78 / 99
第一章
78話「北の森、ドラゴンとの対面」ミハエル・サイド・番外編(ざまぁ)
しおりを挟む(学園でデリカと出来ていた変態教師の話です)
――ミハエル・サイド――
ハルトやリーゼロッテが王宮で王と対面していたとき、北の森では……。
☆
デリカとリーゼロッテの答案をすり替えていれば、成績の悪いリーゼロッテは王太子から疎まれ婚約を破棄される。
王太子に婚約を破棄されたリーゼロッテは傷物。
私は傷物になったリーゼロッテに優しく寄り添い、リーゼロッテの心を手に入れる手はずだった!
だがリーゼロッテは王命で王兄に嫁がされてしまった!
「王太子に婚約破棄されたリーゼロッテは、王兄に嫁いでしまった。
ならば王兄の屋敷に忍び込み、リーゼロッテを誘拐すればいい。
幸い王兄の屋敷は警備は手薄!
可愛そうなリーゼロッテ、倍以上年の離れた女好きの王兄の元に嫁がされ、悲しみにくれていることだろう」
女好きの王兄のこと、初夜にリーゼロッテを毒牙にかけたに違いない。
リーゼロッテの処女は王兄に奪われてしまったが、私はそんなことでは諦めない!
女好きな王兄のことだ、リーゼロッテの処女を奪ったあとは、飽きて放置しているに違いない!
きっと今ごろリーゼロッテは、王兄の屋敷にいる年増の愛人たちにいびられ、辛い思いをしているだろう。
そう私は、不幸な目に遭い、涙にくれているリーゼロッテを救いに来たヒーローなのだ!」
リーゼロッテを王兄の屋敷から救出したら、すぐに他国に逃げよう!
リーゼロッテが生娘でなくなってしまったことはショックだが、それでも私のリーゼロッテへの愛は変わらない。
王兄の愛人にいびられ、傷ついているリーゼロッテを王兄の屋敷から救出し、彼女の心の傷を癒やす!
救出したリーゼロッテは私に抱きつき、
『ミハエル先生、助けに来てくれてありがとう! 大好き!』
と言って私に口づけしてくれるに違いない!
「リーゼロッテの心を私の存在で埋め尽くしてみせる! 待っていろよリーゼロッテーー!! うわぁ……!」
足元を変な獣が走り去って行った。
考え事をしていたせいで避けそこね、転んでしまった。
ん? よく見ればあれば耳赤目赤キツネザルでは!?
あっちの木にいるのは耳九層鼻九層リス! 向こうの茂みには手赤足赤ウサギ!!
どれも絶滅危惧種じゃないか!
なぜ絶滅危惧種が北の森なんかに生息しているんだ?!
「こいつらを捕まえて闇で売れば、いい金になりそうだ。
悪く思うなよ動物たち。リーゼロッテとの新生活のための資金にさせてもらうぞ」
まずはスリープの魔法であいつらを眠らせて……。
魔法陣を作ろうとしたとき、
ズシンズシン……!
という地響きがし動物たちが逃げてしまった。
「ああーー! 待ってくれ!!
耳赤目赤キツネザル!!
耳九層鼻九層リス!!
手赤足赤ウサギ!!」
私とリーゼロッテの新婚生活の資金がーー!
「くっそー! 誰だ地響きを立てたのは! 金の卵を逃したんだ! 二発、三発、魔法弾を食らわせてやらなければ気がすまない!
いや待てよ……耳赤目赤キツネザルなんかより珍しい動物が近づいてきたのかもしれない。
まずは体の表面を傷つけないようにスリープの魔法をかけて様子を見て、それから……」
だがこのあと私は、このとき動物たちと一緒に逃げていればよかったと後悔することになる。
【こっちの方から人の声が聞こえたバーン】
【動物たちを捕えて売ると言ってたロス】
【きっとこの森に住む動物を狙う密猟者だサン。シャイン様が密猟者がきたら容赦なくやってしまえ言ってたサン】
【では遠慮なく血祭りにしましょうムート】
「ワ、ワイバーンに、ウロボロスに、リヴァイアサンに、バハムート……!!」
た、確かに耳赤目赤キツネザルなどより遥かに珍しい生き物が出てきた。
だが高位のドラゴン四体が出てくるなんて想定外だ!!
複数のドラゴンを一人で相手にするなんて無理だ!
狩る前にこっちが、狩られてしまう!
「逃げよう! ……うぎゃぁ!!」
踵を返して逃げようとしたとき、背中に衝撃が走った。
気がつけばウロボロスの巨大な足に踏み潰されていた。
【煮ようかバーン?】
【焼こうかムート?】
【氷漬けにするのも面白そうだサン】
【三枚に下ろすのはどうだロス?】
四体の竜が私をどう料理するか話している。
私の体から血の気が引いていく。
死ぬ、確実に死ぬ……! 私の人生は今日で終わった……!
すまない、リーゼロッテ! 君を助けに行けそうにない!
だが肉体を失っても私の愛は消えない!
あの世で会おう!
☆
ミハエルはウロボロスに三枚に下ろされ、魂を取り出され、魂は魔界の悪魔に売られた。
☆☆☆☆☆
※ケツァルコアトルのトルくんは屋敷でお留守番。
☆☆☆☆☆
27
お気に入りに追加
2,184
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる