上 下
32 / 57
2章

第31話 追放令嬢の真実

しおりを挟む

 ぎゅうぎゅう詰めの地獄を経て、俺達はヴェルリ王国王都へと無事に到着した。

 ヴェルリ王国王都は非常に「整った街」と言えるだろう。

 近年の人口増加に伴って、王都の街並みは再整備されたという話だが、その証拠に街並みを形成する建物のほとんどが規格化されて統一されている。

 木造やレンガ造りの家はほとんどなく、代わりに並ぶのはコンクリート製の建物だ。

 真新しい白い壁と深い海を連想させる青い屋根が並んでいる街並みは実に美しい。

 加えて、もう一つの特徴は街の中に多数の噴水や水汲み場があること。

 大きな広場には白い彫刻で装飾された噴水があり、建物と建物の間にある道を覗き込むと、建物の裏側には水汲み場らしきものが見られる。

 これらから水を汲み、建物に水をかけている住人が頻繁に見られた。これは塩害対策なのだろうか?

 何にせよ、再整備された美しい街と最大のランドマークである白く巨大な城は、王都を訪れた観光客の目を楽しませること間違いなしだ。

「しかし、とんでもない活気ですわね。人の数もトーワ王国王都以上ですわ」

 シエルの感想通り、ヴェルリ王国王都は非常に賑わっている。

 王都のメインストリートには様々な種族が入り混じり、更には様々な文化を持った人達で溢れている。

 文化的な特徴を顕著に表すのは服装だろう。

 ヴェルリ王国人のほとんどは、柄の入ったシャツを身に着けている。

 花であったり、海を現すものだったり、柄と色の入ったシャツを好むのがヴェルリ王国の服飾文化だ。

 それ以外の服を身に着けた人は他所の国から来たと考えるのが妥当なのだが――

 ある獣人男性は頭部と首に薄いマフラーのような布を巻き、腰にも長めの布を巻いた服を身に着けている。

 あるエルフ女性は肩とお腹の素肌を晒し、胸はチューブトップブラのようなものを巻いているだけ。下もほぼ下着のようなセクシーな格好とサンダルだ。

 今、俺の横を通過していたドワーフは角の生えたヘルメットにタンクトップ。下はスカートのような形状のものを履いていた。

 このようにヴェルリ王国の文化とは異なる服装を身に着けた人達がチラホラ見られる。

 これだけでも見ていて楽しいが、様々な文化を持つ人々がどうして王都に集まるのか。

「港へ行ってみよう」

 その答えを明らかにするため、俺は彼女を港へと連れて行く。

「まぁ……! 大きな船がたくさん!」

 ヴェルリ王国王都が賑わっている理由、様々な文化が見られる理由は、外国からやって来る巨大な商船だ。

 巨大な船を動かすにはたくさんの船員が必要になるし、商人は船旅で疲れた船員達を休ませるため王都に何日も滞在する。

 巨大な船から降りて来た人間が一週間近く滞在することになるのだから、街は人口以上の賑わいを見せるのだ。

「しかも、一隻二隻じゃないからね」

 何百、時には千人以上の船乗りが陸に上がり、王都の中で過ごすのだ。

 街が賑わうどころか、ヴェルリ王国王都の経済もとんでもなく潤うだろう。城の財務担当は笑いが止まらないんじゃないだろうか?

「色んな国から人が訪れるため、街の中にも多彩な人間で溢れていますのね」

「そうだね。まぁ、それ故に問題事も多いみたいだけど」

 文化が違う人間が多く混じることで、街の中ではちょっとしか喧嘩も多く発生するらしい。

 乗り合い馬車に乗っていたヴェルリ王国民の男性は「大らかな心を持つことだ」とアドバイスしてくれたが。

「まぁ、たくさんの人間が集まれば問題くらい起きるよね。これは文化が違う違わないの問題じゃないと思うよ」

 同じ国の人達同士で喧嘩もするんだ。

 互いの違いを理解することで問題を解決できるとは思うが、もっと時間が必要なのだと俺は思う。

「ところで、向こうに小さな船が停まっていますわよ?」

「あれは漁船だよ」

 港に来ると大きな商船ばかりが目立つが、当然ながらヴェルリ王国の食卓を支える漁師も多い。

「シエル、いいかい? ヴェルリ王国で最も有名な海産物は鋼貝と水斬りマグロだ!」

 鋼貝とは名の如く、鋼のように硬い殻を持つ貝である。

 殻を開けるのに苦労はするが、中の身はぷりっぷりで味も濃厚。

 網焼きにしつつ、バターを加えることで美食家も唸らせる一品の出来上がりだ。

 次に水斬りマグロであるが、こちらも名の如く水を斬るように高速移動するマグロである。

 鋭利なヒレと速い動きで漁師の網を両断してしまうことから、漁師泣かせの魚とも言われている。

 そのため、水斬りマグロの捕獲方法は太く頑丈な竿による一本釣り。

 大変な苦労を重ねての漁獲となるが、旬の大物は最大で金貨五百枚以上の取引を生んだ記録もあるんだとか。

 水斬りマグロ漁は漁師版の一攫千金といったところだろうか。

 そういった意味でも「漁師泣かせ」と言えるかもしれない。

「だが、何より美味い!」

 鋼貝も美味いが、水斬りマグロは焼こうが煮ようが美味い!

 特にオススメはヴェルリ王国特有の食文化、刺身で食べるのが一番美味い! ――と、乗り合い馬車に乗っていた男性が熱弁していた。

「は、早く食べませんこと?」

 新鮮な海鮮料理で頭がいっぱいになってしまったのか、シエルは「はぁ、はぁ」と息を荒くしながら目を輝かせる。

「よし、さっそく店に向かおうじゃないか」

「ええ」

 俺達はヴェルリ王国料理を熱弁してくれた男性が教えてくれた『海鮮堂 漢道』という店を探し始めた。

 水揚げされたばかりの新鮮な魚を提供してくれる、最高の店という話だ。

 店は港の入口近くにあるという話だが……。

「うっわ」

「すっごい列ですわね……」

 店の入口には行列が形成されていた。

 ざっと見ても三十人はいる。

「とにかく並びましょう!」

 俺達は慌てて最後尾に並びだすが、その後も海鮮料理を求めて並ぶ人の数が後を絶たない。

 いつの間にか俺達の後ろには二十人以上の人が並ぶ、という事態に。

「あと五人くらいですわね」

 着々と列は進んで行き、俺達の番まで残り五人といったタイミングで――店の中から白い服とコック帽を被った厳つい男性が出てきた。

 嫌な予感がしたが、それは見事に的中してしまった。

「申し訳ありません! 本日分の食材が売り切れました! 本日はこれにて終了となります!」

「いやあああああッッ!?」

 シエル、膝から崩れ落ちる!

「わ、私の海鮮料理……! た、食べられないんですの……!?」

 その絶望っぷりは遺物遺跡で謎の生物を見た時以上だった!

「残念。まぁ、時間も時間だし」

 現在の時刻は夕方の六時を越えたところ。

 食堂のピーク時間には少し早いが、これだけ人気の店なら仕方ないところだろうか。

「今日は諦めて別の日に食べよう」

「うう……。仕方ありませんわね……」

 ガチ泣きするシエルを立たせ、俺達は別の店を求めて街の中央へ向かっていく。

 その途中で『ロッキード・アンティーク』を見つけた。

「あ、ちょっと寄って行っていい?」

 食事の前に指輪のリチャージを済ませておきたい。

 まだショックで足取りがおぼつかないシエルを支えつつも店内へ進入した。

 コインを見せて扉を潜ると――

「おや? ルークか?」

「あれ? ヘンゼル?」

 怪しい店内に置かれたソファーには、白髪白髭の魔法使い――ロッキード・アンティークが仕立てたであろう上品なスーツとコートを着る賢者ヘンゼルが本を読んでいた。

「久しぶりだね」

「ああ、久しぶり……というか、隣にいるお嬢さんは誰だ?」

 ヘンゼルはシエルの様子を見て「病気なのか?」と心配そうに問うてきた。

 まぁ、ある意味病気かもね。

「いや、ちょっとね。彼女はシエル。旅の仲間だ」

「ほう、こんなべっぴんさんと旅とはね。羨ましい限りだ」

 ヘンゼルは「カカカ!」と笑いながら読んでいた本をローテーブルに置いた。 

「そっちは? 相変わらず魔法物質の収集に勤しんでいると彼から聞いたけど」

 俺はそう言いつつ、カウンターにいる謎の商人に顔を向ける。

「うむ。最近はトーワ王国内で活動しとってな。希少鉱石を採掘する権利を得たのじゃよ」

 ご機嫌なヘンゼルは聞いてもいないのに経緯を語り始めた。
  
 ヘンゼルがトーワ王国内で素材採取を行っていたところ、トーワ王国の貴族という男性に声を掛けられたそうだ。

「彼に『娘の魔法を見てくれ』と頼まれてのう」

 普段の彼ならそんなお願いは断っていただろう。

 彼は他人の魔法よりも自分の欲求を優先する男だ。

 しかし、娘の魔法を見てくれたらトーワ王国でしか採掘されない鉱石を好きなだけ採掘させやる、と条件を提示されたそうだ。

 この条件に惹かれ、ヘンゼルは貴族の娘と会うことになった。

「初めは鉱石のためじゃったがな、会ってみて驚いた。貴族の娘は光属性魔法を使えたんじゃよ」

 人間が扱える属性魔法は基本的に四属性――火・水・風・土しか不可能だとされている。

 四属性の他に光と闇の魔法も存在するのだが、これは人間には扱えない。この二属性は神か魔人、あるいはそれに服従する眷属しか扱えないという認識だ。

 しかし、驚くことにヘンゼルが会った貴族令嬢は「光魔法」が使えたのだという。

「ありゃあすごいぞ。磨けば人類初の『回復魔法』が使えるかもしれん」

 光魔法が人間に扱えないとされる最大の理由は、人類が誰も扱うことのできない『回復魔法』がカテゴライズされているからだ。

 人の命を左右する奇跡は神にしか扱えず、と世界で最も有名な宗教――精霊教が説いているように、傷や病気を無条件に癒してしまう力はまさに奇跡と言えるだろう。

 そんな奇跡の片鱗を貴族令嬢は見せたという。

「その娘は王子と結婚することになったそうでな。娘の父親はワシに好きなだけ採掘してくれ! と言ってくれたよ」

 珍しい魔法も見れて、更には希少な鉱石まで採掘し放題。

 ヘンゼルも笑いが止まらないってところだろうか。

「…………」

 だが、しかし。

 聞いている俺は冷や汗が止まらなかった。

 恐る恐る隣にいるシエルに顔を向けると――そこには今にも街を滅ぼさんとするオーガがいた。

 いや、怒り狂ったオーガのように顔を真っ赤にしたシエルがいた。

「貴方のせいでしたのねえええええ!!」

 シエル、ブチギレ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ブラフマン~疑似転生~

臂りき
ファンタジー
プロメザラ城下、衛兵団小隊長カイムは圧政により腐敗の兆候を見せる街で秘密裏に悪徳組織の摘発のため日夜奮闘していた。 しかし、城内の内通者によってカイムの暗躍は腐敗の根源たる王子の知るところとなる。 あらぬ罪を着せられ、度重なる拷問を受けた末に瀕死状態のまま荒野に捨てられたカイムはただ骸となり朽ち果てる運命を強いられた。 死を目前にして、カイムに呼びかけたのは意思疎通のできる死肉喰(グールー)と、多層世界の危機に際して現出するという生命体<ネクロシグネチャー>だった。  二人の助力により見事「完全なる『死』」を迎えたカイムは、ネクロシグネチャーの技術によって抽出された、<エーテル体>となり、最適な適合者(ドナー)の用意を約束される。  一方、後にカイムの適合者となる男、厨和希(くりやかずき)は、半年前の「事故」により幼馴染を失った精神的ショックから立ち直れずにいた。  漫然と日々を過ごしていた和希の前に突如<ネクロシグネチャー>だと自称する不審な女が現れる。  彼女は和希に有無を言わせることなく、手に持つ謎の液体を彼に注入し、朦朧とする彼に対し意味深な情報を残して去っていく。  ――幼馴染の死は「事故」ではない。何者かの手により確実に殺害された。 意識を取り戻したカイムは新たな肉体に尋常ならざる違和感を抱きつつ、記憶とは異なる世界に馴染もうと再び奮闘する。 「厨」の身体をカイムと共有しながらも意識の奥底に眠る和希は、かつて各国の猛者と渡り合ってきた一兵士カイムの力を借り、「復讐」の鬼と化すのだった。 ~魔王の近況~ 〈魔海域に位置する絶海の孤島レアマナフ。  幽閉された森の奥深く、朽ち果てた世界樹の残骸を前にして魔王サティスは跪き、神々に祈った。  ——どうかすべての弱き者たちに等しく罰(ちから)をお与えください——〉

処理中です...