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2.少女リータは洗濯をしながら思考を巡らす【リータ】
【5】キーパーソンは目撃者
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「唯一赤ちゃんを見たっていう使用人が見間違えたとか」
「そんなことってあるのかねぇ……」
アリスはなおも訝しげだ。しかし、何かを思いついたようで、人差し指をぴんと立てる。
「その使用人が嘘をついた……とか」
「まさか」
私は反射的にそう口にした。なぜそんな嘘を?王妃を陥れるため?そんなことってある……?私には想像できない。
「あのね、みんながみんな、リータみたいに王妃様を慕っているわけじゃないの」
チッチッチと指を振るアリス。
「確かに王妃様は良い方よ。だけど、どこかで恨みを買ってる可能性はあるわ。昔は悪人だったとかね。あと、王妃様自身に非はなくても、嫉妬されたり逆恨みを買うこともあるかもしれない。……あと、単に宮廷を混乱させたかっただけとか、そういう可能性もあるし」
「なるほど」
「とにかく、その使用人に聞いてみるのがいいね。確か……ジアーナって名前だっけ」
「聞かない名前ね」
「新人らしいわ」
彼女はきっと何かを知っている。とにかく、そのジアーナとやらに、話を聞かなければ。
「リータ!アリス!そんなペースでやってたら日が暮れちゃうよ!」
見回りに来た婦長さんの怒号が飛ぶ。
「はーーいっ!」
私たちは大急ぎで残りの洗濯物の処理に取りかかったのだった。
「そんなことってあるのかねぇ……」
アリスはなおも訝しげだ。しかし、何かを思いついたようで、人差し指をぴんと立てる。
「その使用人が嘘をついた……とか」
「まさか」
私は反射的にそう口にした。なぜそんな嘘を?王妃を陥れるため?そんなことってある……?私には想像できない。
「あのね、みんながみんな、リータみたいに王妃様を慕っているわけじゃないの」
チッチッチと指を振るアリス。
「確かに王妃様は良い方よ。だけど、どこかで恨みを買ってる可能性はあるわ。昔は悪人だったとかね。あと、王妃様自身に非はなくても、嫉妬されたり逆恨みを買うこともあるかもしれない。……あと、単に宮廷を混乱させたかっただけとか、そういう可能性もあるし」
「なるほど」
「とにかく、その使用人に聞いてみるのがいいね。確か……ジアーナって名前だっけ」
「聞かない名前ね」
「新人らしいわ」
彼女はきっと何かを知っている。とにかく、そのジアーナとやらに、話を聞かなければ。
「リータ!アリス!そんなペースでやってたら日が暮れちゃうよ!」
見回りに来た婦長さんの怒号が飛ぶ。
「はーーいっ!」
私たちは大急ぎで残りの洗濯物の処理に取りかかったのだった。
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