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3章

3-9 美女に送る東方美人(ドンファンメイレン)と酔貴妃(スイキヒ)

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夫婦と聞いたのは間違いだっただろうか。

迎さんはむせてキツそうだ。
そんな彼女をミンミンちゃんは宥める。

「違うの?」
と聞くと迎さんは頷く。


「桃花は住み込みの従業員、緑仙は私のいとこなの」
「そうだったのね。2人が落ち着いて見えたから」

そう言うと
「嬉しいです。まだ私こっちに来てそう言われた事ないから」
そう迎さんは言う。

(落ち着いてるの意味が違うけどまあ、いいか)

さっきの呟きに何かを嗅ぎ取ったのかミンミンちゃんは
「和葉さん。何かあったのね?」
と聞く。
迎さんはその言葉に心配そうな顔つきになる。
「なにも」
と首を横に振る。

しかしミンミンちゃんは鋭く指摘する。
「嘘なのね。
これは恋の悩みな感じがするのね」
ズバリ言い当てられ驚く。

でもそのままは話せない。
「友達の相談に付き合ったけど上手い返しができなかったの。
年が近い友達。
結婚したいけどなかなか難しいって。
やっぱり子供欲しくないと結婚は無理かなって」

(やばい)
最後のは余計だった!

絶対迎さん引いてると思ったがミンミンちゃんは以外にも
「そうか、そうゆう事も子供の頃考えない悩みよね」
といかにもと腕を組み貫禄があるように頷く。
「え?」
(なんか思ってた反応と違う)

これには迎さんも慌てていた。
本当にミンミンちゃんは何者だろう。




「お茶が入りましたよ」
リューシェンさんが持ってくると
「武夷岩茶(ウーイーエンチャー)ね」
ミンミンちゃんが気づく。
「はい。中秋節には中国の銘茶でウーロン茶の代表格になります。それと平戸様にはこちら」
「え、わざわざ別に淹れて下さったんですか?」
「はい。酔いに効くお茶、酔貴妃(スイキヒ)です。
その昔、飲み過ぎてもむくみに効く事から貴婦人にこよなく愛されたお茶です」


「頂きます」

みんなでお茶を味わう。
本当にワインみたいに香りがいい。
「美味しい」

「和葉さんの魅力アップなの♪」
いつもはやめてよって笑うけど本当にお茶っていろんな効能があるのねと感心する。

「本当ね」
と笑うと
ミンミンちゃんは


「価値観は沢山あっていいのね。
夫婦の関係は話し合いが大事なのね。
だからお友達にもそんな事旦那さんになる人に聞けばいいのねって言ってやるのね!」
ズバっと言われ圧倒される。

リューシェンさんと迎さんはすごく慌ててミンミンちゃんの口を押さえる。

「ミンミンちゃん?平戸さんすみません」
と2人は彼女を黙らせようとする。

「いえ、大丈夫。
ミンミンちゃんすごく大人、人生何周してるのかってくらい達観してるのね」

すると迎さんもおずおずしながら
「あの、私夫婦の形はそれぞれで子供はいてもいなくても2人が仲が良いのが一番と思います。
ああ、すみません私も、結婚も出産もしてないのに」
と失言だったかと狼狽える。

2人の言う通りだ。
「ありがとう。友達にそう言っておくわ」

確かに私はスタートも遅いしステージに立っていない。
でも立たないと出会える人とも出会えない。



これを飲んだら早く帰って寝て、日曜は街に行って駄目にした服や靴を買って美容院だ。

(美女になろう。流石に絶世のにはなれないけどー。

新しく誰かと出会う為に。)

そう思いお茶を飲み干した。




雲が晴れて月が見えてきた気がした。




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