上 下
12 / 15

12話 稲荷様との婚礼

しおりを挟む

そう考えている間も刻々と時間は過ぎ、婚礼の準備が進んでいく。

紅色の花嫁衣装を御使い達に褒められても私の心配事は頭を巡る。

唇に紅を塗ってもらう間も考えがまとまらず
そうしていると式を見る為に親族や客が次々に訪れた。


そこには家族の姿を見つけた。


「すもも、お前無事だったのかい?よかった」
父や母は私の姿を見つけると駆け寄り、はらはら涙を浮かべ再会を喜んだ。


「すもも、よかったねえ。今度こそ幸せになってね」
姉も涙を浮かべ私の背を撫でながらよかったと繰り返す。


しかし今になって尚
『幸せになって』という言葉を素直に受け入れられないのだ。

(私の幸せってなんだろう?
みんなに祝福されるのは嬉しい。
でもこんな事を望んでいるわけじゃない!)


ここから今すぐ出ていきたい気持ちと反抗したら旦那様はどうなってしまうのかという2つの気持ちが
対峙する。

今、神主が祝詞を挙げ夫婦酒を呑むときが来た。
しかし、なかなか呑む事ができない。


その姿に気付いたのか稲荷様は
「ほら、すももさん。君も飲んで」
そう促すがなかなか盃を口に運べない。

これには参加者も一同に困惑し
父や母も
「すもも、どうしたの?」
「何かあった?」と姉にも口々に聞かれるが上手く答えられない。

それを見ていて稲荷様が肩を落とした。



「蛇神よ、いるのだろう」

「!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

君の浮気にはエロいお仕置きで済ませてあげるよ

サドラ
恋愛
浮気された主人公。主人公の彼女は学校の先輩と浮気したのだ。許せない主人公は、彼女にお仕置きすることを思いつく。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

彼女の浮気相手からNTRビデオレターが送られてきたから全力で反撃しますが、今さら許してくれと言われてももう遅い

うぱー
恋愛
彼女の浮気相手からハメ撮りを送られてきたことにより、浮気されていた事実を知る。 浮気相手はサークルの女性にモテまくりの先輩だった。 裏切られていた悲しみと憎しみを糧に社会的制裁を徹底的に加えて復讐することを誓う。 ■一行あらすじ 浮気相手と彼女を地獄に落とすために頑張る話です(●´艸`)ィヒヒ

処理中です...