ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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10章 妖精界での冒険

sidestoryⅢリュート2~次の日~

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リュートは紙を見ようとしたが月の光だけではよく見えず次の朝まで眠る





「クックックッ、あの男は特別バカだな~、まさかこんな子供の為だけに自分から嫌な事に首を突っ込むなんてな~」
男は3人を右腕に抱きながら上空からリュートを見てニヤニヤ笑っていた





パチッ
リュートは朝日に照らされ目が覚めた
「んん~」
リュートは目を擦って辺りを見渡した
辺りには大きな岩が幾つかあり、緑が見えなかった
「ん~、そうだった」
リュートは欠伸を掻き手に持っていた紙を見ようとするが紙が見当たらない
「あれ?あれ?嘘だろ!?」
リュートは起き上がり自分の周りを確認するが紙は見つからない
「どこだ!」
リュートが立ち上がるとヒラヒラとリュートの腰から落ちていった
「…あった」
リュートはその紙を取りそれを見る
そこには
『こいつらを助けたければ魔界へ1人で自分で来い!期限は3日目の夕日が沈むまでだ!』
「…どうすれば…」
リュートは紙を手から落として両膝を地面に着いた
「クックックッ、その顔だよ、良いね~、人が絶望した時の顔は」
リュートが顔を上へ向けるとそこには3人を片手に抱いた昨日の男が浮いていた
男の容姿は黒いローブを纏っていて黒い靴を履いている。ローブの中は永遠に続く闇のように見える
下から見ただけではそれしか分からなかった
「早くエノン達を返せ!」
「なら魔王軍へ入るのだな?」
「ああ、だから早くエノン達を返せ!」
「おお、恐い恐い、はい、返したよ」
男は右腕をバッと離すとエノン、ルクス、タイタンがリュートの上に落ちてきた
「うお!」
リュートはエノンを右手で、ルクスを左手で、タイタンを両手で、間一髪でなんとか捕まえる事に成功した
「ふう、あっぶね~」
「こっちへ来い」
「まず戻してくる」
「じゃあ俺も着いていこうかな」
リュートがエノン達を抱えている後ろで男が歩いて付いてきていた
そして小屋があった場所へ着くとナタ達がまだ寝ていた
エノン達をナタ達の横へ寝転がした
「じゃあ来い」
男は鎌で空間を引き裂きその奥はどこかの石造りの部屋だった
男に手招きされリュートはその裂け目の中へ入っていく
「んん~」
その時運悪くエノンが目を覚ました
「リューくんどこに行くの?」
「っ!…」
リュートは振り返ってエノンを見ようとしたが思いとどまり無視して裂け目の中へ入っていった
「リューくん!」
エノンの足音が聞こえてきてリュートの腕を掴んだ
「どこに行くの!」
「…邪魔だ、失せろガキが」
「リュー…くん?」
リュートはバッとエノンの腕を払うと
「俺はもうお前らの面倒を見るのが鬱陶うっとうしくなってきたんだよ、このガキが!」
リュートが言葉に威圧を込めるとエノンは涙を流してへたりと尻餅をついてしまった
「じゃあな!今まで糞ムカついたよ、このアホガキが」
リュートがそう言い裂け目の中へ入ると裂け目が小さくなって消えていった
リュートは最後に背中を見せていたが目からは物凄い量の涙が溢れていた
「うわぁぁぁああぁぁぁあああぁぁぁああぁぁあ!」
エノンが大声で泣き叫ぶとナタ達も目を覚ましてエノンの側へ来た
「どうしたんだエノン?」
ナタが聞くとエノンはナタに泣き付いた
「うわぁぁぁああぁぁぁあああぁぁぁああぁぁあん!リューくんが!リューくんがぁ!うっ、うっ、うわぁぁぁああぁぁぁあああぁぁぁああぁぁあぁぁぁあぁぁぁああぁぁあ!」
ナタはエノンの頭を撫でるが全く泣き止む気配は無い





エノンが泣いている時、リュートも石造りの部屋を出た後も涙を流していた
「傑作だったぜ!あの女の信じられないと言った顔はよ~!」
男が嘲笑いながら言うとリュートはその男の頭を掴んで壁に押し付けた
「エノンの悪口を言うと殺すぞ!」
と、リュートは怒りと悲しみに顔を歪ませて男に威圧する
「お~、恐い恐い、そこまであいつの事を気に入ってたのか?もしかしてあの女はお前の嫁か?」
男の他人をイラつかせる様な話し方にリュートは堪忍袋の緒が切れそうになるが、必死で危害を加えるのは抑えどうしようもない怒りを壁に押し付けた
壁は木っ端微塵に砕けそこには紫色の空と黒い煙を吐く以上なモンスター達が蔓延る土地に建っている城が見えた
「クックックッ、楽しいね~、人を怒らせるのは」
男が歩いて行くとリュートは怒りで顔を歪ませながらも男の後を追っていった
軈て着いたのは玉座があり、その前には赤い絨毯じゅうたんが敷いてあり、それは男が開けた大きな扉の前まで続いていた
扉の大きさは大体、縦の長さが大人が20人位で横が10人位の大きさだった
「やあやあ、来たね来たね来たね~!」
リュートはいきなり聞こえてきた声に驚いて辺りを見渡したするとさっきまで誰もいなかった玉座にレインと同じくらいの少年が偉そうに座っていた
「誰だ…」
「誰だ…だって~?僕は僕は僕は~!君達が魔王って呼ぶ者だよ~!」
(こいつが魔王…想像以上に強いぞ…今の俺じゃ1秒耐えられただけでも物凄く良い方だな)
リュートが冷や汗を額に掻いていると男が部屋から出ていった
リュートはその事には気付かず魔王をずっと見ている
「じゃあ早速だけどこいつと戦ってね!勝てたら魔王直下の其の8龍騎軍団の団長にしてあげる
その代わり負けたら死んでもらうからね!」
と、魔王はニコニコと笑いながら言い出した
「じゃあ…来て!ホウライ!」
魔王が叫ぶと魔方陣が魔王の隣に現れ、魔方陣がガゴゴゴゴゴと重い音を立てて開き、その中から竜人が姿を現した
(俺以外の竜人初めて見た~)
リュートが驚いていると
「始め!」
と魔王が叫び、その声に我に戻ったリュートと、その声と同時にリュートに飛び掛かった竜人の男は戦闘を開始した
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