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11話「鏡に映る醜い女」エマ(妹)視点・ざまぁ回
しおりを挟む――エマ(妹)視点――
「さっさと起きな! このゴミクズが!」
寝ていたら突然水をかけられた、驚いて周りを見るとソファーの横にメイドが立っていた、鬼のような形相で空のバケツを持ってこちらを睨んでいる。
このメイドが私に水をかけたの? 公爵令嬢で、美少女で、完璧なスタイルで、王太子殿下とも仲良しのこの私に?
「ちょっとあなた何をするの! お父様とお母様に言いつけるわよ!」
こんな無礼なメイドはムチで背中を打ったあと、紹介状なしで首にしてやる!
「旦那様と奥様の顔に泥を塗った盗人の分際で、生意気な口を叩くんじゃないよ!」
メイドが私の黒い髪を引っ張り無理やり立たせた。
……えっ? 黒い髪……? 私の髪は黄金色よね? どうして? いつの間に黒くなったの?
私が答えを出すのを待たず、メイドは私の髪をぐいぐいと引っ張り、扉の方に向かっていく。
「痛いわ! やめなさい! 引っ張らないで!」
「煩いよ! ぶさいくの分際で喚くんじゃないよ!」
メイドに頬をひっぱたかれ姿見の前まで飛ばされた、ふらふらと起き上がり姿見に映る己の姿を見て心臓が止まりそうになった。
真っ黒で艶のない髪、黒檀色の目、わしのような鼻、そばかすだらけの顔、乾燥した肌、地味で流行遅れのドレス……嘘っ、嘘よ! これが私だと言うの!
「嫌ーー!! 私の顔! 私の美しい顔がーー!!」
これはアダリズお姉様の顔! どうして私の姿がアダリズお姉様になっているの!?
「頭がおかしくなった振りをして罪から逃げようとしても無駄だよ!! さっさと来るんだ! 王太子殿下をお待たせするんじゃないよ!!」
混乱する私にメイドが暴言を吐く「さっさと来な! ブス!」メイドが私の腕を掴み引きずって行く「嫌っ! 止めて! 離して!」抵抗するとメイドがまた私の頬をぶった。
錆びた鉄のような味が口の中に広がる、頬を打たれたとき口の中を切ったみたい。
これは夢、夢よね……?
両親にもぶたれたことのない私を、メイドごときが叩くわけないわ。
私の容姿がアダリズお姉様みたいに醜くなるはずがないわ、これは夢よ、全部夢なのよ! 私の体早く目を覚ましなさい!
だけどこれは夢ではなく現実で、これからもっと酷い事実を突きつけられるのだった。
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