【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜

四話「バナナの皮で滑って転ぶとは……不覚！」

「杏奈あんな早くお風呂に入っちゃいなさい！　明日も仕事でしょ！」

「はぁ～～い」

スマホを手にしたとき居間から母親の声が聞こえた。

エッチな同人誌を布団の下に隠し、バスタオルと着替えを持ち部屋を後にする。

「しゃきっとしなさい、バイト一つ首になったんでしょ？」

廊下ですれ違った母は手にゴミ袋を持っていた。そういえば明日新年初のゴミの日だっけ。すぐゴミを出せるように前の日から玄関においておくのも主婦の知恵だよね。ゴミをゴミ捨て場に持っていくのは私だけど。

「首じゃないよバイト先が倒産したの」

「同じようなもんでしょ」

「全然違うから」

前職を首になったのと倒産したのでは、面接官の対応とかその他もろもろ違ってくるんだから。

「バイト三つ掛け持ち生活＋新たなバイト探しは辛い」

高校を卒業して、進学するお金がなかった私は就職を選択。

その就職にすら失敗して、バイトを四つ……いや一社倒産したから三つ掛け持ちしている。

それでも生活はカツカツ。

「こんなんじゃ『クリンゲル学園の天使』のオフ会にも、イベントにもいけないよ～～！」

来世はディアーナみたいな美人でお金持ちに転生して贅沢したいわ～～。

あっでも、断罪されるのは嫌かな……。

「ふぇっ……？！」

私は足元に落ちていた何かに足を取られ転んで頭を打った。

最後にチラリと見えたのは………………バナナの皮だった気がする。

なぜ廊下にバナナの皮？

あっ、さっきお母さんがゴミ袋を運んでた、そのとき落ちたのかな？

バナナの皮で滑って転んで死ぬとかかっこ悪すぎでしょっっ！！

どこのコントだよ！

セルフ突っ込みしながらも、今までの人生が走馬灯のように浮かんでは消えていく。

お母さん、女手一つで高校まで出してくれてありがとう。贅沢は出来なかったけど幸せだったよ。

楽させて上げられなくてごめんね。

こんなことなら、バナナ皮で滑って転んで死んだときも支払われる高っい保険に入っておけばよかった……。

来月発売される原作者の満月先生が描く同人誌第二弾、コーエンとマルクとゲオルグとユリアの4Pも読みたかったなぁ………………………………………………。