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ジジイ最終奥義ペット自慢

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捜索を続けて、教会の残骸後まで来た俺だったが、中には負傷したおっさんたちしかいなかった。
 負傷したおっさんたちを放っておくのも体裁が悪いので、ファーザーに聖国式タンカーに乗せるように頼み、頭を巡らせる。
 教会にもいないとなると俺が調べてない大きな施設は地下闘技場レビューくらいだな。

 幼女のママが地下闘技場でバトルを繰り広げているとは思えないが、もうそこしか存在しない。
 行かない手はないだろう。

「……残るはレビューだけですね」

「魔王様、教会にかかわるものをすべて破壊するおつもりだと! 何という方だ!」

 俺が呟くと、遠足に行く前の小学生ばりのテンションでドロネコが応じる。
 このダンディ、捜索をお遊びと思ってるだろう。
 まったく幼女の未来が掛かっているというのになんて奴だ。

「セールスマンに伝えなければいけませんね」

「終わった暁には魔王様自ら、聖国の資本化の話を通してくださると……! 私は一生あなたについていきますぞ!」

 ドロネコにセールスマンにチクるぞと言ったのに、更にテンションアップした。
 どうやら彼は無敵のマゾ戦士だったようだ。
 攻撃するごとにテンションアップする化け物など、俺の手には負えない。
 コイツを派遣したキ〇ガイは絶対許さん。



 ―|―|―



 磔にされたおっさんたちと行軍するおっさんたちと共に、ドンブラコドンブラコされていると、前一日だけ収容された監獄が見えてきた。

 おっさんたちは俺が歩くところが道だみたいな感じで、目の前にある監獄の壁を砲撃で吹き飛ばす。
 おっさんたちによって作られた道から、監獄の内部に侵入していく。

 内部に入っていくと鋭い光が俺の目を射抜く。
 何事だと思うと、薄暗い監獄の奥からハゲが出てきた。

「ま、魔王貴様、これは……」

「お前らあいつも縛り上げろ」

 ハゲが何か言いかけていたが、ファーザーが即座に取り押さえるように周りに呼びかけ。
 奴は怪我もしていないのに、聖国式タンカーに磔にされる。
 ファーザーが若干暴走してる感も無い訳でもないが、特段磔にされたところで害もないので不問にする。

 監獄の奥に行くと梯子のついた謎の大穴を発見した。

「この下がレビューだ」

 ファーザーがそう説明したので俺は神輿から降りる。

「このまま全員で降りるのも時間がかかりますから、少人数で行きましょう」

 俺がそう提案すると

「私が行かなければ、真にレビューを解体することは出来ない」

 先ほどまで何とも言えない顔をしていたおじいちゃんが喜色満面な顔をして、そう進言してきた。
 介抱してやった俺に報いて、じじいの知恵袋を披露してくれるらしい。
 暴走した時はとんでもない奴だと思っていたが、やはり奴はジジイ。
 世にあるあまねくジジイどもよろしく、若者には理不尽な優しさを披露してくれるらしい。

「そうですか、じゃあ案内してください」

「わ、私も行かせてください」
「俺も行こう。教皇の言葉は信用できん」

 ジジイの付き添いを許可するとビッチとジジイ好きのファーザーもついて来ることを進言してきた。

 まあ中見て、ママ探すだけだしこれだけいれば十分か。

「では行きましょうか」

 俺ははしごを使うのも面倒なので、そのまま穴の中に飛び込む。
 ああ、ダメだ結構深いなコレ、めちゃくちゃスース―する。

 俺はあの高いところから落ちる時のゾワ付きを不快に感じながら地面に着地する。

 すると目の前にはところどころ、明かりとりが置かれた広間が広がっていた。
 ところどころに血の跡が確認できる。
 間違いなくハッテンジョウだ。

 俺がそういえば、ファーザーのお気に入りの場所とか前いっていたことを思い出していると、何かのうめき声が聞こえてきた。
 よく耳を澄ますと広間の向こうの壁から聞こえてきていることがわかった。
 あの壁の向こうに何かいるようだ。

「どうしたんだ。こんなところで止まって?」

 俺が訝しんでいると、ファーザーが声を掛けてきた。
 梯子から降りてきたようだ。

「いえ、あちらから何か呻きが聞こえきて」

「フハハハハハ」

 俺がファーザーに答えるとおじいちゃんが大笑いを始めた。

「愚か、あまりにも愚か! 魔王ここで潰えるがいい!」

 ジジイが絶叫すると向こうの壁が砕けて黒い何かがこちらに飛び出してきた。
 この国の人間飛び出すの好きすぎだろ……。
 そんなことを思っていると俺は壁にめり込まされ、向こうに黒い竜とその背に乗ったおじいちゃんの姿が見えた。

「ふははは! あまりにも脆い! 所詮は魔王も人間よ、龍には勝てぬ!」

 どうやらおじいちゃんは俺に報いるのではなく、ジジイ最終奥義ペット自慢がしたかったようだ。

「アテナ、魔王に与した貴様も同罪だ。貴様も母親と同じ様に死ぬがいい」

 おじいちゃんは壊れた壁の向こう側に見える白髪のしゃれこうべに目を向けるとビッチに目を向ける。
 ビッチはペットの為に備え付けられたインテリアを見せつけられ、目を見開く。
 ジジイが余計な事をしたせいで、ビッチの新たな性癖を開放してしまったようだ。
 おじいちゃんはビッチが「竜、まじぃかわぃいんですけど」みたいなことを思ったと勘違いしたのか、ペット自慢に拍車を駆ける。

「次期聖女のことは気にすることはない。上にいる貴様の妹がその任を果たす。昔私の権力を脅かそうとした赤子が今更になって役に立つとは数奇なものよ」

「あなたという人は……!」

 何を言っているのかわけが分からないが、きっとビッチの妹に竜を見せてやるぜみたいなことだろう。
 今の俺にはビッチのこと、ペットのことなどどうでもいいというのに。
 俺は幼女のママを見つけねばならんのだ。

 流石にあからさまに塩対応すれば、ジジイも聖女もボルテージを下げるだろう。
 俺はめり込まされた壁から抜け出す。

「な、魔王! 貴様生きて!?」

 するとジジイは壁から出た俺を凝視し始める。
 塩対応の絶好のチャンスだ。

「竜? それがどうしたのですか。そんな低俗で下らないもので何がなせるというんです?」

「き、貴様! ず、図に乗るな。先ほどのものは挨拶程度だ!」

 塩対応するとジジイは逆上して突撃してきた。
 キレやすい老人、なんて扱いが難しいんだ……。



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