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四乃原 語 5
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西に、ある皇国があった。
名前は「ソルシアス」。
幾たびの戦況をくぐり抜け、他国にその領地を狙われるも、それすらも運と力で制した「鉄壁の魔女 アーナ・ソルシアス」が統治している都市である。
もう察した読者もいるかもしれないが、この国を統治する皇女は魔女である。
歳もかなりいってる。が、その見た目は余りにも若い。
彼女の持つ魔力が故か、彼女がいるとされている城は昼間は霧に隠れていてお目にかける事はできなかった。
それは、彼女の居場所を敵国に晒されるのを防ぐ為だと言われているが、はっきりした事は定かじゃない。
彼女は魔女ではあるが、皇国の皇女でもあった。
もともとは、ソルシアス家というのは名家だった。
初代竜騎士王 「ドゥエイン・ソルシアス」から数えて、彼女の父親の代まで数えておよそ100年の歴史がある。
先代が竜殺しとして有名なドゥエインであった為に、彼女も竜騎士としての血を受け継ぐのかと思われたが、そんな事はなかった。
むしろ、そんなプレッシャーが彼女を魔女への道に駆り立ててしまったのかもしれない。
おっと。
先にこの世界についての説明をした方が良かったかな?
いや、まだ大丈夫だろう。
だって、直に分かるはずだから。
この世界の全てが。
深い森の中をひたすら歩き続け、もう1時間は経ったんじゃないかと思う。
僕は運動能力が高い訳じゃないから、やはりこういった場面では直ぐにバテてしまう。
さっきから彼女に連れられ、右や左やと移動しているわけだが。
それは手馴れた様子で、かなりこの辺を熟知している様子だった。
「ね、ねえ?」
「?、何です?」
「まだ自己紹介してないよね?」
「………とりあえず、あなたがクライスでは無いのは分かりました」
「そんなに似ているの?その………クライスって人に?」
「かなり。でも、その服装や言葉遣いから最初から疑うべきでした。てっきり、似ていた為につい舞い上がっちゃって…………」
「いや、それは良いんだ。えっと、とりあえず僕は四乃原 語(しのはら かたり)って言うんだ」
「私は、ジュノリア・スクーデリア。そしてこの子がレイフェン」
「よろしくな」
「あ、うん」
レイフェン………か。
そして彼女の名前が、ジュノ。
「なんかデジャブを感じる………」
「どうかされましたか?」
「いや、何でも無いよ。ところでさ、今、これどこに向かってるの?」
「西の都”ソルシアス”です」
「西の都?いったいどんなところ?」
「街自体はそれほど大きくはありません。とりあえず、そこに私の知り合いがいるのでそこで今後の作戦会議を、と」
「そっか」
「……………私も、訊いていいですか?」
「うん、何?」
「…………その、語さんが居た世界ってどんな世界ですか?」
「どんな世界?」
「ええ、先ほど敵兵と戦っていた際に”元の世界に戻らなくちゃ…………”と仰っていましたから。ちょっと気になったので」
「……………」
どんな説明が、彼女らには分かりやすいのか?
「良いところだよ。田舎町って感じでさ。まあ、娯楽場所が少ないのがネックだけど、それでも色んな人がいて色んな話ができて飽きる事はなかった。それに…………」
僕には好きな人がいた……………。
そう言おうとして僕は思わず口ごもった。
「…………私の、生まれた街もそうでした」
「えっ?」
「私の街は海が側にあって、よくお父さんが釣ったばかりの魚を私たちに食べさせてくれたんです。ちょっと小高い丘の上には小さな図書館があって、私はいつもそこでこの世界の色んな本を読んでいました。私はそれが、楽しかった。海の側だからドラゴンや皇国の竜騎士の進行も無いし、近づけないから。………………けれど」
彼女が急に立ち止まった。
僕もそのまま立ち止まってしまった。
「平和は長くは続きませんでした。亜種と呼ばれた新種のドラゴンを連れた皇国の竜騎士たちが私たちの住む街に現れて、そして、すべてを消し去った。何もかも其処には残らなかった。悲鳴も、もう、届かない…………」
「………………」
「私は皇国のやり方はおかしいと思いました。誰かが反旗を翻さなければならない。誰かが立ち上がって剣を握り、皇国に対し報復を果たさなければならない。私は、少なくともそう思っています。そして、それがお母さんを助ける道に繋がると思うから」
「お母さん?」
「私の母が皇国に囚われているんです。”連れ去られた”と言い換えてもいいでしょう」
「…………それは、辛かったね」
「私だけの力じゃちっぽけかも知れません。実際、大した兵力も能力も私には皆無です。すぐに竜の息吹に燃やし殺されることでしょう。分かっていました。けど、そんな私にある方が手を貸してくれたんです」
「それが…………?」
「そう、クライスです」
なるほど。合点がいった。
「……………おいらはもともとみなしごだったけど、クライスが手助けしてくれたおかげで今こうしていられるんだ。感謝してもしきれないよ」
「そして、彼は皇国の騎士団だったのですが、皇国のやり方が気に入らなかった為に反旗を翻して反逆者として立ち上がったんです。私は恩返しとして彼に着いて行くことにしました」
「………………」
「けれど、この辺りで皇国の騎士団の一員を見たという情報を聞いたクライスは私たちにアジトから一歩も出るなと告げ、討伐に出掛けたままに帰ってきませんでした。その矢先でした。翌朝探しに出かけたら、あなたが倒れているのをレイフェンが見つけたんです。余りにも似ていたから、最初はクライスが戦いで敗れて記憶をなくしたんじゃ無いかと、そうおもいましたが……………」
「…………なんか、期待させてごめん」
「いいえ。あなたが気にやむことはありませんよ。他人の空似なんて良くある話です。けれど、剣を握り締め私たちを守るために戦ってくれたのは純粋に感謝の言葉しか思いつきません。ありがとうございます」
「あれはマグレだよ。大したことじゃ無いから」
「それでもですよ」
「ほんと、剣を振りかざす姿はまんまクライスそっくりだったぜ!」
「………………っ」
「あ、ごめんなさい!こら、レイフェン」
彼女が慌ててレイフェンの頭を小突く。
「あ痛っ!何すんだよ」
「余計な事を言ってはいけません。彼は別人なんです」
「気にして無いから大丈夫だよ」
「そ、そうですか?でもごめんなさい」
再び歩みを始めた。
僕は数秒遅れて歩みを始めた。
この世界がどういった世界なのか。
その全貌はまだ掴めてはいなかった。
けれど、けれどだ。
元の世界に戻る為の方法を探すのも必要不可欠だが、この世界について知りたいという欲求もあった。
自分の知らない世界。
僕はRPGゲームなんて殆どやらないから分からなかったが、この世界の事を言うんだろう。
つくづく凄い場所に来たもんだ。
未だに、どうしてこんな世界に来たのかという問いの答えを見つけられないでいるけど。
けれど、ちょっと彼女たちの言葉には共鳴できる。
けれど、見れば見るほど不思議な世界だ。
端的にしかその世界を、見た世界を伝える事なんか出来そうもないが、僕は見た全ての景色の凄さに圧倒されていた。
鳳仙町と比べるわけじゃ無いけど、たとえヴァーチャルであってもこの世界の景色はすごかった。
「そうだ、お願いして良いですか?」
「?」
「あなたのこと…カタリって呼ばせてください」
「…………それだけ?」
「おかしい…ですか?」
「いや、別に。呼び方なんて気にしないから。それがいいならそうしたらいいよ」
所詮は、死後の世界。
けれど、もしすべてが僕の夢だったなら。
必ず、覚めてくれる…………………。
僕は歩きながら、そんな事を考えていた。
「なら、カタリって呼びますね」
「…………」
僕はちょっと頬を赤らめる彼女の顔を見て、どこか深頼ちゃんを連想していた。
…………彼女とは違うのに。
…………彼女と一緒にする事はできない。
けど、似ていた。
そっくりとまでは言わないけど、それでも似ていた。
「あ、見えてきたみたいです」
彼女はふと、指をさした。
そこには木でできた家だった。
ログハウス?と言うんだろうか?とにかく形成しているのは全部木だった。
彼女はドアの前に立ち、
「”ナイン フラ アインケルツ”」
とよく分からない言葉を口にした。
と、次の瞬間には自然とドアが開いた。
いまの言葉は”開けゴマ”みたいな感じの合言葉だろうか。
僕は彼女の後に続いて中へと入る事にした。
名前は「ソルシアス」。
幾たびの戦況をくぐり抜け、他国にその領地を狙われるも、それすらも運と力で制した「鉄壁の魔女 アーナ・ソルシアス」が統治している都市である。
もう察した読者もいるかもしれないが、この国を統治する皇女は魔女である。
歳もかなりいってる。が、その見た目は余りにも若い。
彼女の持つ魔力が故か、彼女がいるとされている城は昼間は霧に隠れていてお目にかける事はできなかった。
それは、彼女の居場所を敵国に晒されるのを防ぐ為だと言われているが、はっきりした事は定かじゃない。
彼女は魔女ではあるが、皇国の皇女でもあった。
もともとは、ソルシアス家というのは名家だった。
初代竜騎士王 「ドゥエイン・ソルシアス」から数えて、彼女の父親の代まで数えておよそ100年の歴史がある。
先代が竜殺しとして有名なドゥエインであった為に、彼女も竜騎士としての血を受け継ぐのかと思われたが、そんな事はなかった。
むしろ、そんなプレッシャーが彼女を魔女への道に駆り立ててしまったのかもしれない。
おっと。
先にこの世界についての説明をした方が良かったかな?
いや、まだ大丈夫だろう。
だって、直に分かるはずだから。
この世界の全てが。
深い森の中をひたすら歩き続け、もう1時間は経ったんじゃないかと思う。
僕は運動能力が高い訳じゃないから、やはりこういった場面では直ぐにバテてしまう。
さっきから彼女に連れられ、右や左やと移動しているわけだが。
それは手馴れた様子で、かなりこの辺を熟知している様子だった。
「ね、ねえ?」
「?、何です?」
「まだ自己紹介してないよね?」
「………とりあえず、あなたがクライスでは無いのは分かりました」
「そんなに似ているの?その………クライスって人に?」
「かなり。でも、その服装や言葉遣いから最初から疑うべきでした。てっきり、似ていた為につい舞い上がっちゃって…………」
「いや、それは良いんだ。えっと、とりあえず僕は四乃原 語(しのはら かたり)って言うんだ」
「私は、ジュノリア・スクーデリア。そしてこの子がレイフェン」
「よろしくな」
「あ、うん」
レイフェン………か。
そして彼女の名前が、ジュノ。
「なんかデジャブを感じる………」
「どうかされましたか?」
「いや、何でも無いよ。ところでさ、今、これどこに向かってるの?」
「西の都”ソルシアス”です」
「西の都?いったいどんなところ?」
「街自体はそれほど大きくはありません。とりあえず、そこに私の知り合いがいるのでそこで今後の作戦会議を、と」
「そっか」
「……………私も、訊いていいですか?」
「うん、何?」
「…………その、語さんが居た世界ってどんな世界ですか?」
「どんな世界?」
「ええ、先ほど敵兵と戦っていた際に”元の世界に戻らなくちゃ…………”と仰っていましたから。ちょっと気になったので」
「……………」
どんな説明が、彼女らには分かりやすいのか?
「良いところだよ。田舎町って感じでさ。まあ、娯楽場所が少ないのがネックだけど、それでも色んな人がいて色んな話ができて飽きる事はなかった。それに…………」
僕には好きな人がいた……………。
そう言おうとして僕は思わず口ごもった。
「…………私の、生まれた街もそうでした」
「えっ?」
「私の街は海が側にあって、よくお父さんが釣ったばかりの魚を私たちに食べさせてくれたんです。ちょっと小高い丘の上には小さな図書館があって、私はいつもそこでこの世界の色んな本を読んでいました。私はそれが、楽しかった。海の側だからドラゴンや皇国の竜騎士の進行も無いし、近づけないから。………………けれど」
彼女が急に立ち止まった。
僕もそのまま立ち止まってしまった。
「平和は長くは続きませんでした。亜種と呼ばれた新種のドラゴンを連れた皇国の竜騎士たちが私たちの住む街に現れて、そして、すべてを消し去った。何もかも其処には残らなかった。悲鳴も、もう、届かない…………」
「………………」
「私は皇国のやり方はおかしいと思いました。誰かが反旗を翻さなければならない。誰かが立ち上がって剣を握り、皇国に対し報復を果たさなければならない。私は、少なくともそう思っています。そして、それがお母さんを助ける道に繋がると思うから」
「お母さん?」
「私の母が皇国に囚われているんです。”連れ去られた”と言い換えてもいいでしょう」
「…………それは、辛かったね」
「私だけの力じゃちっぽけかも知れません。実際、大した兵力も能力も私には皆無です。すぐに竜の息吹に燃やし殺されることでしょう。分かっていました。けど、そんな私にある方が手を貸してくれたんです」
「それが…………?」
「そう、クライスです」
なるほど。合点がいった。
「……………おいらはもともとみなしごだったけど、クライスが手助けしてくれたおかげで今こうしていられるんだ。感謝してもしきれないよ」
「そして、彼は皇国の騎士団だったのですが、皇国のやり方が気に入らなかった為に反旗を翻して反逆者として立ち上がったんです。私は恩返しとして彼に着いて行くことにしました」
「………………」
「けれど、この辺りで皇国の騎士団の一員を見たという情報を聞いたクライスは私たちにアジトから一歩も出るなと告げ、討伐に出掛けたままに帰ってきませんでした。その矢先でした。翌朝探しに出かけたら、あなたが倒れているのをレイフェンが見つけたんです。余りにも似ていたから、最初はクライスが戦いで敗れて記憶をなくしたんじゃ無いかと、そうおもいましたが……………」
「…………なんか、期待させてごめん」
「いいえ。あなたが気にやむことはありませんよ。他人の空似なんて良くある話です。けれど、剣を握り締め私たちを守るために戦ってくれたのは純粋に感謝の言葉しか思いつきません。ありがとうございます」
「あれはマグレだよ。大したことじゃ無いから」
「それでもですよ」
「ほんと、剣を振りかざす姿はまんまクライスそっくりだったぜ!」
「………………っ」
「あ、ごめんなさい!こら、レイフェン」
彼女が慌ててレイフェンの頭を小突く。
「あ痛っ!何すんだよ」
「余計な事を言ってはいけません。彼は別人なんです」
「気にして無いから大丈夫だよ」
「そ、そうですか?でもごめんなさい」
再び歩みを始めた。
僕は数秒遅れて歩みを始めた。
この世界がどういった世界なのか。
その全貌はまだ掴めてはいなかった。
けれど、けれどだ。
元の世界に戻る為の方法を探すのも必要不可欠だが、この世界について知りたいという欲求もあった。
自分の知らない世界。
僕はRPGゲームなんて殆どやらないから分からなかったが、この世界の事を言うんだろう。
つくづく凄い場所に来たもんだ。
未だに、どうしてこんな世界に来たのかという問いの答えを見つけられないでいるけど。
けれど、ちょっと彼女たちの言葉には共鳴できる。
けれど、見れば見るほど不思議な世界だ。
端的にしかその世界を、見た世界を伝える事なんか出来そうもないが、僕は見た全ての景色の凄さに圧倒されていた。
鳳仙町と比べるわけじゃ無いけど、たとえヴァーチャルであってもこの世界の景色はすごかった。
「そうだ、お願いして良いですか?」
「?」
「あなたのこと…カタリって呼ばせてください」
「…………それだけ?」
「おかしい…ですか?」
「いや、別に。呼び方なんて気にしないから。それがいいならそうしたらいいよ」
所詮は、死後の世界。
けれど、もしすべてが僕の夢だったなら。
必ず、覚めてくれる…………………。
僕は歩きながら、そんな事を考えていた。
「なら、カタリって呼びますね」
「…………」
僕はちょっと頬を赤らめる彼女の顔を見て、どこか深頼ちゃんを連想していた。
…………彼女とは違うのに。
…………彼女と一緒にする事はできない。
けど、似ていた。
そっくりとまでは言わないけど、それでも似ていた。
「あ、見えてきたみたいです」
彼女はふと、指をさした。
そこには木でできた家だった。
ログハウス?と言うんだろうか?とにかく形成しているのは全部木だった。
彼女はドアの前に立ち、
「”ナイン フラ アインケルツ”」
とよく分からない言葉を口にした。
と、次の瞬間には自然とドアが開いた。
いまの言葉は”開けゴマ”みたいな感じの合言葉だろうか。
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