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ライダ様との出会いから現在まで
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「アマンダ様……本当にこの宿でよろしかったのですか?」
アルゴはどこか申し訳なさそうに、訊いてくる。
これで、三度目の同じ質問だ。
「何度も言っているとおり、ここで問題ないのだから、いい加減、安心してほしいわね……」
「ですが……!」
「いいから!」
アルゴ曰く、宿が想像していたよりも造りも内装も貧相なものだったために、私を泊めるのに納得がいかないらしい。
「お嬢様はもっと、ふさわしい場所に泊まるべきです。費用を浮かせるため、私はここでいいですから」なども言われた。彼女なりに相当、気を使っているようだ。けれど、アルゴと別々に泊まった場合、私の護衛はいなくなる。ライダ様の追手がいつ襲いかかるかもわからない状況下でそれはあまりに愚策すぎる案だ。
「あなたがいないと心細くて夜も眠れないかもしれないわ。肝心な時に誰が守ってくれると言うの?」
私は呆れたように、言った。
「お嬢様……可愛らしい一面は久しぶりに見た気がします。そうですね。いざという時には、私の命を捨ててでもお守りいたします。けれど、そうなることはないでしょう。だって、アマンダ様はとてもお強いではありませんか」
「それは内緒でしょ。それに、実際のところ恐怖で足がすくんでしまって、いざという時に動けないわ。ライダ様が突然現れた時もそうだった。動いたのは私ではなく、ラルダ」
「ラルダ様ですか……。彼は本当に人柄も良く、優しいお方だ。汚れのないあの感じはまさにお嬢様にぴったりですね」
「アルゴはあまり彼と関わってないじゃない」
「そうですね。でも分かりますよ。それくらいは」
アルゴはとても穏やかな表情をして、言った。
それくらい信用を置いているということだろう。
アルゴの性格上、珍しいことだ。
ラルダは、本当に優しい人だから、そう思われるのも当然だろう。
ライダ様とはあの後、どうなっただろうか。
ライダ様がまさか彼を殺すなんてこと……。
よくない妄想が脳裏をよぎったため、考えるのをやめた。
アルゴはどこか申し訳なさそうに、訊いてくる。
これで、三度目の同じ質問だ。
「何度も言っているとおり、ここで問題ないのだから、いい加減、安心してほしいわね……」
「ですが……!」
「いいから!」
アルゴ曰く、宿が想像していたよりも造りも内装も貧相なものだったために、私を泊めるのに納得がいかないらしい。
「お嬢様はもっと、ふさわしい場所に泊まるべきです。費用を浮かせるため、私はここでいいですから」なども言われた。彼女なりに相当、気を使っているようだ。けれど、アルゴと別々に泊まった場合、私の護衛はいなくなる。ライダ様の追手がいつ襲いかかるかもわからない状況下でそれはあまりに愚策すぎる案だ。
「あなたがいないと心細くて夜も眠れないかもしれないわ。肝心な時に誰が守ってくれると言うの?」
私は呆れたように、言った。
「お嬢様……可愛らしい一面は久しぶりに見た気がします。そうですね。いざという時には、私の命を捨ててでもお守りいたします。けれど、そうなることはないでしょう。だって、アマンダ様はとてもお強いではありませんか」
「それは内緒でしょ。それに、実際のところ恐怖で足がすくんでしまって、いざという時に動けないわ。ライダ様が突然現れた時もそうだった。動いたのは私ではなく、ラルダ」
「ラルダ様ですか……。彼は本当に人柄も良く、優しいお方だ。汚れのないあの感じはまさにお嬢様にぴったりですね」
「アルゴはあまり彼と関わってないじゃない」
「そうですね。でも分かりますよ。それくらいは」
アルゴはとても穏やかな表情をして、言った。
それくらい信用を置いているということだろう。
アルゴの性格上、珍しいことだ。
ラルダは、本当に優しい人だから、そう思われるのも当然だろう。
ライダ様とはあの後、どうなっただろうか。
ライダ様がまさか彼を殺すなんてこと……。
よくない妄想が脳裏をよぎったため、考えるのをやめた。
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