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第8章 変わってしまう日常編
【雇用№164】精霊樹の斧と魔霊樹討伐13
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「ひゃあ~落ちる、落ちる落ちるよー。リュウ兄ちゃん助けて~」
下から吹き付ける強い風によって、毛布はめくり上がり、毛布の上からチルは振り落とされ、毛布に乗るのではなく、毛布に捕まる。パラシュートの様な格好で上空に打ち上げられていく。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「パパ、精霊反応が私達を通り過ぎました。あっあれです、あの茶色の物体です。」
猛スピードで、空飛ぶリヤカーの隣を通り過ぎて、一直線で、転移ゲートに向かって飛んでいく、茶色の物体。
その後方には、スカイブルーのスーツを着た足が見える。
「あっ、あれはもしかして僕の毛布?なら、あのスカイブルーのスーツの足はチルじゃないのか?」
「えっ?でもあれから精霊の反応がしますよ?これまでチルさんから感じたものとは違いますし………」
~~~リュウ兄ちゃん助けてーーーー~~~
微かな助けを呼ぶ声が聞こえる。
「あれはチルだ間違いない。」
「でもパパ、私がしっかりと眠りの魔法をかけたので、夕方までは熟睡の筈ですよ。」
「いや、なぜかは分からんがあれは間違いなくチルだ。きっと何らかの拍子で目覚めて、僕らを追いかけて、魔法を使って急遽追いかけて来たんだ。」
それにしても何であんな格好で飛んでるんだ?足が見えるってことは、手が前にある訳で。足が毛布についてないってことは、手で毛布を掴んでらってことか?
「まずい、握力が切れたら、チルが落ちるぞ。急げ急げ。」
さらに魔法でスピードをアップして、チルを追いかけて、転移ゲートに向かっていく。
チルは先に転移ゲートを括って行ってしまった。数秒後、僕とノエルも遅れながらも転移ゲートに入る。
転移ゲートを潜れば、そこは完全に別世界であった。
空には輝くオーロラが見え、吐く息は白く、気温がかなり下がっている土地にきてしまった様だ。
眼下には、大きな魔霊樹らしき、紫色のおどおどしい大樹がそびえ立っていて、辺りは完全に砂漠と化していた。
「茶色の物体があそこに見えます。」
「了解。助けに行くぞ」
と言ったそばから、茶色の毛布からスカイブルーのスーツが分離した。毛布はどんどん空に飛んでいって、チルは逆にどんどん下がってくる。
「パパ、チルお姉ちゃんが落下してます。急いで下さい。」
ノエルが慌てて、指示を飛ばしてくる。
チルの予想落下地点に先回りする。
「ドンっ」
という音と共になんとかキャッチに成功する。その間、空飛ぶリヤカーの操縦出来なくなるが致し方ない。運転する人は手放し運転は危ないのでやらないで下さいね。
「リュッ、リュウ兄ちゃん怖かったよー」
チルが泣きながら抱きついてくる。余程怖かったのか、周りの目などお構いなしである。ここがどこかも忘れてしまっているに違いない。
よしよしと頭を撫でてるあげる。ノエルも一緒になってほっぺたを撫でてくれている。
しばらく泣いて落ち着いたのか。
「リュウ兄ちゃん、ノエルちゃん助けてくれてありがとう。」
「うん、どう致しまして。色々とチルに聞きたいことはあるんだけど、敵地の中だから、現状確認をしてしまおう。」
「そうですよ。パパ、チルお姉ちゃん。幸い、今は魔霊樹の上母で魔族の姿が見えなかったからよかったですけど、デーモンやインプがいたらピンチでしたからね。」
「はははっ、面目ないです。でも、リュウ兄ちゃんが悪いんだよ。私を気絶させて置いていくから。」
「はいはい、チルお姉ちゃん。言いたいことは分かりますが、敵地のど真ん中なので後にしましょうね。パパには、後でしっかりと謝って、説明してもらいますからね。」
「分かったよ。」
「おいおいノエル」
ノエルも眠りの魔法使ったじゃないかという言葉をごくっと飲みこむ。今は本当にそんなことを話している場合じゃない。早急に方針を決めて動かないと。
「その通りだ。その件については後で話しあおう。」
「ということで、まずはサクッとあの魔霊樹を切り倒しちゃいましょう。」
いきなりノエルが物騒なことをいい放つ。
「ノエル、いくらなんでもあんなでかい魔霊樹の大木を僕ら一匹と3人でどうにか出来るわけないだろう。」
うんうんとチルもうなずいてくれる。
「パパ私達には、精霊樹の斧があるじゃないですか。あれでスパッと切り倒しましょうよ。」
異空間から、精霊樹の斧を取り出す。
「この小さい斧であの大木を切り倒すって?どうやってやるんだい?それに転移ゲートがなくなってしまったから、どうやってウェルザさん達の所に帰るとか、これからどうやって食べていくのか考えることがモリモリなんだが。魔霊樹は今倒して良いものなのか?」
「パパ、ここまで来たら、やれるだけやってみましょう。ダメだと思うことも、やってみないと何がダメなのか分かりませんよ。それに食糧は、多少なら異空間に入っているじゃないですか。」
下から吹き付ける強い風によって、毛布はめくり上がり、毛布の上からチルは振り落とされ、毛布に乗るのではなく、毛布に捕まる。パラシュートの様な格好で上空に打ち上げられていく。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「パパ、精霊反応が私達を通り過ぎました。あっあれです、あの茶色の物体です。」
猛スピードで、空飛ぶリヤカーの隣を通り過ぎて、一直線で、転移ゲートに向かって飛んでいく、茶色の物体。
その後方には、スカイブルーのスーツを着た足が見える。
「あっ、あれはもしかして僕の毛布?なら、あのスカイブルーのスーツの足はチルじゃないのか?」
「えっ?でもあれから精霊の反応がしますよ?これまでチルさんから感じたものとは違いますし………」
~~~リュウ兄ちゃん助けてーーーー~~~
微かな助けを呼ぶ声が聞こえる。
「あれはチルだ間違いない。」
「でもパパ、私がしっかりと眠りの魔法をかけたので、夕方までは熟睡の筈ですよ。」
「いや、なぜかは分からんがあれは間違いなくチルだ。きっと何らかの拍子で目覚めて、僕らを追いかけて、魔法を使って急遽追いかけて来たんだ。」
それにしても何であんな格好で飛んでるんだ?足が見えるってことは、手が前にある訳で。足が毛布についてないってことは、手で毛布を掴んでらってことか?
「まずい、握力が切れたら、チルが落ちるぞ。急げ急げ。」
さらに魔法でスピードをアップして、チルを追いかけて、転移ゲートに向かっていく。
チルは先に転移ゲートを括って行ってしまった。数秒後、僕とノエルも遅れながらも転移ゲートに入る。
転移ゲートを潜れば、そこは完全に別世界であった。
空には輝くオーロラが見え、吐く息は白く、気温がかなり下がっている土地にきてしまった様だ。
眼下には、大きな魔霊樹らしき、紫色のおどおどしい大樹がそびえ立っていて、辺りは完全に砂漠と化していた。
「茶色の物体があそこに見えます。」
「了解。助けに行くぞ」
と言ったそばから、茶色の毛布からスカイブルーのスーツが分離した。毛布はどんどん空に飛んでいって、チルは逆にどんどん下がってくる。
「パパ、チルお姉ちゃんが落下してます。急いで下さい。」
ノエルが慌てて、指示を飛ばしてくる。
チルの予想落下地点に先回りする。
「ドンっ」
という音と共になんとかキャッチに成功する。その間、空飛ぶリヤカーの操縦出来なくなるが致し方ない。運転する人は手放し運転は危ないのでやらないで下さいね。
「リュッ、リュウ兄ちゃん怖かったよー」
チルが泣きながら抱きついてくる。余程怖かったのか、周りの目などお構いなしである。ここがどこかも忘れてしまっているに違いない。
よしよしと頭を撫でてるあげる。ノエルも一緒になってほっぺたを撫でてくれている。
しばらく泣いて落ち着いたのか。
「リュウ兄ちゃん、ノエルちゃん助けてくれてありがとう。」
「うん、どう致しまして。色々とチルに聞きたいことはあるんだけど、敵地の中だから、現状確認をしてしまおう。」
「そうですよ。パパ、チルお姉ちゃん。幸い、今は魔霊樹の上母で魔族の姿が見えなかったからよかったですけど、デーモンやインプがいたらピンチでしたからね。」
「はははっ、面目ないです。でも、リュウ兄ちゃんが悪いんだよ。私を気絶させて置いていくから。」
「はいはい、チルお姉ちゃん。言いたいことは分かりますが、敵地のど真ん中なので後にしましょうね。パパには、後でしっかりと謝って、説明してもらいますからね。」
「分かったよ。」
「おいおいノエル」
ノエルも眠りの魔法使ったじゃないかという言葉をごくっと飲みこむ。今は本当にそんなことを話している場合じゃない。早急に方針を決めて動かないと。
「その通りだ。その件については後で話しあおう。」
「ということで、まずはサクッとあの魔霊樹を切り倒しちゃいましょう。」
いきなりノエルが物騒なことをいい放つ。
「ノエル、いくらなんでもあんなでかい魔霊樹の大木を僕ら一匹と3人でどうにか出来るわけないだろう。」
うんうんとチルもうなずいてくれる。
「パパ私達には、精霊樹の斧があるじゃないですか。あれでスパッと切り倒しましょうよ。」
異空間から、精霊樹の斧を取り出す。
「この小さい斧であの大木を切り倒すって?どうやってやるんだい?それに転移ゲートがなくなってしまったから、どうやってウェルザさん達の所に帰るとか、これからどうやって食べていくのか考えることがモリモリなんだが。魔霊樹は今倒して良いものなのか?」
「パパ、ここまで来たら、やれるだけやってみましょう。ダメだと思うことも、やってみないと何がダメなのか分かりませんよ。それに食糧は、多少なら異空間に入っているじゃないですか。」
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