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第一章
77話「真実の愛とは」ハッピーエンドに修正しました(最終話)
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※某サイトに限定公開していたのですが、そちらのコンテストに落選したので、元サイトから削除してアルファポリスに転載しました。
※元ネタはややバッドエンドよりだったのですが、改訂版はハッピーエンドです。
――アダルギーサ・サイド――
ハルトに地獄へのお供を断られた執事は、動揺したのか、しばらく飛行が安定しなかった。
執事は蛇行飛行を繰り返し、時折大粒の涙の塊が飛んできた。
飛行中にあんな話しをしたハルトが悪いわ。相変わらずデリカシーのない男ね。
でも執事の蛇行飛行のお陰で、リーゼロッテは目を覚ますことができた。
執事が最初に蛇行飛行をしたとき、リーゼロッテは目を覚ましている。
ハルトの膝の上でたぬき寝入りしながら、アタシたちの話を盗み聞きしているなんて、リーゼロッテも可愛いことするじゃない。
リーゼロッテはハルトの話を聞いて、かなり動揺していたみたいね。
あの二人はお互いに想い合っているのに、恋愛初心者過ぎて全く進展しない。見てるこっちがやきもきしてしまうほど、じれったい。
リーゼロッテが真実を知ってしまったことが吉と出るか、凶と出るか。
凶が出たとしても、サイコロを蹴り飛ばして吉にするのが魔女なんだけど。
しばらく飛行しているうちにハルトも眠ってしまった。
ハルトの膝の上で寝たふりをしていたリーゼロッテも再び眠りに落ちた。
ちょうど日が傾く時間。
夕日に照らされたハルトの髪は、キラキラと金色に光っていた。
意地っ張りのハルトでも、眠っている間は素直になるのね。
リーゼロッテを大切に思っている感情が、ハルトの魂から溢れ出している。
それによって、ハルトにかけられた呪いが解けかけている。
あとはハルトとリーゼロッテが素直に自分の思いを告げるだけね。
アタシがハルトにかけた呪いは【真実の愛】によって解ける。
【真実の愛】それは相手を大切に思う心。
ハルトは自分の命よりリーゼロッテの幸せを優先した。リーゼロッテも自分の幸せより、ハルトの幸福を願っている。
あとはハルトとリーゼロッテがお互いの素直な気持ちを告白し、ファーストキスを交わすだけ。
それができれば呪いが解けるわ。
アタシのかけた呪いは、心から思い合った二人がファーストキスを交わすことで解ける。
ファーストキスどころか童貞も捨てていたワルモンドには、どう逆立ちしても解けない呪い。
呪いをかけた対象者が死んでも解けない呪いをかける。魔女が悪しき存在と言われるゆえんだ。
ワルモンドを呪うことを想定してかけた呪いだから、ワルモンドには絶対に解けないが、ハルトなら解ける可能性が高い。
ワルモンドと違ってハルトはピュアだし、ファーストキスもまだだから、きっかけさえあれば呪いは解けるわ。
そのきっかけを作って、ハルトにかけられた呪いを解いてやろうじゃない。
ハルト、あんたを魔女の呪いで死なせたりしないわ。
リーゼロッテのことをこの歳で未亡人にする気? リーゼロッテのことをこれ以上泣かせたら承知しないわよ。
きっかけは政略結婚でも、リーゼロッテにとっては最初で最後の結婚で、ハルトは最愛の夫なのよ。
そのことにさっさと気づきなさいよ。
ハルト至上主義の執事が、あんたを一人で地獄に送ると思ってるの?
あんたに忠実な執事を泣かせるんじゃないわよ。
執事がドラゴンの姿で飛行しながら号泣してるから、涙の雨が降り注いでしょっぱいのよ。
あんたは誰にも迷惑をかけないつもりで、ひとりで地獄に行くことを選択したんだろうけど、その選択は間違っているわ。
ハルト、あんたは地獄に落ちていい存在じゃない。
あんたを大切に思っている人間が一人、魔女が一人、ドラゴンが一人いるんだから、そのことを忘れないで。
☆☆☆☆☆☆【加筆部分】☆☆☆☆☆☆☆☆
「執事ちょっと思ったんだけど、今この状態で二人がキスしたらふたりにかけられた呪いは解けると思う?
例えばだけど飛行中に座席が揺れて二人の唇が触れ合う……的な?」
「ちょっとやってみますね!」
これは賭けだ。
失敗したら二人にかけられた呪いは解けない。
でも心から思い合っている二人なら、告白しなくてもキスするだけでなんとかなるのでは?
意地っ張りなハルトを説得するより、そのほうが手っ取り早い!
執事は大きく旋回した。
その時、ハルトとリーゼロッテの体が傾き二人の唇が触れ合った。
お願い! ハルトにかけられた呪いよ解けて!
祈るような気持ちで二人を見守る。
ハルトの体が金色に光り、彼の髪は茶色から金髪へと戻っていた。
「呪いが解けたの……?」
ハルトから呪いを受けた者が放つ、禍々しい波動を感じない。
ハルトの呪いは完全に解けている。
だが呪いが解けた筈なのにハルトの身体は子供のままだ。
「もしかして、長年子供の姿でいたからその姿で安定してまったのかしら?」
「魔女様、ハルト様はどうなったのですか?!
ハルト様にかけられた呪いは解けたのでしょうか?」
執事が心配そうに聞いてくる。
「心配しなくても大丈夫よ、執事。
ハルトにかけられた呪いは完全に解けたわ。
ただちょっと問題が起きて、ハルトの体が大人の姿にならなかっただけよ」
「良かった!
ハルト様にかけられた呪いが解けたのですね!!
でもお姿が子供のままなんて、ハルト様おいたわしや!」
「大丈夫よ!
ハルトを大人の姿にする方法はきっとあるわ!
ハルトにかけられた呪いは解けたから、時間はたっぷりあるわ!
旅をしながらハルトを大人の姿にする方法を探しましょう!」
ついでに二人に永遠の命を授けるのもいいかもしれないわね。
人の一生は魔女や竜に比べて短い。
せっかくハルトを大人の姿にしても、彼らにあっさり死なれたのではつまらない!
「執事聞こえる!
行き先はこのまま海の国よ!
二人に最高のハネムーンをプレゼントしてやろうじゃない」
「承知いたしました!」
執事は羽を羽ばたかせ、飛行速度を早めた
――終わり――
後日譚もありますのでそちらもお楽しみください。
※元ネタはややバッドエンドよりだったのですが、改訂版はハッピーエンドです。
――アダルギーサ・サイド――
ハルトに地獄へのお供を断られた執事は、動揺したのか、しばらく飛行が安定しなかった。
執事は蛇行飛行を繰り返し、時折大粒の涙の塊が飛んできた。
飛行中にあんな話しをしたハルトが悪いわ。相変わらずデリカシーのない男ね。
でも執事の蛇行飛行のお陰で、リーゼロッテは目を覚ますことができた。
執事が最初に蛇行飛行をしたとき、リーゼロッテは目を覚ましている。
ハルトの膝の上でたぬき寝入りしながら、アタシたちの話を盗み聞きしているなんて、リーゼロッテも可愛いことするじゃない。
リーゼロッテはハルトの話を聞いて、かなり動揺していたみたいね。
あの二人はお互いに想い合っているのに、恋愛初心者過ぎて全く進展しない。見てるこっちがやきもきしてしまうほど、じれったい。
リーゼロッテが真実を知ってしまったことが吉と出るか、凶と出るか。
凶が出たとしても、サイコロを蹴り飛ばして吉にするのが魔女なんだけど。
しばらく飛行しているうちにハルトも眠ってしまった。
ハルトの膝の上で寝たふりをしていたリーゼロッテも再び眠りに落ちた。
ちょうど日が傾く時間。
夕日に照らされたハルトの髪は、キラキラと金色に光っていた。
意地っ張りのハルトでも、眠っている間は素直になるのね。
リーゼロッテを大切に思っている感情が、ハルトの魂から溢れ出している。
それによって、ハルトにかけられた呪いが解けかけている。
あとはハルトとリーゼロッテが素直に自分の思いを告げるだけね。
アタシがハルトにかけた呪いは【真実の愛】によって解ける。
【真実の愛】それは相手を大切に思う心。
ハルトは自分の命よりリーゼロッテの幸せを優先した。リーゼロッテも自分の幸せより、ハルトの幸福を願っている。
あとはハルトとリーゼロッテがお互いの素直な気持ちを告白し、ファーストキスを交わすだけ。
それができれば呪いが解けるわ。
アタシのかけた呪いは、心から思い合った二人がファーストキスを交わすことで解ける。
ファーストキスどころか童貞も捨てていたワルモンドには、どう逆立ちしても解けない呪い。
呪いをかけた対象者が死んでも解けない呪いをかける。魔女が悪しき存在と言われるゆえんだ。
ワルモンドを呪うことを想定してかけた呪いだから、ワルモンドには絶対に解けないが、ハルトなら解ける可能性が高い。
ワルモンドと違ってハルトはピュアだし、ファーストキスもまだだから、きっかけさえあれば呪いは解けるわ。
そのきっかけを作って、ハルトにかけられた呪いを解いてやろうじゃない。
ハルト、あんたを魔女の呪いで死なせたりしないわ。
リーゼロッテのことをこの歳で未亡人にする気? リーゼロッテのことをこれ以上泣かせたら承知しないわよ。
きっかけは政略結婚でも、リーゼロッテにとっては最初で最後の結婚で、ハルトは最愛の夫なのよ。
そのことにさっさと気づきなさいよ。
ハルト至上主義の執事が、あんたを一人で地獄に送ると思ってるの?
あんたに忠実な執事を泣かせるんじゃないわよ。
執事がドラゴンの姿で飛行しながら号泣してるから、涙の雨が降り注いでしょっぱいのよ。
あんたは誰にも迷惑をかけないつもりで、ひとりで地獄に行くことを選択したんだろうけど、その選択は間違っているわ。
ハルト、あんたは地獄に落ちていい存在じゃない。
あんたを大切に思っている人間が一人、魔女が一人、ドラゴンが一人いるんだから、そのことを忘れないで。
☆☆☆☆☆☆【加筆部分】☆☆☆☆☆☆☆☆
「執事ちょっと思ったんだけど、今この状態で二人がキスしたらふたりにかけられた呪いは解けると思う?
例えばだけど飛行中に座席が揺れて二人の唇が触れ合う……的な?」
「ちょっとやってみますね!」
これは賭けだ。
失敗したら二人にかけられた呪いは解けない。
でも心から思い合っている二人なら、告白しなくてもキスするだけでなんとかなるのでは?
意地っ張りなハルトを説得するより、そのほうが手っ取り早い!
執事は大きく旋回した。
その時、ハルトとリーゼロッテの体が傾き二人の唇が触れ合った。
お願い! ハルトにかけられた呪いよ解けて!
祈るような気持ちで二人を見守る。
ハルトの体が金色に光り、彼の髪は茶色から金髪へと戻っていた。
「呪いが解けたの……?」
ハルトから呪いを受けた者が放つ、禍々しい波動を感じない。
ハルトの呪いは完全に解けている。
だが呪いが解けた筈なのにハルトの身体は子供のままだ。
「もしかして、長年子供の姿でいたからその姿で安定してまったのかしら?」
「魔女様、ハルト様はどうなったのですか?!
ハルト様にかけられた呪いは解けたのでしょうか?」
執事が心配そうに聞いてくる。
「心配しなくても大丈夫よ、執事。
ハルトにかけられた呪いは完全に解けたわ。
ただちょっと問題が起きて、ハルトの体が大人の姿にならなかっただけよ」
「良かった!
ハルト様にかけられた呪いが解けたのですね!!
でもお姿が子供のままなんて、ハルト様おいたわしや!」
「大丈夫よ!
ハルトを大人の姿にする方法はきっとあるわ!
ハルトにかけられた呪いは解けたから、時間はたっぷりあるわ!
旅をしながらハルトを大人の姿にする方法を探しましょう!」
ついでに二人に永遠の命を授けるのもいいかもしれないわね。
人の一生は魔女や竜に比べて短い。
せっかくハルトを大人の姿にしても、彼らにあっさり死なれたのではつまらない!
「執事聞こえる!
行き先はこのまま海の国よ!
二人に最高のハネムーンをプレゼントしてやろうじゃない」
「承知いたしました!」
執事は羽を羽ばたかせ、飛行速度を早めた
――終わり――
後日譚もありますのでそちらもお楽しみください。
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