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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№159】精霊樹の斧と魔霊樹討伐8

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 魔族襲撃予定日まではあっという間に過ぎて行った。みんなと協力してやるだけのことは準備した。魔法の開発もなんとかそれなりのものが出来上がった。前日にギリギリといった感じの為、プログラムでの作成は間に合ったけど。

 試射が本来の10分の1程度を軽くしただけで、本来の試射が出来てないことが問題である。

 これが上手いこと決まれば、殲滅できる。出来なかったら、失敗した時の2次作を急いで行って対応予定ときたものだ。時間がギリギリになればなるほど、土壇場でいいものは閃いてくるけど、テストが出来ずにぶっつけ本番になるのはいただけないな。


「みんな、おはよう」

「「「おはようございます!!!」」」

 「魔素の観測結果より、本日お昼に魔族の襲撃が起こる予定です。皆さん、自分の命を最優先で動いて下さい。」

「はいっ」

「では、これから、ウェルザさんのちょっと早い昼食を食べた後、各自持ち場について、計画通り動くものとする。予定時刻より、早くなる場合、遅くなる場合も勿論あるそこは臨機応変に行うこと。また、終了の連絡はこちらから連絡しに行く。最悪、夕方までは臨海体制で臨むことになる。栄養補給、水分補給はしっかりと行う様に。では、いただきます。」 


「頂きます。」

 そして、襲撃前の最後の昼食が取られた。最後の晩餐では決してない。そうただ決戦前に英気を養うための昼食だ。

「ねぇ、リュウ兄ちゃん。殲滅したら、そのままゲートの向こうに言っ行っちゃうの?」

 チルがモリモリとお肉を食べながら、コソッと耳元でそんなことでを呟いてくる。

 確かにチャンスではある。魔族を殲滅したなら、街の被害はその日はそれ以上ないと言っても過言ではないし。相手の魔族も全部出し切っての、襲撃である。ゲート付近にも魔族はもういないのではないかと思う。

 だから、責めるなら逆に相手が襲撃がないと思っているその時がチャンスになると思う。どこから、魔族の部隊送っているか分からないが、向こう側の条件を破壊してしまえば、もう、転移ゲートは開かれないかもしれない。

 こちらの魔霊樹を伐採しなくともそれが可能になるのであれば、するに越したことはない。こちらでは魔素を使って魔法を使用しているから、魔霊樹を伐採しては生活に影響が出る恐れがあるからね。

 まー、それを口に出してしまうと精霊であるノエルにこっぴどく怒られてしまいそうな気がするので言わないけど。


 僕はこそっとチルに伝える。

「それは状況次第だな。もしかしたら行くかもしれない。」

 「その時は私も一緒に行くよ」

  危険な場所にチルを連れて行く?またデーモンイーターの様な目に合うかもしれないのに?魔族の襲撃なら、多分これまでと一緒でそれならなんとか対応出来るんだ。デーモンイーターの様なイレギュラーが発生しなければ……。

 それに魔族襲撃はここに住んでいる以上対応しなければならない案件だが、転移ゲートの先に行くのは全く意味が異なる。危険度不明の未開の地なんだ。そこに連れて行く?僕でも生きていけるかどうか未知数なのに。

 それに行ったは良いが帰って来れる保証が全くない。この大陸と海で繋がっている幻想世界上の場所なのか、はたまた、こことは違いまた別の異世界や星に繋がっていらのかそれすらも定かではないんだ。

 行ったら帰ってこない。そのつもりで行かないと行けない場所である。無論、向こうで転移ゲートの発生条件を破壊すれば、転移ゲートが閉じる可能性の方が高い。

 僅かな可能性として、発生したエネルギーはそのままで自然消滅するまで、ゲートがそのまま維持されている可能性もあるのだが……

 やっぱり帰って来れる気はしないな。

「うん、期待してるよ。」

 僕はそう言うに留めた。ノエルは止めても着いてくるだろう。ただ、チルはダメだ。絶対ダメだ。そうなる時は、無理やりにでも、この地へ置いて行く。例え僕一人で行くことになったにしてもだ。

 
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