23 / 99
第一章
23話「ハルト、照れる」
しおりを挟む「あ~~何て説明したらいいのかな……。ワルモンドは僕の呪いがその……僕とリーゼロッテが……ふ、夫婦の契りを……か、交わすことで解けると思ったらしいんだ」
ハルト様は顔を赤く染め、ぼそぼそと話されました。
「夫婦の契りですか?」
「つまりセ〇クスね。いかにも低俗なワルモンドが考えそうなことよね。あの男は真実の愛をなんだと思っているのかしら? 脳みその代わりにピーー(自主規制)が詰まっているのかしら?」
魔女様がハルト様の言葉を補足した。
「セッ……クs!」
魔女様の発した言葉に、思わず赤面してしまう。
「安心してリーゼロッテ、その方法じゃ呪いは解けないし、僕は君の同意なしに事に及んだりは……いや違う何を言ってるんだ……えっと、その」
ハルト様はかなり取り乱しているようです。ハルト様の顔は赤く色づき耳まで真っ赤になっていました。
「えっ、あっ……はい、だい、大丈夫れす。ハルト様、分かって……ましゅから」
私はてんぱってしまい、そのせいで言葉を噛んでしまった。「大丈夫れす」って何っ!? 恥ずかしい!
「そ、そう……それならよかった」
「は、はい……」
ハルト様の顔を直視できません。
こう言うときはお茶でも飲んで落ち着きましょう。ハーブティーを一口含んだとき、
「まどろっこしいわね。これだから童貞と処女は」
「ゴホッ、ゲボッ……!」
魔女様がからかうように言った言葉に動揺して、飲んでいた紅茶を吹き出してしまいました。
魔女様の口から発せられる言葉は、私には刺激が強すぎます!
「なっ、何を言い出すんだ! アダルギーサ!」
ハルト様も平静さを失っているようです。
「本当のことでしょう?」
魔女様が悪びれた様子もなく、サラッと返します。
「た、確かに本当の事だけど、リーゼロッテの前で言わなくても……!」
ハルト様は童貞なのですね、覚えておかなくては! ではなくて……私ったらなんて情報をインプットしようとしてたのかしら! はしたない!
「仕方無いだろ! 僕はずっと子供の姿だったし、この屋敷から出れなかったんだから……」
「ワルモンドが十二歳の頃には、五 人とやってたわよ」
「あいつと一緒にするな!」
ワルモンド陛下、幼い頃から、婚姻も結んでいない方と体の関係を持っていたなんて……ふ、不潔です!
ハルト様が咳払いを一つし「まぁそんなわけで、ワルモンドの保身と浅知恵によって、リーゼロッテは不幸にも僕の結婚相手に選ばれてしまったわけだ。僕のせいで、すまない」私に向かって深々と頭を下げた。
「何事もなければ君は王太子の婚約者のままでいられ、ゆくゆくは王妃になれた……」
「ハルト様、頭を上げてください」
ハルト様に頭を下げられたら、私はどうしたらいいのか分からなくなってしまいます。
「だけど……」
「ハルト様は王都での私の噂はご存知ですか?」
「ああ、随分と酷い噂を流されていたね」
「学園では自分より下位の令嬢をいじめ、男とみれば見境なく声をかけ、身分に関係なく男性と関係を持ち、家では妹をいじめ、妹の持ち物を奪う悪女……ですよね」
自分で言っていて悲しくなってきました。
☆☆☆☆☆
36
お気に入りに追加
2,184
あなたにおすすめの小説
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、マリアは片田舎で遠いため、会ったことはなかった。でもある時、マリアは、妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは、結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる