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37話「契約違反シタ、食ベテモイイ?」第二王子視点※ざまぁ回

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――コーエン・グランツ第二王子視点――


本宮殿を目指し庭を走っていると、前方に白い球体が転がっていた。

球体がひとりでにくるりと反転した。

目と鼻と口をくり抜かれたカブ、ジャック・オー・ランタン。

「ケケケケ……、逃ゲ出、シタネ……見タヨ、契約違反ダネ、食ベテモイイ? ……イイヨネ?」

ジャック・オー・ランタンの目が不気味にオレンジ色に光る。宙に浮いたジャック・オー・ランタンがこちらに向かってくる。

「ひっ……寄るな! 化け物!」

俺はカブを手で払った。

カブは木にぶつかり半分に割れた。

「何が【食ベテモイイ?】だ。こんな子供騙しで俺が怖がるとでも思ったのか? 兄上の子供騙しの手品に付き合ってられない!」

その場を離れようとしたとき、地獄の底から這い出てきた悪魔のような声が響いた。

【アーア……壊シ、チャッタ、コノ家、結構気ニ入ッテタ、ノニ……】

恐怖で足がすくむ、本能が逃げろと訴えているのに体が動かない……!

「うっ、なんだ……? この匂いは……?」

肉が腐ったような悪臭が漂い、俺は鼻をつまむ。

割れたカブから、黒いモヤのようなものが出てきた。モヤが固まり、人の形を作っていく。

肉が腐り落ちかろうじて骨にくっついていて、鼻がなく、眼球がたれ抜け落ちそうになっていて動く度にプラプラと揺れた。

【オ前俺、ノ家、壊シタ……オ前嫌イ、デモ美味シイ、ダカラオ前ノ仲間モ、食ベル……父親、母親、キットオ前ニ似テ、上手イ!】

人の形をした化け物が舌なめずりをして狭ってくる。

【オ前、契約ニ違反シタ、ダカラ食ベル……!】

化け物が俺の足を掴み、腐った肉を持ち上げにんまりと笑った。

「ぐぎゃぁぁぁああああああああっっ!!」
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