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エピローグ
帰ろう、我が家へ リュートside
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「姉ちゃん、アモ」
「「なんだ?」」
「帰ろう、お父さんが待っている俺の故郷へ…我が家へ」
リュートが泣き疲れて眠ってしまったエノンを抱き上げて微笑むと、部屋を出てハーレンに伝えた
「お前達もか…分かった、送ろう…お前達の家は「待って!」」
突然遮った声に驚いて振り向くと息を切らしたカオリがいた
「どうしたの?」
チルが聞くと同時にカオリの後ろからアリウス達が来た
「アリウス!クル!キル!アリス!」
「何も言わずに行くなんて水臭いな、別れの挨拶位しろよ」
キルが鼻を擦りながら言うとクルは溜め息を吐いた
「リューさん、元気でね!」
「じゃあな、リュート!」
「わ、私からも!さようなら!」
リュートは涙を流して背を向けた
「それじゃあ…またいつか…」
「ああ!またな!」
ハーレンが開けてくれた裂け目に入っていくとそこへアリウス達を押し退けて裂け目に飛び込んだ者がいた
「久し振りだなぁ…姉ちゃん、お父さん元気か?」
「どうだろうね~!それは秘密なのだ!」
「なんなのその言い方~!」
「リュート!早く行こうぜ!」
「おう!」
5人がリュートの家へ向かっていく後ろで、裂け目へ飛び込んだ者、ナタは辺りを見渡してこの平原を駆け抜けていった
(墓くらいは…な…)
心で呟くとリュート達には目もくれず疾風の如く走っていった
リュートは家のドアを開けようと、ドアノブに触れると戸惑って手を引いた
「どうしたの?」
「いや、勝手に家を飛び出した俺が帰ってきて、しかも友達まで連れてきて…本当に良いのかな…って思ってな…」
「良いに決まってるじゃない!あんたが友達を何人連れて来ようが新しい家族を何人連れて来たって良いのよ!」
チルが怒鳴るとドアが開いた
「チル…リュート…」
「お父さん…」
リュートが呟くとハリムは2人をギュッと抱き締めた
「良かった…無事で…本当に良かった…」
「お父…さん…」
リュートの目から涙がポロポロと零れ落ちて、空を見上げた
「行こう、アモくん、私達は邪魔みたい」
「そうだな」
2人が少し離れようとすると服の裾を掴まれた
「「く、苦じぃ…」」
リュートとチルが顔色を悪くして泡を吹き出すとアモはハリムの頭をツンツンと突いた
ハリムが顔を上げてアモを見ると、アモが苦笑しながら指を指していたのでその方向を見ると泡を吹いて白目を向いている3人を見てハリムは慌て出した
「うわわわわ…やってしまった…」
「とにかく寝かせましょう!」
カオリがそう言うとハリムはコクりと頷いてリュートとチルとエノンを抱えて2階の寝室へ駆け込んだ
「…あの人、少し抜けてるよね」
「たしか前に会った時もチルを気絶させてた気がする」
「少しじゃなくて凄く…だね」
「だな」
アモとカオリは少し心配になりその後を付いて行って寝室を覗き込む
中ではリュート達を心配し、必死になって看病し始めたは良いが、水で湿らせた布を額に置こうとすると肘が水の入ったバケツにぶつかり、その水がチルに掛かり飛び起きてハリムと額をぶつけた
「「…」」
その光景を見て2人は嘆息した
「不器用…だね」
「あれくらい俺でも出来ると思うぞ!」
アモが無駄に胸を張って言うがカオリは無視して再び中を覗いた
中では水浸しになったチルがハリムに説教していてハリムの体は大きい筈なのに徐々に小さくなっている様に見える
「これは中々の迫力ですねアモさん!」
「そうですね!なんと言ってもあのチルの般若顔が威圧感をより引き立たせていますね!」
ガチャ
「「あ…」」
「何してるの?」
手を鳴らして影の掛かった微笑みを浮かべるチルは逃げ出そうとする2人を掴まえてハリムもろとも小一時間程、説教した
「ん?」
リュートが目を覚ました時には、窓から赤い夕焼けが覗き込んでいて少しすきま風が入ってくる様な時間帯になっていた
「ここは…」
リュートは懐かしの部屋を見渡すと軽く微笑んだ
「帰って…来たんだな…」
リュートは隣から聞こえてくる寝息を出している幼女の頭を撫でるとベッドから降りて部屋を出ようとした
すると突然腕を掴まれて動きが悪くなった
「はあ…」
リュートは溜め息を吐くと、腕を掴んできたエノンの頭を撫でると突然抱き着かれた
「リューくん…」
「どうした?」
「…(好き…)」
「え?なんて?」
「なんでもないよ~!」
エノンはリュートの胸に顔を擦り付けると更に力強く抱き締めた
「もう…いなくならないで…一緒にいてね?」
リュートは笑みが口から漏れるとエノンに耳打ちした
「…」
するとエノンは顔を赤くして目を見開いてリュートの顔を見詰めた
「本当…?」
「ああ、本当だ」
リュートはそのままエノンを抱き抱えると下へ降りていった
「おお!リュート!起きたか!」
「いつ髪の毛変えたの~?」
「もうご飯出来たから座って~!」
リュート、エノン、アモ、チル、カオリ、ハリム、タイタンは一斉に手を合わせて大きな声で…
「戴きます!」
「「なんだ?」」
「帰ろう、お父さんが待っている俺の故郷へ…我が家へ」
リュートが泣き疲れて眠ってしまったエノンを抱き上げて微笑むと、部屋を出てハーレンに伝えた
「お前達もか…分かった、送ろう…お前達の家は「待って!」」
突然遮った声に驚いて振り向くと息を切らしたカオリがいた
「どうしたの?」
チルが聞くと同時にカオリの後ろからアリウス達が来た
「アリウス!クル!キル!アリス!」
「何も言わずに行くなんて水臭いな、別れの挨拶位しろよ」
キルが鼻を擦りながら言うとクルは溜め息を吐いた
「リューさん、元気でね!」
「じゃあな、リュート!」
「わ、私からも!さようなら!」
リュートは涙を流して背を向けた
「それじゃあ…またいつか…」
「ああ!またな!」
ハーレンが開けてくれた裂け目に入っていくとそこへアリウス達を押し退けて裂け目に飛び込んだ者がいた
「久し振りだなぁ…姉ちゃん、お父さん元気か?」
「どうだろうね~!それは秘密なのだ!」
「なんなのその言い方~!」
「リュート!早く行こうぜ!」
「おう!」
5人がリュートの家へ向かっていく後ろで、裂け目へ飛び込んだ者、ナタは辺りを見渡してこの平原を駆け抜けていった
(墓くらいは…な…)
心で呟くとリュート達には目もくれず疾風の如く走っていった
リュートは家のドアを開けようと、ドアノブに触れると戸惑って手を引いた
「どうしたの?」
「いや、勝手に家を飛び出した俺が帰ってきて、しかも友達まで連れてきて…本当に良いのかな…って思ってな…」
「良いに決まってるじゃない!あんたが友達を何人連れて来ようが新しい家族を何人連れて来たって良いのよ!」
チルが怒鳴るとドアが開いた
「チル…リュート…」
「お父さん…」
リュートが呟くとハリムは2人をギュッと抱き締めた
「良かった…無事で…本当に良かった…」
「お父…さん…」
リュートの目から涙がポロポロと零れ落ちて、空を見上げた
「行こう、アモくん、私達は邪魔みたい」
「そうだな」
2人が少し離れようとすると服の裾を掴まれた
「「く、苦じぃ…」」
リュートとチルが顔色を悪くして泡を吹き出すとアモはハリムの頭をツンツンと突いた
ハリムが顔を上げてアモを見ると、アモが苦笑しながら指を指していたのでその方向を見ると泡を吹いて白目を向いている3人を見てハリムは慌て出した
「うわわわわ…やってしまった…」
「とにかく寝かせましょう!」
カオリがそう言うとハリムはコクりと頷いてリュートとチルとエノンを抱えて2階の寝室へ駆け込んだ
「…あの人、少し抜けてるよね」
「たしか前に会った時もチルを気絶させてた気がする」
「少しじゃなくて凄く…だね」
「だな」
アモとカオリは少し心配になりその後を付いて行って寝室を覗き込む
中ではリュート達を心配し、必死になって看病し始めたは良いが、水で湿らせた布を額に置こうとすると肘が水の入ったバケツにぶつかり、その水がチルに掛かり飛び起きてハリムと額をぶつけた
「「…」」
その光景を見て2人は嘆息した
「不器用…だね」
「あれくらい俺でも出来ると思うぞ!」
アモが無駄に胸を張って言うがカオリは無視して再び中を覗いた
中では水浸しになったチルがハリムに説教していてハリムの体は大きい筈なのに徐々に小さくなっている様に見える
「これは中々の迫力ですねアモさん!」
「そうですね!なんと言ってもあのチルの般若顔が威圧感をより引き立たせていますね!」
ガチャ
「「あ…」」
「何してるの?」
手を鳴らして影の掛かった微笑みを浮かべるチルは逃げ出そうとする2人を掴まえてハリムもろとも小一時間程、説教した
「ん?」
リュートが目を覚ました時には、窓から赤い夕焼けが覗き込んでいて少しすきま風が入ってくる様な時間帯になっていた
「ここは…」
リュートは懐かしの部屋を見渡すと軽く微笑んだ
「帰って…来たんだな…」
リュートは隣から聞こえてくる寝息を出している幼女の頭を撫でるとベッドから降りて部屋を出ようとした
すると突然腕を掴まれて動きが悪くなった
「はあ…」
リュートは溜め息を吐くと、腕を掴んできたエノンの頭を撫でると突然抱き着かれた
「リューくん…」
「どうした?」
「…(好き…)」
「え?なんて?」
「なんでもないよ~!」
エノンはリュートの胸に顔を擦り付けると更に力強く抱き締めた
「もう…いなくならないで…一緒にいてね?」
リュートは笑みが口から漏れるとエノンに耳打ちした
「…」
するとエノンは顔を赤くして目を見開いてリュートの顔を見詰めた
「本当…?」
「ああ、本当だ」
リュートはそのままエノンを抱き抱えると下へ降りていった
「おお!リュート!起きたか!」
「いつ髪の毛変えたの~?」
「もうご飯出来たから座って~!」
リュート、エノン、アモ、チル、カオリ、ハリム、タイタンは一斉に手を合わせて大きな声で…
「戴きます!」
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