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6.執事とリータは互いの情報をすり合わせる【リータ】
【3】
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とりあえず、建物に帰るまでの時間を稼がなきゃ。頭を精一杯働かせる。
「パトリシオ様、バラを素手で持つとトゲが刺さってケガをしますよッ」
私は立ち止まり、彼の手からバラたちを奪うと、ポケットから出したハンカチで花束のように包み始めた。パトリシオもアリスも、私に合わせて立ち止まる。よし、時間稼ぎは成功だ。さて、どうやって話を切り出そう。私はそんな風に頭を悩ませているなんて夢にも思っていない彼らは、のんきに世間話をしている。
「何だかこのバラたちって、宮廷の人たちみたいね」
アリスが言う。
「アリス、それはみんなトゲがあるってことかい?」
「やだぁ、パトリシオ様ったら!宮廷には色んな人たちがいるでしょ?私達の存在ってあそこにある色んな色のバラと重なるなあって思ったの」
やっぱり、彼女はロマンチストだ。
「へぇ。君はどれだい?」
「私はその小さい白いバラかな。地味だし、数も多いし、使用人の私にぴったり……。パトリシオ様は可憐なピンクのバラかな?そして、王妃様はお日様みたいな黄色のバラ」
「そんなことないよ。君は大輪のバラ……いや、向日葵だ」
パトリシオが大げさな身振りで言う。
「いやだわ、そんな目立つ花。私は王妃様に一番輝いていてほしいの」
アリスが照れながらうつむいた。そこで一旦会話が途切れる。
ここで話題を王妃様に向けねば……!!えぇい、なるようになれ!
「あ、王妃様といえば!」
私はここで声を張り上げた。びっくりした顔の二人がこちらを見る。
「パトリシオ様、バラを素手で持つとトゲが刺さってケガをしますよッ」
私は立ち止まり、彼の手からバラたちを奪うと、ポケットから出したハンカチで花束のように包み始めた。パトリシオもアリスも、私に合わせて立ち止まる。よし、時間稼ぎは成功だ。さて、どうやって話を切り出そう。私はそんな風に頭を悩ませているなんて夢にも思っていない彼らは、のんきに世間話をしている。
「何だかこのバラたちって、宮廷の人たちみたいね」
アリスが言う。
「アリス、それはみんなトゲがあるってことかい?」
「やだぁ、パトリシオ様ったら!宮廷には色んな人たちがいるでしょ?私達の存在ってあそこにある色んな色のバラと重なるなあって思ったの」
やっぱり、彼女はロマンチストだ。
「へぇ。君はどれだい?」
「私はその小さい白いバラかな。地味だし、数も多いし、使用人の私にぴったり……。パトリシオ様は可憐なピンクのバラかな?そして、王妃様はお日様みたいな黄色のバラ」
「そんなことないよ。君は大輪のバラ……いや、向日葵だ」
パトリシオが大げさな身振りで言う。
「いやだわ、そんな目立つ花。私は王妃様に一番輝いていてほしいの」
アリスが照れながらうつむいた。そこで一旦会話が途切れる。
ここで話題を王妃様に向けねば……!!えぇい、なるようになれ!
「あ、王妃様といえば!」
私はここで声を張り上げた。びっくりした顔の二人がこちらを見る。
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