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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№152】精霊樹の斧と魔霊樹討伐

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 魔石と魔法陣の研究をしている内に瞬く間に日々が過ぎていった。

「リュウ兄ちゃん。さっきマインちゃんの武器屋覗いてみたら、精霊樹の斧が完成したから取りに来てって。」

 チルが弓矢を手に取ってそう報告してきた

「あー、全然日付名、感覚がなかったよ。ありがとうチル。それが作ってもらった弓矢かい?」

  そういうと、チルが喜んで弓のツルを、引っ張って矢を弾く真似をした。

「うん、私だけのオーダーだからかな。凄く手に馴染んで使いやすいよ。ツルこ引き具合も私の筋力に合わせてあるのか、無理なく弾ける。私も魔法意外で武器が出来たから、リュウ兄ちゃんの隣でバシバシ戦えるよ。」


「うん、よかったなチル期待してるよ。なら僕も精霊樹の斧を取ってくるかな。」

「うん、リュウ兄ちゃん行ってらっしゃーい。そうだ。精霊樹の斧が完成したから、魔霊樹討伐には近々行くのかな?」

「それだな。どうするかな?魔法陣の増幅と、城下内の日常魔法の兼ね合いと、あと魔族の襲撃が近々あると思うからな。多分一週間後ぐらいにはあるだろう?」

「うーん、どうなんだろうね、そこんとこはなんとも分からないかな。精霊樹植えたから期間伸びるよって、ティタニアちゃんが言ってたけど、結果的に早まってたし。」

「そうなんだよな。今の感覚だと4週間は切るけど、3週間はかかるって感じだもんな。そうなると来週襲撃じゃなくて、今週来るかもなんだよな~」

「パパ、行きましょう!悪の根源を倒しに!!すっと行ってバサっと伐採して、さっと帰ってくれば魔族襲撃までに間に合いますよ。」

 ノエルが拳を握って熱く力説してくる。
 いやね。ノエルの気持ちも分かるんだけどね。前回の近場の精霊樹植える時でさえ、2泊3日かかったからな。今回は、道も分からない上に、何がいるかも分からない場所に行くんだろう?とてもじゃないけど、すっと行ってすっと帰るなんて無理だと思うんだよな。

「まぁーまぁー、ノエル落ち着いて落ち着いて。どうするかは、精霊樹の斧を取ってきてから考えるよ。」

「うん、分かったよ。いつでも行ける様に心の準備と旅の準備はしておくよ。」

「やっぱりチルも行くのか?」

「勿論だよ。リュウ兄ちゃん、勇者様の行く所ならどこまでも着いていくよ。」

「ぷぎゅ、ぷぎゅー」

 あー、ウリも話に入ってきたか。

「ウリも一緒に行くよね。」

「ぷぎゅぶぎゅーっプギュプギュ。」

「パパ、ウリも絶対行く。僕は男の中の漢になるんだって言ってます。勿論私も着いて行きますよ。魔霊樹討伐は精霊の使命は元よりママのもらっている大切な使命ですから私が代わりにやり遂げるんです!!」

「うん、ウリもノエルもだな。分かってるよ。」

  僕にチルに、ノエルにウリか、精霊樹の討伐の時よりも1匹ウリが多いんだよな。精霊樹の実を食べているから頼りにはなるけど………。

 ウリをぼんやりと眺める。うん、あった時は可愛いと思ったけど、もはやウリ坊とは呼べない。本当に猪だ。現状のままでは、空飛ぶリヤカーに入れてウリを運ぶのは少し…いや、かなり厳しいな。空飛ぶ絨毯もウリでは捕まるとこがないから、落っこちそうだし………。

 かと言って、徒歩で行くとなったら何日かかるか検討もつかなくなる。時間もないから、空飛ぶリヤカーを2重にかけて、リヤカーを連結して空を飛んでみるか。多分、車の牽引みたいな形で行けると思うから、連結部は紐で結んでしまうか。

 そうなると、ウリ用のリヤカーを探してくる必要があるな。ウリもデカくなったから、小型のリヤカーでは役不足だし、箱だけ使って浮かすか?いやいや、街中を移動する時は魔法は、使えないから引きずるしかなくなるし、そうなると傷つきやすいから、また作らなきゃなるし。うーん….…。

 しゃーない、セバリンさんにお願いして同じものをもう一個作ってもらおう。で、出来上がったら、空飛ぶリヤカーで飛行テストして問題ない様なら出発だな。

 「二人とも魔霊樹討伐に行く時は宜しくな。とっても頼りにしてるよ」

「ぶきゅっぷきゅぷぎゅーー」

「はい、パパ、ノエルにお任せ下さい。」

 二人とも頼もしい限りである。これは置いてくととんでもなく怒られそうだな。

「僕はこれから武器屋に行ってくるから、話はまたその後だな。」

「行ってらっしゃーい」

「ふぎゅぷぎゅっ」

「パパ、私も一緒に行きますわ。」

 ノエルが置いていかれまいと急いで飛んできて、すぼっと胸ポケットに収まる。

「ノエルはそこがお気に入りだな。」

「はい、パパと一緒な景色が見られますし、パパの体温を感じられますから」

「ノエルは可愛いな~。」

 娘の可愛いさに思わず頬が緩んでくる。人差し指でポンポンとノエルの頭を軽く叩いてあげる。

「あーっ、ノエルちゃんだけずるい。やっぱり私も行くよー」

 チルがその光景をみて何を思ったのか、一緒についてくると言い出してきた。

「いやいや、チル。今日はウェルザさんにこれから薬草の収穫頼まれてただろう。お留守番だよ。お。る。す。ば。ん。」
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