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2話「無言の帰宅」
しおりを挟む無言の帰宅を遂げたエミリアを見て、多くの使用人がその涙を流した、その場で泣き崩れる者もいた。エミリアは使用人から慕われていたのだな。
エミリアの遺体を腐敗を遅らせるため冷氷室へと運ばせた。
遺体の身を清め死に化粧を施してやりたいが、エミリアの死の真相が分かるまではそれも出来ない。
俺はエミリアの死の真相を知る手がかりがほしくて、悪いと思いながらエミリアの部屋に入ってヒントを探した。鍵のかかった引き出しに日記が入っているのをみつけた。
日記にはエミリアが王太子の仕事と王太子の宿題を押し付けられ手柄は全て王太子に横取りされたこと、王太子と顔を合わせるたびに罵声を浴びせられていたこと、男爵令嬢をいじめた濡れ衣を着せられ学園で孤立していることなどが綴られていた。
日記にはところどころ涙で出来たと思われるしみがあった。
王太子への怒りがふつふつと湧いてきた。よくも私の大切な義妹を虐げてくれたな……!
それと同時に義妹の苦しみに気づいてやれなかった己自身に対しても激しい怒りを覚えた。
こんなことになるなら、もっともエミリアの側にいて見守っていればよかった。もっとエミリアの話を聞いていればよかった。
義父母にもエミリアの日記を見せた、二人とも涙を流しエミリアを王太子の婚約者にしたことを後悔していた。
義父母は卒業パーティーの日、王太子が迎えに来なかったことを話してくれた。
エミリアは義父母に「王太子殿下はお忙しいので卒業パーティーには出席しない」と伝えていたらしい。義父母に心配をかけないように、エミリアなりに気を使っていたのだろう。
エミリアの苦しみにもっと早くに気づいてやれたならこんなことにならなかった……そんな思いで胸が締め付けられた。
そんな俺たちの元に王家から追い打ちをかけるように酷い知らせが届くことになる。
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