ダリアの季節

優しくも鬱陶しい風

校庭に降る雨は激しさを増すと
土を洗い流しながら低い方低い方へと向かってゆく
やがて絵の具を溶かしたようなちゃいろい土が　
何本もの蛇行した線を描き出すと

幾筋ものその蛇行する流れに乗って
乱気流で毟られ落ちたのであろう
まだ青い木の葉がゆらゆらと

いつの間にか透明へと色を変えた水の上を
危なっかしく流れてゆく

やがて、雨は少しづつそのボリウム音量を下げ出すと
幾本もの蛇行していた筋は大地に飲み込まれ

すこしぬかるんだ地表がきれいに洗われ砂利の干潟が顔をのぞかせる

風が吹く・・

すこしだけ涼しい温度差を伴う風は
頬をやさしくもうっとうしく吹き抜けてゆく

記憶には残らない
ただ体が感じ取る
永遠に肉体へと刻まれる風が　ただただ　
何度も幾度も　吹いてゆくと

彼らはその風に吹かれながら
たくましく大きくなってゆくのであろう