがとうございます!」」
(このジジィ…飽く迄俺から申し出た事にする気か…!)
その事に無性に腹が立つがそれよりも頭痛の方が酷く、一瞬よろめいた
「大丈夫ですかな? 良ければ一度お休みに「良い。とにかく賊の根城まで案内してくれ…後は戦える奴を一人…」」
「分かりました。では暫しお待ちくだされ…」
老人はレンゼに背を向けると後ろにいた村の者と相談し始めた
(この人達が怒るのも分かる。今までの偽りが崩されるんだから。だが何かを起こさないと搾取され続けるだけの奴隷、もしくは家畜と同じだ。それだけやられても行動を起こさない奴は勇気の無い愚者だ。仮に勇気があろうが力無き愚勇もまた然り…)
相談し合っている村人達を見詰めてレンゼは鼻で笑った
「なぁ、ヒールゥ…なんで世の中こんなに人間は居るのに人は少ないんだろうな?」
「ナ~?」
「オウム返しかよ…」
大きく溜め息を吐くと再びくしゃみが出た
「ズズッ…風邪ってこの状況が悪化すればマズいやつだし…何より賊って言うしさっきのは男だった所から予想しても男だけの集団だろうな。せめて誰か一人…そうすれば熱弁のお陰で培った…少ししか聞いてないけど…それで培った情報に寄れば勝てるかも知れねぇ…村人次第だけど…」
数十分後…
「お待たせ致しました。こちらが村人代表のマルクです」
レンゼは慌てて立ち上がるとペコリとお辞儀をした
「よろしくお願いします。早速ですが…私を背負ってくださいますか? 少々風邪気味でして」
マルクは老人にチラッと視線を向けて嘆息するとしゃがんでレンゼに背を向けた
「ありがとうございます」
そう言うとマルクの背中に凭れた
「では行ってきます」
マルクは老人にお辞儀をするとレンゼを背負って水車小屋と対称位置にある家を通り過ぎて更に進んで行った
[作者のコメント]
愚勇と言う単語……中国語だったみたいです
知ってる人は多いと思いますけど知らない人の為に書いておきます
愚勇とはそのままの意味で愚かな勇気の事を指します。日本語では蛮勇でしょうか?
日本語と思い込んで小さい頃に覚えた言葉なので蛮勇よりもこっちの方が作者にとってはしっくりくるのでこっちを選びました。これが中国語と言うのも本当につい最近、友人から聞いて知ったものなので一応ここに書いておきました。思い込みって凄いですね……
次からも気付いたらこうやって書いていきます。本当に……幼稚な頭ですみませんでした……もう少し字の事を考えて書いていきます……
頭を押さえて上体を起こすと石ころが目に映った
「やっぱり…風邪かぁ…」
ヨロヨロと立ち上がるとコツっと後頭部に何かをぶつけられた
「あ?」
振り返るとそこには涙目になってレンゼを睨み付ける十数人の子供達がいた
「お、お前のせいで村が危険になったじゃないか!」
「そうよ! 余所者の貴女があの男の言う通りにしておけば私達は安全だったのに!」
その子供たちに大人が駆け寄り拳骨を喰らわせたり説教したりしている
「やめなさいお前たち!」
「あの子は何も知らないで必死だったんだ!」
「余所者だからって相手にしなかった私達が悪いんだから!」
大人達が子供達の動きを牽制すると諦めた様な目でレンゼの方に歩いて来た
(なんか気不味くない…? でも大体は読めた…村の人達は賊に搾取されてる訳か…そこに俺が来て賊の男を追い払ったから自分達に被害が及ぶ。そう言いたいんだな…)
「ナ~…」
「そうだな…風邪も俺の不注意。この事も俺の…せいなんだよな…」
フードを深く被ると唇を噛み締めた
「我が村の子供たちがすみません。して、この様な離れの村に何用で?」
白髪の老人が杖を着いてレンゼに近寄って来る
「実は旅をしていまして」
「旅…と言うと?」
老人が目を細めて聞くとレンゼは微笑んで見せた
「まあ、少し事情があって家に帰れないんですよ…」
(本当は心の準備の問題だけど…)
心でそんな事を思いながら言葉を紡ぐ
「それで、あるモノを探してるんですけど…知ってますか? ジェネット商会を…」
老人はジッとレンゼを見詰め、少しだけ黙り込んだ
「しかし、こちらとしても少々被害が出ておりまして…」
そう言うと老人はチラッと自身の後ろで子供を宥めている大人達に目配りした
「…分かりました。よ「そうですか! ありがとうございます!」」
(このジジィ…飽く迄俺から申し出た事にする気か…!)
その事に無性に腹が立つがそれよりも頭痛の方が酷く、一瞬よろめいた
「大丈夫ですかな? 良ければ一度お休みに「良い。とにかく賊の根城まで案内してくれ…後は戦える奴を一人…」」
「分かりました。では暫しお待ちくだされ…」
老人はレンゼに背を向けると後ろにいた村の者と相談し始めた
(この人達が怒るのも分かる。今までの偽りが崩されるんだから。だが何かを起こさないと搾取され続けるだけの奴隷、もしくは家畜と同じだ。それだけやられても行動を起こさない奴は勇気の無い愚者だ。仮に勇気があろうが力無き愚勇もまた然り…)
相談し合っている村人達を見詰めてレンゼは鼻で笑った
「なぁ、ヒールゥ…なんで世の中こんなに人間は居るのに人は少ないんだろうな?」
「ナ~?」
「オウム返しかよ…」
大きく溜め息を吐くと再びくしゃみが出た
「ズズッ…風邪ってこの状況が悪化すればマズいやつだし…何より賊って言うしさっきのは男だった所から予想しても男だけの集団だろうな。せめて誰か一人…そうすれば熱弁のお陰で培った…少ししか聞いてないけど…それで培った情報に寄れば勝てるかも知れねぇ…村人次第だけど…」
数十分後…
「お待たせ致しました。こちらが村人代表のマルクです」
レンゼは慌てて立ち上がるとペコリとお辞儀をした
「よろしくお願いします。早速ですが…私を背負ってくださいますか? 少々風邪気味でして」
マルクは老人にチラッと視線を向けて嘆息するとしゃがんでレンゼに背を向けた
「ありがとうございます」
そう言うとマルクの背中に凭れた
「では行ってきます」
マルクは老人にお辞儀をするとレンゼを背負って水車小屋と対称位置にある家を通り過ぎて更に進んで行った
[作者のコメント]
愚勇と言う単語……中国語だったみたいです
知ってる人は多いと思いますけど知らない人の為に書いておきます
愚勇とはそのままの意味で愚かな勇気の事を指します。日本語では蛮勇でしょうか?
日本語と思い込んで小さい頃に覚えた言葉なので蛮勇よりもこっちの方が作者にとってはしっくりくるのでこっちを選びました。これが中国語と言うのも本当につい最近、友人から聞いて知ったものなので一応ここに書いておきました。思い込みって凄いですね……
次からも気付いたらこうやって書いていきます。本当に……幼稚な頭ですみませんでした……もう少し字の事を考えて書いていきます……
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