118 / 122
118話「ダイジェスト11」
しおりを挟む――シエル・サイド――
なんでザフィーアに体を乗っ取られたんだ? 俺はザフィーアを封じるために、ノヴァさんが俺のパンツを被って自慰してる姿を想像していたのに。
元婚約者のエルガーに会って、復縁を求められたことで、ザフィーアの意識が強くなった?
逆に俺は悪竜オードラッへとの戦いで精神力が弱っていた?
だから簡単に体の支配権を奪われたのか?
こんなことなら悪竜オードラッへを倒した後、ノヴァさんを個室に連れ込んでエッチなことしておけばよかった! ノヴァさんとエッチしている最中はザフィーアは出てこられないから。
しかし今更そんなことを言っても仕方ない、なんとかザフィーアから体の支配権を奪い返す方法を考えないと……!
「ザフィーア、やり直そう」
尚もしつこく誘ってくるエルガー。
こちらに近づこうとするエルガーを、ノヴァさんが鋭い目つきで睨みつけた。
「ひっ……!」
ノヴァさんに威嚇されたエルガーはなさけない声を上げ、二歩後退した。
「エルガー様!」
ザフィーアがノヴァさんを突き飛ばした、ノヴァさんがひどく傷ついた顔で俺の体を見てる。
同人誌のノヴァさんもあんな切なそうな表情をしていた……。
このままだと同人誌と同じ結果になってしまう……!
そんなの嫌だ!!
俺はノヴァさんが泣いてる姿なんて見たくない……!!
プツン……と音を立て俺の中で何かが切れた。
ザフィーア! お前! 俺のノヴァさんに何すんだよっっ!! もう怒ったぞ!!
俺はザフィーアがエルガーに駆け寄ろうと一歩踏み出したところで、ザフィーアの意識を潜在意識の底に引きずり込んだ。
ノヴァさんに酷いことする奴は俺が絶対に許さないっっ!!
☆☆☆☆☆
何もない真っ白な空間、ここが無意識の領域なのか……?
目の前に俺とそっくりな顔の男が立ってる、きっとあれがザフィーアだ。ザフィーアは感情の読めない冷たい目をしていた。
「ザフィーア! お前ふざけんなよ! 俺のノヴァさんに何してくれんだよ!! ノヴァさんお前に突き飛ばされて悲しそうな顔をしていたじゃないか! ノヴァさんを泣かせるやつは誰であっても俺が許さないからなっっ!!」
俺はザフィーアに詰め寄りやつの肩を掴んだ。
「ふざけているのはあなたです! これは僕の体です! 出て行って下さい!」
ザフィーアが目を釣り上げて叫んだ。なんだ感情的な表情もできるんじゃないか。
「今まで寝てたくせに全部片付いた頃に出てきて何が自分の体だ! この体は俺が出てこなかったら崖から落ちたときに濁流にのまれて死んでたんだ! 今この体があるのは俺が頑張ったからだ! だからこの体の使用権は俺にある!!」
絶対にザフィーアには渡さない!
「勝手なことを言わないで下さい! 僕だってもっと早く体を取り戻したかったんです! ……で、でもあなた方が、はっ、破廉恥なことを……しているから、その……」
ザフィーアの顔が真っ赤に染まる、最後の方は声もかなり小さかった。
「破廉恥な事ってもしかして、ノヴァさんとセックスしたことを言ってるのか?」
「セッ……! ちょ、直接的な言葉を使わないで下さい、もっと遠回しな言い方を……!」
ザフィーアの顔は耳まで赤かった、瞳の端に涙が浮かんでる。
ははーん読めたぞ、こいつの弱点。
ヌーヴェル・リュンヌ様もザフィーアは潔癖だって言ってたしな。ザフィーアはレーゲンケーニクライヒ国の教えに則り性欲とは無縁な生活を送ってきた、だから下ネタに弱い!
今まで卑猥な話を友達とすることすらなかったんだろうな。
「俺はこの体を使ってノヴァさんと10回以上セックスした、森での青姦から始まり、ホテルでのセックス、壁の薄い宿駅でのセックス、お風呂でのセックス、湖のほとりでの立ちバック、馬車の中でもお城の中でもセックスした、一晩中ノヴァさんのペニスが俺の中に入ったままだったこともある、全裸でセックスしたこともある、セックス中に何度もディープキスをした、当然ノヴァさんの精液を何度も中に出された、ノヴァさんのペニスに口をつけて精液を飲んだこともある」
「嫌っ! 止めて下さいっっ!! それ以上卑猥な言葉を口にしないで下さい!! み、耳が……耳が汚れてしまいます!!」
ザフィーアは耳を塞ぎしゃがみこんで、泣き出してしまった。
この勝負、いける……!
「ザフィーア、俺の体はノヴァさんの精液を毎日浴びて完全に汚れてるんだ、今更そんな体に戻ってどうする?」
「そっ、それは……」
そろそろ止めをさそう、これはあんまり言いたくなかったけど仕方ない。ザフィーアに体を乗っ取られる訳にはいかない、ノヴァさんを泣かせたくない、俺は絶対にこの体を手に入れる、そのためなら俺は鬼にだってなる!
「ザフィーア、ノヴァさんは俺の使用済みのパンツを集めてアイテムボックスに収集してる、そして時々集めたパンツをかぶって匂いを嗅いでる。それだけじゃない、ノヴァさんは俺が寝ている間に俺の精液を採取して、アイテムボックスに保存してる、そしてたまに取り出して飲んでる、俺はそんなノヴァさんも10回以上セックスしたんだ」
俺はザフィーアの前にしゃがみこんた。そして耳を塞いでいるザフィーアの手をどかした。
「ザフィーアよく聞け、俺はそんな変態で破廉恥でドスケベで使用済みのパンツを集めるのが趣味なノヴァさんの子を妊娠している」
妊娠していることはノヴァさんに一番最初に伝えたかったけど、今はそんなことを言っている場合ではない。
俺はなんとしてもこの勝負に勝たないといけない!
これでだめならノヴァさんとのセックスの一部始終を、詳しく解説するしかない。
しかしそんな必要はなかった、俺の言葉を聞いたザフィーアは白目をむいて倒れてしまった、童貞には刺激が強すぎたようだ。
ザフィーアの体が薄くなり、霧のように消えていく。
「ごめんザフィーア、でもノヴァさんを悲しませる奴は誰であっても許せないんだ」
例えそれがもう一人の自分であったとしても……。
無意識の領域が崩れてきた、多分もうすぐ俺の意識が浮上する。
「シエルそう嘆くことはない、ザフィーアの魂は……に宿そう」
意識が浮上する前に、ヌーヴェル・リュンヌ様の声が聞こえた気がする……。
☆☆☆☆☆
25
お気に入りに追加
3,853
あなたにおすすめの小説
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ
秋空花林
BL
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」
ワタクシ、フラれてしまいました。
でも、これで良かったのです。
どのみち、結婚は無理でしたもの。
だってー。
実はワタクシ…男なんだわ。
だからオレは逃げ出した。
貴族令嬢の名を捨てて、1人の平民の男として生きると決めた。
なのにー。
「ずっと、君の事が好きだったんだ」
数年後。何故かオレは元婚約者に執着され、溺愛されていた…!?
この物語は、乙女ゲームの不憫な悪役令嬢(男)が元婚約者(もちろん男)に一途に追いかけられ、最後に幸せになる物語です。
幼少期からスタートするので、R 18まで長めです。
【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。
転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
俺の死亡フラグは完全に回避された!
・・・と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ラブコメが描きたかったので書きました。
初恋の公爵様は僕を愛していない
上総啓
BL
伯爵令息であるセドリックはある日、帝国の英雄と呼ばれるヘルツ公爵が自身の初恋の相手であることに気が付いた。
しかし公爵は皇女との恋仲が噂されており、セドリックは初恋相手が発覚して早々失恋したと思い込んでしまう。
幼い頃に辺境の地で公爵と共に過ごした思い出を胸に、叶わぬ恋をひっそりと終わらせようとするが…そんなセドリックの元にヘルツ公爵から求婚状が届く。
もしや辺境でのことを覚えているのかと高揚するセドリックだったが、公爵は酷く冷たい態度でセドリックを覚えている様子は微塵も無い。
単なる政略結婚であることを自覚したセドリックは、恋心を伝えることなく封じることを決意した。
一方ヘルツ公爵は、初恋のセドリックをようやく手に入れたことに並々ならぬ喜びを抱いていて――?
愛の重い口下手攻め×病弱美人受け
※二人がただただすれ違っているだけの話
前中後編+攻め視点の四話完結です
モブに転生したはずが、推しに熱烈に愛されています
奈織
BL
腐男子だった僕は、大好きだったBLゲームの世界に転生した。
生まれ変わったのは『王子ルートの悪役令嬢の取り巻き、の婚約者』
ゲームでは名前すら登場しない、明らかなモブである。
顔も地味な僕が主人公たちに関わることはないだろうと思ってたのに、なぜか推しだった公爵子息から熱烈に愛されてしまって…?
自分は地味モブだと思い込んでる上品お色気お兄さん(攻)×クーデレで隠れМな武闘派後輩(受)のお話。
※エロは後半です
※ムーンライトノベルにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる