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4.執事パトリシオは洗濯場の少女たちと出会う【パトリシオ】
【1】
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「パトリシオ様、パトリシオ様!」
こんな風に呼び出されるのは何度目だろう。今日だけでも、朝食前、礼拝中、花の世話をしている最中、廊下を歩いているとき――軽く思い出せるだけでも十回以上。お陰で仕事が全く捗らない。
俺はため息をつくと、持っていた花瓶を廊下の隅にある机に置く。振り返ると、メイド服に身を包んだ若い女性が立っていた。手には大きく細長い包み。
「どうした」
「あの、こちらの品物はどちらに届ければ良いのでしょう」
「あぁ、ドレスを仕立てるための布が届いたのか。それは服飾係に……」
「私もそう思って服飾係の工房を訪ねたのですが、全員出払っていまして……」
若い使用人は困った顔を向けてくる。あぁ、そういえば服飾係は全員洗濯場に駆り出されているんだっけ……。俺はようやく思い出す。
「すまないね。俺がやっておくよ。その辺に置いて、仕事に戻ってくれ」
「分かりました。こちらに置いておきますね」
「ご苦労様」
「失礼します」
若いメイドはほんのり頬を赤く染めると、そそくさと立ち去っていった。
俺は花瓶を手に取ると、再びため息をつく。何でこんなに忙しい思いをしなければならないんだ……。
こんな風に呼び出されるのは何度目だろう。今日だけでも、朝食前、礼拝中、花の世話をしている最中、廊下を歩いているとき――軽く思い出せるだけでも十回以上。お陰で仕事が全く捗らない。
俺はため息をつくと、持っていた花瓶を廊下の隅にある机に置く。振り返ると、メイド服に身を包んだ若い女性が立っていた。手には大きく細長い包み。
「どうした」
「あの、こちらの品物はどちらに届ければ良いのでしょう」
「あぁ、ドレスを仕立てるための布が届いたのか。それは服飾係に……」
「私もそう思って服飾係の工房を訪ねたのですが、全員出払っていまして……」
若い使用人は困った顔を向けてくる。あぁ、そういえば服飾係は全員洗濯場に駆り出されているんだっけ……。俺はようやく思い出す。
「すまないね。俺がやっておくよ。その辺に置いて、仕事に戻ってくれ」
「分かりました。こちらに置いておきますね」
「ご苦労様」
「失礼します」
若いメイドはほんのり頬を赤く染めると、そそくさと立ち去っていった。
俺は花瓶を手に取ると、再びため息をつく。何でこんなに忙しい思いをしなければならないんだ……。
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