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2章

34 反帝国主義者

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「あれ、同じ人間?」

「人間ですよ」

 戦闘を後半から見ていたロイドはローラを指差してアリッサに問う。

 が、アリッサは半笑いの顔とセットにして答えるだけ。

「お嬢様。お怪我はございませんか?」

「ええ。大丈夫よ」

 相変わらず無表情なローラはアリッサに歩み寄ると彼女の無事を確かめた。そして、そのまま傍に立って護衛を再開する。

 しかしながら、どう鍛えればあのような動きが出来るのか。

 敵の攻撃を最小の動きで躱し、宙まで華麗に舞ってみせるとは。女性特有のしなやかさが成しているのか、それとも特殊な訓練でも積んだのだろうか。

 どちらにせよ、ロイドには真似できぬ芸当だ。 

「もう現れないでしょうか?」

 ローラをよく知るアリッサとしては、彼女の身体能力よりも獣人が他に現れないかが心配の様子。

 獣人が薬を飲んだら変身して襲い掛かって来たのだ。心配するのは当然である。

「さっさと調べて撤退しよう」

 さすがのロイドもこれは『異常』だと判断したのだろう。ロイドは自分達が殺害した獣人達の死体に近寄った。

「しかし、一体何なんだ? 明らかに普通の薬じゃない。ましてや、麻薬なんて代物でもないだろう」  

 ロイドは最初に殺害したワーウルフへ近づくとポケットをの中を探り始めた。

「そうですね。服用したら人が変身する薬なんて聞いた事がありません」

 そもそも、人が変身する事自体が普通じゃない。獣人は獣的な特徴を持つ人間であるが、身体能力としても人とそう変わらない。

 精々、人よりも少し鼻が利く、人よりも少し耳が良い、それくらいの特徴しかない。

 他の異種族であるドワーフやエルフも。

 ドワーフは筋肉がつきやすい体質で子供の頃から筋肉が発達するので背が低い。160センチ後半になると身長が伸びなくなり、代わりに腕や足の筋肉が発達して太くなる。

 これは成長期になると何もせずとも筋肉が著しく成長するドワーフ種特有の特徴だ。人種特有の成長に加えて、トレーニングを重ねれば素晴らしい戦士になれる素質を秘めている。

 最後にエルフであるが、エルフが一番ヒューマンに近いと言えるだろうか。

 エルフの特徴としては感覚が鋭い傾向にある。

 例えば指先の感覚であったり、空間認識能力であったり。目隠し状態で街中を物や人にぶつからずに歩けるのはエルフだけ、とよく噂されているくらいだ。

 これがこの世界における人種の特徴であり、通説とされている事。

 世の中に生きる人間達の中で変身する能力を持っているなど聞いた事もなければ、御伽噺や英雄譚にも登場しないような要素である。

 大ベストセラーな本の中身にも登場しないファンタジーを現実にしたのは、間違いなく小瓶の中身だろう。

「薬の正体は何なんだ? なぁ、死んだ貴族の息子はヒューマンか?」

「ええ」

 ヒューマンが飲めば麻薬のような効果を発揮し、過剰摂取すれば死に至る。

 だが、獣人が飲んだら変身した。小瓶の中身は一緒なのか、それとも彼等が飲んだ物だけが特別製なのか。もしくは、獣人にだけ特別な作用を齎すのか。

「こんな薬が簡単に作れると思うか?」

「……無理でしょうね」

 例えばクロイツア王国のような薬学に対して膨大な知識や技術、大規模な製薬研究所や工場でもあれば別かもしれない。

「クロイツア王国が秘密裏に開発、帝国で人体実験を開始……なんて線はどうでしょう?」

「お粗末すぎないか? 状況だけ見たらクロイツアが陰謀を起こしているって誰もが考えそうだが……。諜報機関まで作って外国に潜入させる国がそんな雑な仕事をするとは思えない」

 じゃあ、一体この薬は誰が作ったのか。

「前言ってた仮説……。あながち間違ってねえかもな」

 死体を探りながらロイドは小さく呟いた。

「何がです?」

「アンタ、言ってたろ。シャターン殺しが教会じゃなければ、教会と同等かそれ以上のヤツがいるって」

「ええ。……まさか、これも?」

 ロイドの言葉を聞き、アリッサはロイドが言いたい事を察したようだ。

「俺はシャターン殺しが教会の仕業とはどうにも納得できない。今回の件もだ。クロイツア王国と教会に疑惑を持たせたい、もしくは陰謀論を抱かせたい誰かがいるんじゃないか?」

「じゃあ、彼等はその構成員だと?」

「いや、そりゃあ無いと思う」

 俺個人の考えだがな。そう前置きをしながら、ロイドは死体の傍から立ち上がった。

「こいつ、変身前に解放がどうこう言ってただろ。恐らくは南部の反帝国主義者だ。野郎共は帝国による領土支配の解放を望んでいるしな」

 3年前に終戦した南部侵略戦争、帝国に侵略されて地図上から名が消えた南の国。

 元々は異種族中心で構成された王国であったが、今は帝国領土となって元王国国民は帝国人に混じって暮らしている。

 暮らしてはいるものの、元王国国民は帝国人による差別や格差を受け、帝都にある貧困街の住人と同じような暮らしを強いられている。

 元の王国時代とはかけ離れた酷い生活だ。

 祖国を失った悲しみ、帝国人による差別や迫害による苦しみから反帝国主義を掲げて『未だ戦争は終わっていない』『打倒帝国』と叫ぶ過激派も多く存在しており、反帝国主義者は「支配からの解放」とよく口にする。

 そういった背景もあって、彼等は南部からやって来た反帝国主義の過激派ではないかとロイドは推測したようだ。

「何者かが過激派に薬を与えて利用しようと?」

「ああ。獣人にだけ安くするってヤツは反帝国主義者の獣人、もしくは同じ思想を持った輩を探してたんじゃないか?」

 確かにそう考えれば納得できるかもしれない。

 薬を飲んで変身すると知性は著しく低下するようだが、人よりも強力な力が手に入る。

 それを武器として帝国を内部から破壊しよう、と過激派が考えそうなシナリオである。

「それと、これも気になる」

 ロイドは死体から離れ、奥に落ちていたハンチング帽を拾い上げた。

「なんでハンチング帽を被ってたんだ? 反帝国主義者なら帝国の同盟国であるマギフィリアも嫌っているはずだ。そんな奴等がマギフィリア式の最新ファッションなんて気にするか?」

「確かに教会へ疑惑を持たせたないなら不自然ですが……。もしかして、私達や教会にミスリードさせたかったとか?」

 しばし考えたアリッサはそう呟いた。

 ロイドがどういう事か、と問うとアリッサはハンチング帽を指差して語り出す。

「ハンチング帽を被る事でマギフィリア人だと思わせるのが狙いだったのでは?」

「帝国人や教会にマギフィリア人が薬を売っていると思わせようってか?」

「ええ。元々彼等は捕まる予定も、私達と戦う予定も無かった。ブラックマーケットで数日間だけ薬を売り、貴族の息子にも薬を売る事で事件を起こして注目を集める。すると、私達のような存在が聞き込みに来ますよね。特徴は? と聞かれればハンチング帽を被っていたと大体の人は言いませんか?」

 ブラックマーケットを仕切っているズロアがそう言ったように。

 元々捕まる予定は無く、噂と姿を数日だけ晒したら捜査・追跡困難な貧困街へ逃げる。

 結果、捜査は難航して外見的な特徴だけが浮き上がり……ハンチング帽を被っていた者が麻薬販売をしていた、となるだろう。

「マギフィリア人を販売者として仕立て上げる。すると、帝国上層部と教会がマギフィリアに疑惑を抱きます」

 アリッサは人差し指を立てて1つと示す。

 少なくとも、帝国上層部や捜査に関わる者達はロイドが言ったように「反帝国主義者がマギフィリアファッションに身を包むわけない」という先入観が働いて、反帝国主義者をリストから外すか関係性が低いと判断するだろう。

「次に帝国は事実確認をマギフィリアへ行いますが当然ながら否定されるでしょう。このタイミングで教会はマギフィリアをターゲットとして動き出します」

 次に中指を立てて2つと示した。

 この時点で捜査から政治と外交に移りつつある。教会が介入した時点で軍や憲兵隊の捜査など無意味になり、この時点で問題を穏便に済ます手段があるとすれば教会よりも先に犯人を確保することである。

 が、教会が相手ではその可能性も限りなく低い。

「最後に教会がマギフィリアを疑って行動を開始すれば、同盟国の為に帝国上層部も介入せざるを得ない。むしろ、マギフィリアから介入しろと要請が来るでしょう。結果、帝都では3ヵ国の関係が激化します」

 最後に薬指を立てて3つと示した。

 こうなればもう止まらない。事件から外交の問題に発展。

 元々対立しているマギフィリアとクロイツアの睨み合いは激化するだろう。

「反帝国主義者を捜査対象から外し、帝国内の対立激化が始まった頃を見計らって事を起こそうと? 下手したら聖戦の引き金になるぞ?」

「むしろ、反帝国主義者の背後にいる者達はそれが狙いなのかも。しかし、現実としてきっかけとなる反帝国主義者達は私達に見つかった。これって、ロイドさんのような貧困街に詳しい人が追手となった事自体がイレギュラーだったのではないですか?」

 これが反帝国主義者を利用した組織のシナリオだったのではと彼女は言う。

 だが、帝国にはロイドがいた。アリッサが憲兵隊をクビになったロイドを拾い、彼を国家組織的な重い枠組みから解き放って自由を与えた。

 ロイドのような帝国の裏側を知り尽くした者こそが彼等にとってのイレギュラー。最も先に排除すべき邪魔者だったなのではないか。

 これは運命なのか、それとも……。

「なるほどね。自分を過信するつもりはないが、その線もあり得なくないか」 

 顎に手を当てながら悩むロイドは死体から視線を外し、アリッサへ向けた。

「俺達の考えをまとめると、反帝国主義者のバックには聖戦を起こしたい第三勢力が潜んでいる、という事になるのか」 

「まぁ、あくまでも可能性の話ですけどね」

 正直、ロイドとアリッサも自分達で言っていて突拍子もない話ではある事は理解しているだろう。

 だが、この未知なる薬を生成できる組織が本当に第三勢力であれば大問題だ。

「結論は後でゆっくり考えましょう。とにかく、まずはここから離れ――」

「見つけたぞッ! ここだッ!」

 アリッサが言葉を言い切る前に、袋小路の入り口から叫び声が上がった。

 ロイドとローラが武器を構えながら振り向き、アリッサも驚きながら振り向くと、そこに立っていたのは1人の獣人であった。

 獣人は小瓶を取り出し、蓋を開けようとするが……。

「チッ! これ以上は御免だぜ!」

 ロイドは舌打ちを鳴らすと躊躇い無く獣人へマグナムを撃ち込んだ。

 肩に着弾したマグナムの弾は獣人が小瓶を持っていた腕を千切り飛ばし、獣人は一瞬何が起こったのかすらも分かっていないような表情をしていた。

 次第に痛みと腕が無い事に気付いて悲鳴を上げるが、すぐに出血多量で意識を失ったのか地面に倒れ込む。

「走れッ! ここじゃ戦いにくいッ!」

 叫んだ獣人の援軍が来るのは確実だ。ロイド達は袋小路から飛び出し、貧困街にある表通りに向かって走り出す。

 狭い路地を抜け、表通りへ到着するとそこでロイド達を待っていたのは3人の獣人であった。

「悪いが、お前達を逃がす訳にはいかない」

 中でも、ロイド達へ声を発した真ん中の獣人男性はフード付きのローブを着て異様な雰囲気を放っていた。

「ハッ! そうかよッ!」

 だったら何なんだ、と言わんばかりにロイドはマグナムを向ける。

 トリガーを引いて獣人を射殺しようとするが、獣人が着ていたローブの中からニョキリと相手の右腕が露出する。

 だが、それはただの腕じゃなかった。

 金属製の手、肘まで金属で出来た魔導具化した腕であった。

 掌には赤い球体が埋め込まれていて、それをロイドに向けると怪しく光る。光が球体の中で収束するとレーザーのように細く鋭い一撃が放たれた。

「なッ!?」

 ロイドは慌てて身をよじり、レーザーを躱す。後ろにいたアリッサもローラの助けによって躱す事が出来たようだ。

「おいおい、ミスリード目的じゃなかったのか?」

 ロイドは体勢を整えると再びマグナムを構えてそう呟いた。

 自分達の推測は間違いで、本当にマギフィリアが関係しているのかもしれない。

 ロイドはそう思う根拠がたった今生まれたのだろう。何故なら、獣人男性の腕型魔導具――戦闘用魔導義手に見覚えがあったからだ。

「テメェ、マギフィリアの魔導機士団だろう?」

 それはマギフィリア王国軍に存在する特殊部隊の1つ。

 魔導技術を用いて行う魔導外科手術で体の一部を魔導具化させて、マギフィリア自慢の魔導技術を文字通り手足のように駆使して戦う。

 彼等のような『魔導技装兵』が集まった特殊部隊をマギフィリア王国軍は『魔導機士団』と呼ぶ。

「私の古巣を知っているのか」

 獣人はロイドを睨みつけながらそう言った。

「古巣?」

 という事は、この獣人はもう魔導機士団に所属していないのだろうか。

 だとすれば彼等は本当に反帝国主義者のグループなのだろうか。

 しかし、魔導機士団はマギフィリア軍の中でもエリート集団に分類される。マギフィリア軍は帝国軍と違って給料の払いも良いだろう。

 そのような組織に所属していた人物が一体なぜ反帝国主義者と共にいるのだろうか。

 ロイドの抱える謎は更に深まってしまった。
 
「お喋りは終わりだ」

 相手も語らう気は無いようだ。再びロイドに掌を向けると、赤い球体に光を収束させた。
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