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第三章

88話・後日談1「『なんやかんや合って』って結局何が起きたんだよ!」ハルト・サイド・アルファポリス限定公開

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【前書き】

最終話の後なんやかんやあってハルトの呪いは解け、リーゼロッテと両思いになってイチャイチャしながら暮らしています。

「なんやかんやって結局何があったんだよ!」って思っているそこのあなたは最近追加した二章を読んでください。

「ハルトとリーゼロッテのその後が気になる」「大人になったハルトが見たい」「二人のハッピーエンドが見たい」と感想をくださった方々のために、最終回後の後日談をお届けします。

二人の初夜(R18)の内容を含みます。

後日談はアルファポリス限定公開です。

※ハルトは呪いが解けて金髪に青い目の美少年になってます(体は大人にならず十二歳のままです)。
※ハルトとリーゼロッテは両思いになってます。
※推敲しましたが誤字脱字があったらすみません。
※以上、何でも許せる人だけ読んでください。




☆☆☆☆☆



【本文】

「ハルト、あなたを大人の姿に戻す方法がわかったわ!」

海の国に引っ越して一か月。

僕は新居のテラスで、リーゼロッテとまったりとお茶を楽しんでいた。

そこにアダルギーサがやってきて、先ほどの言葉を叫んだのだった。

色々あって僕にかかっていた呪いは解けたの。

だが三十年近く子供の姿でいたので、その姿で体が固定されてしまったらしい。

髪の色と瞳の色は呪いがかかる前の金色と青色に戻ったのだが、体だけは呪いが解けたあとも少年の姿のままだったのだ。

「そうなんだ」

僕はシャインくんが作ってくれた、マカロンを口に運んだ。

ピンク色のマカロンにラズベリーを使ったクリームが挟んであって、甘みの中にほんのり酸味が効いていておいしかった。

「何よ!
 大人の姿になれる方法が見つかったっていうのに、ハルトってばテンション低いわね!」

アダルギーサが空いている席に座った。

シャインくんが彼女のためにカップを用意し、紅茶を淹れた。

アダルギーサはカップに注がれた紅茶を一気に飲み干した。

魔女は熱さを感じないのかな?

僕は自分のカップに口をつけた。マカロンにはアップルティーがよく合う。

「うーん、だって大人の姿になるって言っても、僕の場合四十過ぎのおじさんになるわけでしょう?
 二十歳ぐらいの程よく筋肉のついたピチピチのイケメンになるならいいけど、お腹の出たしょぼくれたおじさんになるのは嫌だな。
 それに双子の弟ワルモンドそっくりになったら……目も当てられないよ。
 なんか大人の姿になることに、気が乗らないというか。
 なんならこの姿のまま、ずっといた方がいいかなって」

少年から青年期をすっ飛ばして、お腹の出た中年のおじさんになるのは……あまりいい気分がしない。

「その点なら心配いらないわ!
 執事と協力して若返りの薬を作ったから!
 大人の姿に戻ってからその薬を飲めば、あんたはピチピチの二十代になれるわよ!」

「えっ? そうなの?」

僕はカップをソーサーに戻す。

思わず身を乗り出してしまった。

「天才魔女のあたしと、無駄に長生きしてる執事が揃えば、若返りの薬を作るなんて朝飯前よ!」

そう言ってアダルギーサが胸を張る。

「神界からイズンのりんごをチョチョイとくすねて来たのよね。
 材料さえ揃えば若返りの薬を作るのは簡単よ」

アダルギーサが自慢げに言った。

イズンのりんごって、神々が若さを保つために食べてるっていうあのりんごのこと?

今の話は聞かなかったことにしよう。

「それで、僕が大人の姿になるにはどうすればいいの?」

「簡単よ!
 初夜に花嫁に伝説の寝具であるベビードールを着せ、新郎が花嫁の処女を奪えばいいのよ!」

「ブハッ!!」

僕は飲みかけの紅茶を盛大に吹いてしまった。

僕とリーゼロッテは書類上は結婚しているが、まだ結婚式を挙げていない。

故に初夜もまだだ。

「結婚式には、伝説のウエディングベールと、伝説の結婚指輪と、伝説の花嫁のドレスが必要なのよね。
 今から集めに行きましょう」

どこの世界に伝わるなんの伝説なんだろう?

「伝説のウエディングベールは竜宮の城にあるわ。
 これはあたしが取りに行くわ」

竜宮の女王は男嫌いで有名だから、あそこに行くのはアダルギーサが適任だろう。

「伝説の結婚指輪は砂漠の国に住む竜が持っているのよ」

「砂漠の国に住む竜はわたくしの古い友人なので、こちらはわたくしが参ります」

シャインくんが言った。

彼は社交家なので竜界に友人が多い。

「伝説の花嫁のドレスは雪の国にいる魔王が持っているわ。
 ハルトはリーゼロッテと一緒に雪の国に行って、魔王をぶっ倒して伝説の花嫁のドレスを持ち帰って」

「あのねアダルギーサ、相手は魔王だよ。
 ゴブリンやスライムを倒すみたいなノリで言わないでくれるかな?」

「大丈夫よ、あんたが呪いにかかっていたときならいざ知らず。
 魔王なんて、呪いが解けて絶好調のあんたの敵じゃないわ。
 今のあんたにとって魔王なんて、オークやリザードマンやスライムと同じレベルよ。
 それよりも、雪国で無駄に火球を放って雪崩を起こして民間人に被害を出すんじゃないわよ」

「君の方こそ。
 竜宮の女王とケンカして海の中で炎の魔法を使って、水蒸気爆発とか起こさないでよ」

竜宮の女王とアダルギーサは似たタイプの人間だからな、ケンカにならないとは言いきれない。

「わかったわ。
 海の中では氷魔法と風魔法しか使わないように気をつけるわ」

そこは「大人なんだからつまらないケンカなんかしないわ」と言いきってほしかった。

アダルギーサを竜宮の女王の元に行かせて大丈夫かな? なんか心配だな。

「リーゼロッテには留守番していて貰った方が良くない?」

相手は魔王だし、万が一ということも考えられる。

「私もハルト様のお役に立ちたいです!
 私も連れて行ってください!
 ハルト様、お願いします!」

リーゼロッテが僕の手をギュッと握って懇願してきた。

僕は彼女のお願いに弱い。

「わかった君も連れて行く。
 だけど約束して、絶対に僕の側から離れないって」

「はい、約束します!
 ハルト様!」

リーゼロッテのことは何があっても僕が守る。

「ところでアダルギーサ。
 若返りの薬が作れるなら、僕を大人の姿にする薬も作れるんじゃないの?」

「いくら私が天才でも、あんたにかけられた呪いをどうにかする薬は作れないわ。
 あんたを大人の姿にするには、あんたの体に染み付いている呪いの残りッペを祓わなくてはいけないの。 
 そのためには聖なる道具や、呪いを解く為の儀式が必要なのよ」

「ふーん、そうなんだ」

色々と複雑なんだな。





そんな訳で、アダルギーサは伝説のウエディングベールを探しに竜宮の女王の城へ。

シャインくんは伝説の結婚指輪を求めて砂漠の国に住む竜の元へ。

僕はリーゼロッテと共に伝説の花嫁のドレスを得るために魔王城へと向かった。









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