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第一章
42話「眠れない夜・2」リーゼロッテ・サイド
しおりを挟む――リーゼロッテ・サイド――
ねっ、眠れません。
隣を見るとくぅくぅと寝息を立てるハルト様のお姿が……。
私たちは愛し合って夫婦になった訳ではない。王命による政略結婚。ですがこんなにもハルト様に女として意識されていないなかったなんて……。
私は女として魅力がないのでしょうか?
ハルト様に、い、いかがわしいことをされたかったわけではないですが、なんでしょう……この敗北感は?
私も早く眠らなくては……!
――二時間後――
眠れません、全然眠れません!
布団からも枕からもハルト様の臭いが……! ハルト様に抱きしめられているみたいで気恥ずかしいです!
隣ですやすやと寝息を立てているハルト様が羨ましいです。
私も早く眠って、なんとも言えないもどかしさと緊張から開放されたいです。
そうです、こういうときは羊の数を数えるとよいと聞きました。
「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹、羊が六匹、羊が七匹、羊が八匹、羊が九匹、……」
――朝――
「羊が16,751匹、羊が16,752匹、羊が16,753匹、羊が16,754匹、羊が16,755、羊が16,756匹、羊が16,757匹、羊が16,758匹、羊が16,759匹、……」
「ふぁぁ、おはよう……リーゼロッテ」
「おっ、おはようございます! ハルト様」
「昨日はよく眠れた?」
「はい、ぐっすりです!」
「そう、よかった」
結局、羊の数を数えていたら朝になってしまいました。
寝起きのハルト様が可愛らしくて、頭をなでなでしたくなったことは、ハルト様には内緒です、
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