王妃の子は誰の子

3.目撃者ジアーナは自室で震える【ジアーナ】

挿話 私は間違っている？

　私は悪いことをしたのだろうか？

　ベッドに座り、震える手で胸元の十字架のネックレスをぎゅっと握る。私は、何かまずいことをしたのだろうか。

　部屋のカーテンは昼間にもかかわらず閉め切られている。皆仕事に出払っているので、いつも賑やかな四人部屋はしんと静まりかえっている。廊下からは使用人たちが忙しく走り回る音がかすかに聞こえてくる。みんな、忙しそうだなぁ……。昼間から自室に籠もる罪悪感に、胸がちくりと痛む。
　
　宮廷内では、皆知り合いと顔を合わせるたび、王妃と赤子の話をしていた。そして、私を見かけると、好奇と疑いを含んだ冷ややかな目で見つめ、声を潜めて噂を立てる。あれが噂のジアーナって子よ。まぁ、あの子が。私は頼まれていた洗濯物を裏庭の洗濯場に届けると、体調不良を理由に自室に閉じこもった。
　なぜ、みんなはあんな風に私を見てくるのだろう。何故？私が何かしたっていうの？部屋に籠もってから約一時間、自問自答を続けているが、答えは出ない。

　私は、悪いことをしたのだろうか？