ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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8章 知識の神の謎解きとゲーム

94話脱出ゲーム

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ミルが入ると扉は重々しい音と共にしまった
そして暫くすると左右に青い火が灯り一定間隔で灯っていった
「これに沿って進めば良いのかしら?」
ミルが進んで行くと階段が見えてきた。ミルがその階段を登っていくと1人の眼鏡を掛けた青年がいた
「次の相手は君か」
青年は眼鏡をクイッと上げてミルを見る
「あなた誰?」
「僕かい?僕はハヤト=ナリタだ」
「ハヤトナリタ?…ハヤト=ナリタ?貴族?」
「違うよ、れっきとした日本人さ」
「ニホンジン?何言ってるの?」
「まあ、自己紹介はこれまでとして、君にはこれからあるゲームに参加してもらうんだけど」
「ゲーム?」
ミルは聞き慣れなかった言葉に首を傾げた
「ゲームって言うのはね、要するに遊びだよ」
「へぇ~、それでどんなゲームをするの?」
「僕からはこのゲームを提案するよ」
ハヤトが手を横へ伸ばすと手の平に炎が現れその炎が消えると1枚の紙が手の平にあった
「はい、これ読んでね」
ハヤトが渡してきた紙には何かが書いてあった





対戦形式
形式―脱出ゲーム
勝利方法・無事生きて脱出すること

参加方法
この話を持ち出してきた者と同じ部屋にいること

説明
次々と自分を襲い来る化け物から逃げながら無事生きてそのステージを生き残り脱出すること
(化け物の数は不明)

対戦の決まり

参加者は建物を直接破壊してはならない

参加者は化け物を直接攻撃してはならない

親は化け物を3体以上出してはいけない(ゲームの進行状況によって変わる)

参加者は同じ参加者がいた場合その者と手を組んでも構わないがその者を直接殺す事は禁止


「じゃあ始めるけど準備できた?」
「1つ聞いていい?て言うか聞くけど化け物ってどんな見た目なの?」
「ん~、まあ言っても良いか。化け物の見た目は蜘蛛だよ。じゃ始めるね」
ハヤトが笑顔でそう言うとミルの視界が歪み意識が飛んだ





「う~ん」
ミルが目を覚ましたのは学校の校庭の隅の草むらに隠れていた
「ここは?」
ミルが起き上がると頭の中に情報が流れ込んできた





ここはとある夜の学校
ここで朝になるまでに学校の外に出よ
学校の中には化け物が潜んでおり参加者を見つけ次第襲っては食い殺していく
その上学校の周りには強力な結界が張ってありそれを破壊出来るのは学校のどこかに隠された水晶のみ





ミルの頭に流れ込んできた情報はここまでだった
「つまり朝までに生きて脱出すれば良いのね、まずはあの建物に入りましょ」
ミルは出来るだけ音を立てず、出来るだけ早くその建物へ向かった
ガチャガチャ
「閉まってるのか、どこかで鍵か何かを手に入れるか裏口は無いかしら」
ミルはまず裏口を探し出す事にした
その学校を壁沿いに歩いて行くとさっきの扉の裏手に古い木造のドアがあった
そのドアはすぐに開いた
「あ、ここから入れるのか」
そのドアの中はどこかの道具入れの様な場所だった
「ここから入るんじゃないのね。ここで鍵があるか探しましょ」
ミルは近くにあった箱を開けてその中や棚の上を見る
「あ、あった」
鍵があったのはドアノブだった何かの紐に引っ掛けられていた
「早く行きましょ、ここ気味が悪いわ」
ミルは足早に最初の扉の前に来た
「これで開けれるかな?」
ガチャガチャ
「あ~、開かなかったか~。他の道を探すしか無いわね」
ミルは他の入り口を探しに今度は逆周りに歩いて行った
「あ、ここかな?」
建物の横側にドアがあった
そのドアの鍵穴に鍵を差し込み左に回す
ガチャリ
「あっ、これって」
ドアノブを回してドアを押すと軋みながら開いた
「うわ!臭っ!」
ミルは思わず鼻を摘まんだがゆっくり辺りを見回した
「う~ん、暗くてよく見えないわね、明かりを付けれるか試しましょ」
どこかにランタンが無いか確かめたが見つからなかったので諦めた
するとミルの頭にまた情報が流れ込んできた

このゲームでは明かりはランタンではなくライトと言う道具を使う
部屋の壁にスイッチがありそこで部屋の明かりを付けることが出来る

「なるほど、じゃあ壁にスイッチを見つける事が出来れば」
ミルは部屋の壁を触りながら歩いて行くと妙な出っ張りがあった
「あっ、スイッチ、かな?」
ミルがそのスイッチの様な物をカチカチと押してみるが明かりは灯らない
「何か光を出せる物は~」
ミルが部屋の中を探していると何かに躓いた
「うわっ!いったたた~、これ何?」
ミルが躓いた物を拾いそれについていたスイッチを押してみた
すると
「わっ!ま、眩し!」
眩しい位の明かりがついた
「まあ…これで探しやすくなったわね」
ミルがそのライトを部屋へ向けるとそこには沢山の散らばった紙と転がった机が幾つかあった
「うん?この紙は?」
紙を見ていくとテストの結果や日記が残されていた
ミルはその場で日記を読み始めた
『7月24日
今日から夏休み、最高だぜ!』

『8月1日
日記書くの忘れてました!だけどこれからちゃんと書いていきます!』

『8月2日
今日は学校の水泳学習1日目、楽しみだぜ!』

『8月3日
今日学校へ行ったら可愛い女の子がいたんだけどいままで見たこと無かったな~?転校生かな?』

『8月4日
今日、友達の家に呼びに行ったらいきなり死んだって言われた。その事を話しかけてきた昨日の可愛い子に話したら慰めてくれた』

『8月5日
今日、ヤバイ物を見ちまった!あの女の子が巨大な蜘蛛と会話してる所を見ちまった!バレて無きゃ良いが』

『8月6日
今日もその女の子は蜘蛛と話していた
蜘蛛をよく見ると人を食べてた
俺は気分が悪くなってすぐに家に帰った』

『8月7日
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!
あの女の子と蜘蛛にバレちまった!必死で逃げたけど片腕食われちまったよ!もう学校行ったら殺されるよ…』

『8月8日
ヤバイ、あの女の子が家の』

そこで文章が途切れていた
「とにかく別の物も見てみましょ」
ミルは他の日記も見てみた
『7月24日
今日から夏休み
私は明日から旅行に行くけどポチが心配。その事を言ったらお父さんが友達に預かって貰いなさいだって!私はトモコちゃんに早速渡しに行った。トモコちゃんは喜んで引き受けてくれたよ!とっても嬉しかった!』

『8月24日
夏 最
今 帰ってき ど人の気配が ったな
トモコ ん家に たけど誰も ったし、ポ 頃どうしてるか ?
さっき窓 を見た きな蜘 が窓』

文章は血に隠れて見えなかった所が沢山あった
「って事はここは学校で周りには色んな家があってそこでは蜘蛛がいて、蜘蛛といた女の子がとても怪しい、気になるし他のも見てみましょ」

『8月8日
今日学校に行こうとしたら人を食ってる化け物がいた!急いで帰ったし家が近かったからバレずにす』

『8月8月
俺は死ぬがもしここに記して他の人の役に立てるならと思い残しておく
あの蜘蛛は人を食ってそいつを卵として産みだし新たな蜘蛛を増やしていく。つまり奴に食われると俺も蜘蛛になっちまう、が奴らは近くに人の死体には目もくれてなかった。って事は死んだら奴には食われず蜘蛛にもならないって事になる。俺はバカだから特に何も思い付かねえ、だから賢いやつ!あの蜘蛛を人に戻してくれ!頼む!』

『8月8日
恐いよ!誰か助けて、今、地下の用具入れにいるけどいつあの化け物に気づかれるか分からない!おねがい!これを見た人がいるなら助けて!』

最後に読んだ物は折り目が付いていた
「これまでのを纏めると8月8日何かがあった。そう言えば今って何月何日だろ?そして食われたら蜘蛛になる。地下の用具入れに誰かがいる。そして生存者として確認出来るのかは分からないけど今人がいるって分かるのはこの子、味方の内でね。敵側にはある一人の女の子がいる。この中で唯一出てきた人の名前はトモコちゃん。そして生きてるかもしれない犬のポチ、この2人は今も生きているかもしれない。この日記がトモコちゃんのだったらね」
ミルはとにかく学校の中の地下の用具入れを探し始める事にした
「どこかに初めて来た子でも迷わない様に地図があるはず。これは誰でも分かるような所にあると思うからまずあの玄関へ向かおう」
ミルはこの学校の地図を探しに玄関の方向へ歩き出した
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