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4話「ただいま」

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そんなこんなで復活した私はロボットになっていた。

なんでも聖女様は前にいた世界で、史上最年少で大学を卒業したロボット工学の第一人者だったらしい。

そこに聖女パワーと神様の不思議パワーが加わり、私をロボットとして復活させることに成功したのだ。

「ティアローズ様、ごめんなざい! ごめんなざい゛っっ!
 あ゛、あだしが……コーヒーに゛睡眠薬を入れたばがりに……ご、ごんなお姿に……!」

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で、聖女様が抱きついてきた。

近くにあった置き鏡をチラリと覗く。

私の体は機械仕掛けのようですが、容姿や体型は前世のものに近いようです。

どうせならもう少し胸を大きくしウエストを細くし足を長くし十代の頃の顔にしてくれても……いや欲はかくまい。

ワンピースのような布切れが体に巻いてあるのがせめてもの救い。

機械の体でも人様に裸を見られるのは恥ずかしい。

「いや゛違うよコトネ!
 ぼ、ぼぐがチョコレートに゛、眠り薬を入れだから……!」

「ぞれは違うぞ息子よ゛!
 予が催眠作用のあるお香を……用意したぜいで……!」

陛下と殿下も涙と鼻水をベチャベチャと垂らしている。

謝罪する前にまずは顔を拭いてください。

「皆様、泣くのはおやめください。
 私はこうして機械の体を手に入れ戻って参りました!
 涙と鼻水を拭いて立ち上がるのです!
 やるべきことは山程あるのですから……!」

私は立ち上がり空を見上げ皆を鼓舞する。

瓦礫が散乱した室内、壊れた天井、かすかに漂う焦げた匂い。

天井って壊れると空がよく見えますのね、太陽が眩しいですわ。

私をロボットとして復活させるとき、聖女様がパワーを放出しすぎたのと、神様が力のコントロールを間違ったのと、たまたま雷が鳴っていたのと、色々な要素が重なって城の半分が吹っ飛んでしまったのだ。

だが城にいた人たちは髪がパーマをかけたようにチリチリになり、顔はすすで真っ黒になり、服の一部が破れるだけで済んだ。

「ゲホッ、死ぬかと思った……!」と漏らしながら瓦礫の中から復活してきたので、全員かすり傷一つ負っていない。

だからナイスミドルな陛下も、薄幸の美男子の殿下も、美人と評判の聖女様も、髪の毛がチリチリで顔はすすだらけ、服もボロボロだ。

「くすっ、まずは皆様お顔を洗うところから始めた方がよろしいですわね」

「ティアローズが……」
「笑った……?」
「あたし、ティアローズ様が笑うところ初めて見ました!!」

皆が私が笑ったことに驚いている。

機械の体は感情がストレートに顔に出てやりにくいですわ。

「ティアローズ、僕はこれからは体を鍛えるよ!
 吐血しながら筋トレして、仕事をしても吐血しない強い肉体を作るよ!」

「あたしも殿下に治療魔法をかけながら、民に治療を施し、モンスターが侵入しない結界を張りながら、この国の言葉や文化や王太子妃としてのマナーを勉強をします!」

「予も老体に鞭打って働くぞ!
 若い頃は二徹や三徹など当たり前だったのだ!
 今でも若い者には負けん!」

皆様急にやる気を取り戻しましたね。

「ありがとうございます。
 でも無理をなさらないでくださいね」

「ゲホッゲホッゲホッゲホッ!」

言ってるそばからカイン様が吐血。

「カイン様しっかり! ヒール!」

「持病の腰痛が……!」

「陛下しっかり! ヒール! 魔力切れで貧血が……」

陛下は腰痛を再発、聖女様は魔力切れで貧血。

この軟弱ども……。

「皆様心配は無用ですわ!
 鋼の肉体を持って生まれ変わった私が、今までの二十倍働きますので、年寄りと病人と貧弱な異世界人はすっこんでいてくださいな!」

私の言葉を聞いた三人はポカンとしている。

あらいいけない。

機械の体だと思ったことをストレートに言ってしまいますわ。

ごめんあそばせ。


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