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第一章

23話「ハルト、照れる」

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「あ~~何て説明したらいいのかな……。ワルモンドは僕の呪いがその……僕とリーゼロッテが……ふ、夫婦の契りを……か、交わすことで解けると思ったらしいんだ」

ハルト様は顔を赤く染め、ぼそぼそと話されました。

「夫婦の契りですか?」

「つまりセ〇クスね。いかにも低俗なワルモンドが考えそうなことよね。あの男は真実の愛をなんだと思っているのかしら? 脳みその代わりにピーー(自主規制)が詰まっているのかしら?」

魔女様がハルト様の言葉を補足した。

「セッ……クs!」

魔女様の発した言葉に、思わず赤面してしまう。

「安心してリーゼロッテ、その方法じゃ呪いは解けないし、僕は君の同意なしに事に及んだりは……いや違う何を言ってるんだ……えっと、その」

ハルト様はかなり取り乱しているようです。ハルト様の顔は赤く色づき耳まで真っ赤になっていました。

「えっ、あっ……はい、だい、大丈夫れす。ハルト様、分かって……ましゅから」

私はてんぱってしまい、そのせいで言葉を噛んでしまった。「大丈夫れす」って何っ!? 恥ずかしい!

「そ、そう……それならよかった」

「は、はい……」

ハルト様の顔を直視できません。

こう言うときはお茶でも飲んで落ち着きましょう。ハーブティーを一口含んだとき、

「まどろっこしいわね。これだから童貞と処女は」

「ゴホッ、ゲボッ……!」

魔女様がからかうように言った言葉に動揺して、飲んでいた紅茶を吹き出してしまいました。

魔女様の口から発せられる言葉は、私には刺激が強すぎます!

「なっ、何を言い出すんだ! アダルギーサ!」

ハルト様も平静さを失っているようです。

「本当のことでしょう?」

魔女様が悪びれた様子もなく、サラッと返します。

「た、確かに本当の事だけど、リーゼロッテの前で言わなくても……!」

ハルト様は童貞なのですね、覚えておかなくては! ではなくて……私ったらなんて情報をインプットしようとしてたのかしら! はしたない!

「仕方無いだろ! 僕はずっと子供の姿だったし、この屋敷から出れなかったんだから……」

「ワルモンドが十二歳の頃には、五 人とやってたわよ」

「あいつと一緒にするな!」

ワルモンド陛下、幼い頃から、婚姻も結んでいない方と体の関係を持っていたなんて……ふ、不潔です!

ハルト様が咳払いを一つし「まぁそんなわけで、ワルモンドの保身と浅知恵によって、リーゼロッテは不幸にも僕の結婚相手に選ばれてしまったわけだ。僕のせいで、すまない」私に向かって深々と頭を下げた。

「何事もなければ君は王太子の婚約者のままでいられ、ゆくゆくは王妃になれた……」

「ハルト様、頭を上げてください」

ハルト様に頭を下げられたら、私はどうしたらいいのか分からなくなってしまいます。

「だけど……」

「ハルト様は王都での私の噂はご存知ですか?」

「ああ、随分と酷い噂を流されていたね」

「学園では自分より下位の令嬢をいじめ、男とみれば見境なく声をかけ、身分に関係なく男性と関係を持ち、家では妹をいじめ、妹の持ち物を奪う悪女……ですよね」

自分で言っていて悲しくなってきました。



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