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他人の不幸でメシがウメエ!

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「ふふふ、魔王様。聖職者どもの懐柔は滞りなく進んでいます。笑いが止まりませんね。聖国の周辺にいるセールス様傘下の商人から仕入れた他国の特産品を調理して出すだけで、金と教会の勢力を手に入れられるとは。我々は一つも損をしていない」

 ドロネコは悪の首魁そのもののような顔つきでパンをうまそうに食べながら語りかけてくる。
 他人の不幸でメシウマを体現したような奴だ。
 行き過ぎた利益がダンディな彼を変えてしまったらしい。

「自分たちの権威が失墜していくというのに、楽しそうに食って飲んで……。本当に酒の肴として最高ですな」

 酒がウメエ!みたいな感じでだばだば酒を飲むドロネコ。
 ざまあしただけでそんな飯が上手くなるわけないだろまったく……。
 俺はなんか自分で自分を追い込んでるらしい聖騎士たちを見ながら、パンを齧る。

「うまい……!」

 なんだこのパンは! いままで食べたどんな高級なパンよりもうまい!
 ただのそこらへんにある庶民パンのはずだというのに……なぜだ?

「気づいたようですね。魔王様、それが悦の味です」

 ビールを煽ったドロネコがニヤケ顔でなんかわけのわからんことを呟く。
 ダンディ故に悪い顔すると似合うな、こいつ。
 なんか腹立つな。

「ドロネコさん、ビールだけじゃなくパンも食べましょう」

 俺は奴の口の中にパンをぶち込む。
 ドロネコはフガア!と言いながら、青い顔で咀嚼し始めた。
 塩梅的に飲み込めるか詰まらせるかの瀬戸際だろう。
 ドロネコの悪運に期待しておこう。

 というよりも当初の目的を遂行できずに一週間近くたっている。
 幼女の親は町中にいっても発見できんし、ついてきた取り巻きたちが聖職者をボコボコにした挙句ここで金づるにするわ。踏んだり蹴ったりだ。

 幼女の親は見つからずに、見知らぬおっさんたちがどんどん増えていく。
 なんの拷問だ。
 俺はささっとお家に帰りたいというのに。

「さて、髪を梳いてあげますからね」

「うん!」

 俺が家に思いを馳せていると最近恒例になってきたビッチの幼女への過度な接触が始まった。
 髪を梳いて、頭の匂いを嗅ぎ、服の合間から見える幼女の肌をちらちら見る。
 ビッチは手慣れた感じでロリコンコンボ略してロリコンボを繰り出す。
 奴はロリコンの可能性が極めて高そうだ。
 罪のない幼女が変態の手によって汚されぬように、目を離さないようにしなければ。
 放っておいたら奴が親たちの前で、幼女の顔を嘗めまわして悦に浸るようなことになりかねない。

「魔王様、妻のマザーです。どうもあなたに助けられたようで」

 使命感を抱き始めると俺が暇になるのを狙いすかしたように、ファーザーといつぞやの欲情人妻が現れた。
 俺が目を向けるとファーザーは続きの言葉を述べた。

「我々教会に弾圧されたガクエン商業組合を復活させていただいた挙句、資本化も約束して頂いて頭があがりません」

「……今日は偉く格式ばった口調ですね。何かおありでしょうか?」

 いつもフランクな口調のファーザーの敬語に何か嫌な予感を感じると、マザーが食卓の上にいつぞやのロケットペンダントを出した。

「ここには商業組合のものが奪取した聖骸布が入っています。これをどうされるつもりでしょうか?」

 マザーが俺にそんなこといきなりそんなことを訪ねてくる。
 そんな聖骸布のことなんて知らん。

「し――」

「魔王、で、出てこい! こ、このウォルムスが貴様を討ち取る!」

 知らないと言おうとすると、いきなり震え声の大音声が聞こえた。

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