復讐の慰術師

紅蓮の焔

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4章 資格取得試験

43話 免許証? ゲット

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次の朝…
「んん~…」

スカッスカッスカッ!

「夢?」
朝日に照らされて眠りから覚めたシルビアは窓から晴天の青空を見上げた
「んん~! レンゼったらどこに行ったんだろ? 今日は探してみよ」
シルビアは服を着替える為にタンスに向かった
(う~ん…どの服着ていこうかな?)
タンスの中を漁って数分、漸く良さそうなのを見付けた
それはニット帽にサングラス、白いワイシャツに鼠色のズボンだ
(これで変装は完璧! これで誰も女の子なんて思わないでしょ!)
なぜか自慢気にその場で胸を張った
(それじゃあレンゼを探しに…)
そう思って振り返ると目的の人物はベッドに凭れ掛かって眠っていた

ドスッ

「うぐっ…!」
突然鳩尾に襲ってきた衝撃に腹を押さえて踞った
「な、何すんだよ…」
「なんでもないわよ!」
「うぅ…」
レンゼはベッドを掴みながらヨロヨロと立ち上がった
「はあ…もう朝か…」
「どうかしたの?」
「いや…なんでもない…それよりこの服ありがとな」
「え? あ、べべ、別に良いわよ! あ、あの格好じゃハンス家の名に傷が付くからよ! だ、だから感謝されても嬉しくないんだから!」
シルビアは大きく音を立てて部屋を出ていった
(それじゃあそろそろ行くか…)
立ち上がってライズリックの元に向かった

「ライズリックさん、今日こそ金を…」
「それなら用意できたよ…ほらそこに…ふふふふ…」
何か悪どい表情を浮かべているライズリックを無視して麻袋を取った
「案外軽いんですね」
「え? 嘘!」
ライズリックが慌てて中を確認して膝から崩れ落ちた
「まさか本物を…」
「偽物渡すつもりだったんですか!?」
「あ…いや…あはははは…」
「はあ…今回は良かった物を…そんな悪事を働いてたら今にも罰を受けますよ」
「はい…」
子供の様にシュン…としてしまったライズリックを放っておいて街に出た
(いよいよ資格を獲得出来る…それを手に入れたら後はあいつらの事を調べて即殺すだけだ)
レンゼは麻袋の中を確認した
中には沢山の金貨が入っており、なぜ軽いのか不思議な程だった
「まさか…いや、そんな事は…まあ後でしっかり見てみよ。今は資格を取りに行こう」
麻袋を持って採用試験場に向かった

数分後…
「お、アベル」
「おはよう、レンゼ。悪いけど…」
「道か?」
「頼める?」
レンゼは眉間を摘まんで嘆息した
「どこだ?」
「昨日連れてって貰った採用試験場なんだけどさ~…」
「それなら俺も用があるし一緒に行こうか」
「マジで!? 何か試験受けたのか?」
レンゼはコクりと頷いた
「ああ、全部受けた」
「結果は…?」
「全て合格だって」
「すげぇな~…実は俺も全部受けたんだけどさ~…錬金術と慰術が落ちたんだよ」
レンゼとアベルは何気ない会話をして、気が付くとすでに着いていた
「それじゃあ開けるぞ…」
固唾をゴクリと飲んでゆっくりとドアを開けた
「あ、おはようございます。写真はあちらで資格の数貰えますのでどうぞ」
昨日と同じ女性は少し先のカウンターを指差した。レンゼ達はそこへ歩いて行く
そしてカウンターの前まで来るとそこに座っている男性に話し掛けた
「すみません、写真欲しいんですが」
「畏まりました。少々お待ちを…」
「あ! 俺もお願いします!」
「畏まりました」
男性はカウンターの後ろにあるドアを開けてその奥に入っていった

数分後…
「こちらになります」
レンゼは昨日老婆に撮られた同じ顔写真が3枚、アベルは1枚渡された
「そちらをこれらに貼り付けてください。明日、軍の迎えが向かいますので…」
「「分かりました」」
レンゼとアベルは接着剤を渡され、それぞれ免許証の様なカードの右上の四角く区切られた所に顔写真を貼り付けて乾くまで他愛ない会話で盛り上がり、十数分経つと免許証を手に取った
「ついに手に入れた!」
「そうだな」
「反応薄いなぁ…これって大人でも難しいんじゃ無かったっけ?」
「さぁ? 俺は知らない」
「まあ良いや。それじゃあ明日な!」
「ん~」
2人はそこで別れた
(さて、いつまでも血で魔術式を画いても仕方無いしチョークか何かを買いに行くか。その後は飯を食って…あ、ライズリックさんとシルビアに挨拶しなくちゃな)
レンゼは頭を掻いて建物を出た
(まずは小道具店にでも行ってとにかく書ける物を買わないと…)
そして小道具店に入ると中には棚が4列並んでいて、その棚の上には分かりやすい様に看板が置いてあった
1列目は『アクセサリー』
2列目は『食器』
3列目は『仕事用具』
4列目は『性玩具』
と、書いてあった
(…多分仕事用具? だよな? それしか思い浮かばないし…)
3列目の棚に行くと色々な物が五十音順に並べられていた
(お、チョーク発見)
棚の真ん中辺りの少し入口よりの所にそれは四角いケースに4つずつ入れられており、そのケースは6つしか無かった
(2つ位買っておくか…)
レンゼはそれを2つ取って店員に渡した
「一箱50セシュルです」
(たしか汽車の時、1人500セシュルを2人で金貨10枚で済ましていたから…
500×2÷10で結果、金貨1枚100セシュルだな)
レンゼは店員に金貨1枚手渡した
「ありがとうございました~!」
店員にお辞儀されながらその店を出ると遠くに見知った顔がいた
(シルビア?)
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