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20話「理想の家、夢のような暮らし」
しおりを挟む結局迷った挙げ句、私はロルフ様、ヴォルフリック様、ヴェルテュ様が用意して下さったお料理を一口づついただきました。
とても全部は食べられません。
三人は食事のあと、三時のおやつをどうするかで揉めだしたので、私は慌ててストップをかけました。
このままではぷくぷくに太ってしまいます!
それにおやつの前に、この状況を説明していただきたかったのです。
伯爵家に第二王子を乗せた豪華な馬車が来たことは覚えているんですが、その後の記憶がぼんやりしていて……。
三人に、昨日お屋敷で起きたことを説明してもらいました。
三人の話をまとめると、アルゾンと第二王子のリカード様の婚約は無事に成立した。
婚約から日を置かずに二人の婚姻は成立。結婚式は後で挙げるそうです。
リカード様は王位継承権を放棄し、カウフマン伯爵家に婿養子に入った。
婿養子に入ったリカード様は、カウフマン伯爵家に住むことになった。
義理の姉の私がいては、リカード様に気を遣わせてしまう。
そう考えたお義母様は、家令に私を速やかに屋敷から追い出すように命じた……。
お義母様の話を聞いていたヴォルフリック様が、家令に追い出される前に、私を屋敷から連れ出してくれた。
お義母様には育てていただいた恩があります。
せめてお義母様とアルゾンにお別れの挨拶をしたかったです。
アルゾンにも「婚約おめでとう」と伝えたかった。
そんな言葉すら拒否されてしまったのかと思うと……少し悲しくなります。
お義母様とアルゾンとは血の繋がりこそありませんでしたが、私は二人のことを家族だと思っていました。
でも二人は私を家族だとは思っていなかったのですね。
「ロルフ様、ヴォルフリック様、ヴェルテュ様、私を屋敷から連れ出してくださりありがとうございます。
私に辛い思いをさせない為に、お義母様の言葉を直接私に聞かせなかったのですね」
カウフマン伯爵家の私の役割は、家事や掃除をすることでした。
カウフマン伯爵家は王家から婿養子を迎えることになりました。
元王子様のお世話をするのに、きっと私のような者はふさわしくなかったのですね。
リカード様は高い教育を受けた、一流の使用人を連れてくるはず。
私のような素人はお呼びじゃないですよね。
「お義母様とアルゾンとリカード様が幸せに暮らせることを、遠くから願っています」
カウフマン伯爵家は土壌が豊かですし、水も空気もおいしいです。
モンスターの被害もありませんし、商売も繁盛してました。
リカード様が婿養子に来ても何不自由なく暮らせるはずです。
お義母様とアルゾンとリカード様、伯爵家で末永く幸せに暮らしてください。
私はこの場所から三人の幸せを願っています。
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