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第二章

83話「私、ハルト様となら……」

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浜辺で亀子ちゃんを待つことになった。

またリーゼロッテとふたりきりになってしまった。

どうしよう?

何の話をしよう?

僕の呪いが解けたことへの感謝を伝えるべきかな?

ちょっと待って!?

僕の呪いが解けたってことは、リーゼロッテの唇と僕の唇が触れたってこと……?

呪いは真実の愛で結ばれた二人が口づけを交わすことで解ける。

それはつまり…………リーゼロッテは僕のことが…………好き…………ってこと?

意識したら急に照れくさくなってきた。

「喉……渇きましたね」

先に沈黙を破ったのはリーゼロッテだった。

直射日光が降り注ぐビーチにいるんだ、喉が乾くのも当然。

「待って、今休むところと飲み物を出すから!」

集中力だ!

火球は上手に出せたんだ。

集中すれば魔法ぐらい上手に使えるはず!

「いでよ!
 ビーチパラソルとサマーベッドと飲み物!」

僕はリーゼロッテを視界に入れないようにして、無心で呪文を唱えた!

その結果、ビーチパラソルとサマーベッドと飲み物を出すことに成功した。

「えっ、一組だけ……?」

二組をイメージした筈なのに、現れたのはビーチパラソルとサマーベッドと飲み物は一人分だった。

「一人分しか出てこなかったからリーゼロッテが使って」

「それではハルト様が日に焼けてしまいます。
 横にならなければ、サマーベッドに二人で座れます」 

「まあ、それはそうなんだけど……。
 リーゼロッテはその、そんな格好だし……。
 僕がすぐ近くにいるのは嫌かなと思って……」

リーゼロッテは自分が今どんな格好をしているのか思い出したようで、頬を赤く染め、自身の腕で体を隠した。

「……恥ずかしいです。
 でも、ハルト様になら見られても……」

リーゼロッテがもじもじしながら言った。

えっ? なにそれどういう意味??

リーゼロッテは僕が四十一歳のおじさんだってこと忘れてないかな?

直ぐ隣に好きな女の子がいたら、エッチな気分になることだってあるんだよ。

その子が自分の瞳の色をした露出度の高い服を着ていたら、すごくいやらしい気分になっちゃうんだからね。

「日差しが強いです!
 こうしてる間にもハルト様の白くお美しい肌が、直射日光の脅威にさらされています!
 とにかく日影に入りましょう!」

「う、うん……」

リーゼロッテに手を引かれ、パラソルの作り出した日影に入り、サマーベッドに並んで腰掛けた。

「ハルト様、この飲み物……!
 二人で飲めるようになってますよ!
 画期的なデザインですね!」

「えっ?」

リーゼロッテに言われ、魔法で出した飲み物を見る。

オレンジ色のジュースの入ったグラスには、がさりのフルーツと傘がついていた。

そしてそのジュースについていたストローは、吸口が二つあるアベックストローだった!

「このストローなら二人で飲めますね」

「リーゼロッテは嫌じゃないの?」

「恥ずかしいですが、ハルト様となら嫌ではありません」

リーゼロッテがほんのりと、頬を染めて言った。


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