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戸惑いと不安
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ひとしきり泣いた私は相嶋さんと共に屋上から降りていくと、下では二人の男の人が待ち構えていた。
一体誰なのかと少しだけ構えていると、
「大丈夫だ、こいつらは俺の舎弟だ。怖がる必要ねぇ」
横で支えて歩いていた相嶋さんがそう説明してくれた。
「兄貴! 無事でしたか!」
「その女が保護したっていう?」
一人はアッシュブラウン色のウルフヘアをハーフアップにした男の人で、もう一人は前髪が目に隠れそうなくらいに重めな金髪ウルフヘアの男の人。
どちらもチャラそうな雰囲気を纏っているのは服装が派手だからなのかもしれない。
「心、コイツが渡利 七星。こっちは御堂 愛斗だ」
「あ、初めまして、雛瀬 心です……」
「どーも! 心ちゃん、よろしく!」
「……よろしく」
ハーフアップスタイルの方が渡利さんで、金髪ウルフヘアの方が御堂さん。
見た目はチャラそうなのに、見た目通りなのは渡利さんだけのようで、御堂さんはどこか素っ気ない。
「悪いな、迎えに来てもらって」
「いや、当然のことっすよ! ささ、心ちゃんはこっちに乗って」
「あ、はい……」
相嶋さんを御堂さんに任せ、私は渡利さんに案内されて少し先に停まっていたワゴン車の後部座席へと乗り込む。
そして、後に続くように相嶋さんが私の隣に座ると、運転席に渡利さん、助手席に御堂さんがそれぞれ座った。
「兄貴、病院には行かなくて平気ですか?」
「問題無い。腹の傷はこの前のが開いただけで、もう血は止まってる」
「それじゃあ、事務所に戻りますか?」
「いや、ひとまず家に行く。事務所には心を置いてから向かう」
「分かりました」
そして、病院には向かわず相嶋さんの自宅へ向かうことになり、私は終始緊張したまま車に揺られていた。
車は走ること約三十分、敷地面積の広い家や高級車が停まる住宅が建ち並んでいる高級住宅街へ入っていく。
(凄いな……こんなところに家があるなんて……)
私が住んでいたところなんて、築年数の古いアパートや借家が並んでいた場所だったこともあって、やっぱり恵まれた人間との格差は凄いんだと再確認していた。
「到着しました!」
「ご苦労。愛斗、お前はここで待機してろ。七星は俺と一緒に来い」
辿り着いたのは他と同じように敷地面積の広い大きく立派な一軒家の前。
「ここが、相嶋さんのご自宅ですか?」
「ああ、そうだ」
車を降りて、渡利さんに案内されるまま、私は木々や花が手入れされている庭を歩いて玄関前へやって来る。
そして、何故か相嶋さんではなく渡利さんが鍵を開けて家の中へ入って行くと、
「兄貴、お帰りなさい!」
「お疲れ様です! 兄貴」
姿勢を正して頭を下げた二人の男の人たちに『お帰りなさい』『お疲れ様です』と出迎えられた。
「出迎えご苦労。今日から心がここに住むことになった。宜しく頼む。心、左の男は黒尾 新、右の男は黒尾 博。ちなみに二人は兄弟だ」
「宜しくお願いします、心さん」
「宜しくお願いします!」
二人は共にマッシュショートヘアで、双子なのかと思う程に似ているも、幸い新さんは赤髪、博さんは茶髪と色が違うので見分けはつく。
けれど、ここは相嶋さんの自宅のはずなのに、何故家族でも無い二人が出迎えてくれたのだろうという疑問を抱いていると、
「心、ここは俺の自宅だが、黒尾兄弟と七星、愛斗の四人が俺と共に生活しているんだ」
私の心を読み取ったらしい相嶋さんがきちんと説明をしてくれた。
一体誰なのかと少しだけ構えていると、
「大丈夫だ、こいつらは俺の舎弟だ。怖がる必要ねぇ」
横で支えて歩いていた相嶋さんがそう説明してくれた。
「兄貴! 無事でしたか!」
「その女が保護したっていう?」
一人はアッシュブラウン色のウルフヘアをハーフアップにした男の人で、もう一人は前髪が目に隠れそうなくらいに重めな金髪ウルフヘアの男の人。
どちらもチャラそうな雰囲気を纏っているのは服装が派手だからなのかもしれない。
「心、コイツが渡利 七星。こっちは御堂 愛斗だ」
「あ、初めまして、雛瀬 心です……」
「どーも! 心ちゃん、よろしく!」
「……よろしく」
ハーフアップスタイルの方が渡利さんで、金髪ウルフヘアの方が御堂さん。
見た目はチャラそうなのに、見た目通りなのは渡利さんだけのようで、御堂さんはどこか素っ気ない。
「悪いな、迎えに来てもらって」
「いや、当然のことっすよ! ささ、心ちゃんはこっちに乗って」
「あ、はい……」
相嶋さんを御堂さんに任せ、私は渡利さんに案内されて少し先に停まっていたワゴン車の後部座席へと乗り込む。
そして、後に続くように相嶋さんが私の隣に座ると、運転席に渡利さん、助手席に御堂さんがそれぞれ座った。
「兄貴、病院には行かなくて平気ですか?」
「問題無い。腹の傷はこの前のが開いただけで、もう血は止まってる」
「それじゃあ、事務所に戻りますか?」
「いや、ひとまず家に行く。事務所には心を置いてから向かう」
「分かりました」
そして、病院には向かわず相嶋さんの自宅へ向かうことになり、私は終始緊張したまま車に揺られていた。
車は走ること約三十分、敷地面積の広い家や高級車が停まる住宅が建ち並んでいる高級住宅街へ入っていく。
(凄いな……こんなところに家があるなんて……)
私が住んでいたところなんて、築年数の古いアパートや借家が並んでいた場所だったこともあって、やっぱり恵まれた人間との格差は凄いんだと再確認していた。
「到着しました!」
「ご苦労。愛斗、お前はここで待機してろ。七星は俺と一緒に来い」
辿り着いたのは他と同じように敷地面積の広い大きく立派な一軒家の前。
「ここが、相嶋さんのご自宅ですか?」
「ああ、そうだ」
車を降りて、渡利さんに案内されるまま、私は木々や花が手入れされている庭を歩いて玄関前へやって来る。
そして、何故か相嶋さんではなく渡利さんが鍵を開けて家の中へ入って行くと、
「兄貴、お帰りなさい!」
「お疲れ様です! 兄貴」
姿勢を正して頭を下げた二人の男の人たちに『お帰りなさい』『お疲れ様です』と出迎えられた。
「出迎えご苦労。今日から心がここに住むことになった。宜しく頼む。心、左の男は黒尾 新、右の男は黒尾 博。ちなみに二人は兄弟だ」
「宜しくお願いします、心さん」
「宜しくお願いします!」
二人は共にマッシュショートヘアで、双子なのかと思う程に似ているも、幸い新さんは赤髪、博さんは茶髪と色が違うので見分けはつく。
けれど、ここは相嶋さんの自宅のはずなのに、何故家族でも無い二人が出迎えてくれたのだろうという疑問を抱いていると、
「心、ここは俺の自宅だが、黒尾兄弟と七星、愛斗の四人が俺と共に生活しているんだ」
私の心を読み取ったらしい相嶋さんがきちんと説明をしてくれた。
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