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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№128】魔族襲撃 後始末編1

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「そうですか。そんなことがあったんですね。あの元気な小さな妖精さんにお会い出来ないのは寂しいですわ。」

「もう、ティタニアちゃんと会えないの。モニカ悲しい。もっともっとティタニアちゃんと薬草のお世話や花の蜜を吸ったり、もっともっと一緒に遊びたかったのに………。」

 こうなるとは思ってたけど、ウェルザさんは涙ぐみ、モニカちゃんに至っては、もう完全に泣いてしまっている。ウリは、まともにお話できるのがティタニアのみであったため、寂しさがかなりある様で地面にうつ伏せになっている。

「リュウ様。皆さん。ティタニアさんのことで悲しみたいのは私も同じです。ですが、その前に我々はやらなければならないことがあります。」

「セバリンさん。やらなきゃいけないこととはなんでしょうか?デーモンは駆逐したので、一通りすべき緊急は無くなったと思いますが、あっ、デーモンの焼却の件でしょうか?」

「違いますぞ。リュウ様。皆様は、魔族襲撃後、このファームから出ておられないので、現状が分かってないご様子です。前回とは比べものにならないくらいに街も人も損傷しております。怪我人や死者が数えられないくらいに街に溢れております。ですから、死者はどうにもならないにしても、助かる命があるのであれば、我々、ポーションを作るものとしては、街の人々を救いに行かなければなりません。」

「そうか。僕はデーモンを片付けたことで終わった気になっていたけど、街はそんなに酷いことになっているんですね。セバリンさんの言う通りです。僕たちのポーションで助かる命があるなら、助けに行きましょう。ウェルザさん。」

「はい、リュウさん。皆さん。倉庫にストックしてある液体ポーション、タブレット状のポーションを惜しみなく負傷者に使って下さい。料金は不要です。いち早くみんなを助けに行きましょう。人の命は有限です。さぁ急いで。」

「「「はいっ」」」

 チル、ウェルザさん、モニカちゃんとウリが早速倉庫に向かって走って行った。

「リュウさん。少しお話が……。」

「はい、セバリンさんなんでしょうか?」

「リュウさん。デーモンイーターを倒した件は内密にして下さい…役所は、報告するとリュウさんが異常な力を持つことが露見してしまいます。今回、残念ながら多数の住民が農園の方に複数のデーモンが固まって飛んで行くのを確認しております。何かしらの追求を街の人、特に役所から受けるでしょう。」

「その点に関しては僕も同じ考えです。上手いいい訳は見つからないです……。」

「リュウさん。まだ少しご理解が足りてない様で申し上げますと、多数のデーモンが来たのにも関わらず、うちの損害は、農園の畑のみです。人的損害が全くと言っていい程ありません。」

「セバリンさん。それは違う、先程も話しましたが、チルは死ぬかもしれない状態になりましたし、ティタニアは犠牲になってこの時代から消えましたし、僕自身も一つ間違えばこの場に生きてはいませんでした。」

 僕は平坦な声で冷静に事実を、告げるセバリンさんに声を荒げて言ってしまった。

「リュウ様。落ち着いて下さい。その件に関しては、私も先程聞きましたし、スーツの破れも確認したので理解しております。しかしですね。他の、ドラゴンファーム以外の住民から見たらそれらしい損害が出ていないのが、今のドラゴンズファームの現状なのですよ。」

「そっそんな……。」

「いいですかリュウ様。スーツ事態は口外出来ない製法素材を使ってます。その為、チルさんが死ぬほどの重傷にあった形跡の提示は出来ません。無論…どうやって治したかの説明もしようがありません。デーモンイーターの存在を口外しない為、リュウさんの証言も当てにできません。リュウさん一人で、上に死骸のある複数を討伐したという事実だけです。それにリュウさんは、街の外に出ています。門を通っていない以上どうしても情報に齟齬が出てしまいます。いつ帰ってきたのか?なぜ間に合ったのか?どうして知ったのか?」

「確かに説明出来ない部分が多すぎますね。ティタニアから通信があって、状況をいち早く知ることが出来た。僕のスキルがあったから、空を飛んで一直線で向かうことができた...。」

「そうです。ティタニアさんが妖精の為、公開出来ない。リュウさんも勇者であることを秘匿する為、説明ができない状態なんです。それに加えて………。」

「セバリンさん。まだあるんですか?」

 ごくっと唾を飲み込む。

「リュウさんは、高位の冒険者であるにも関わらず、今回の襲撃では自分の農園だけを防衛しており、街の皆さんのお役に立っていません。」

「だから、それは……。」

「ええ、デーモンが複数押し寄せてきた上にデーモンイーターが現れたからですね。それは理解してますが被害にあった住民がその結果をみてどう思うかという方が問題なんですよ。」

「そっそんな……。」

「リュウ様には今回の襲撃での味方が我々しかおりません。我々は、リュウ様の会社の従業員、つまり身内です。証言による効力は限りなく低いですぞ。」

「ではどうすれば?」

「先程皆さまがポーションを携えて街に走って行った様に、これからでも多くの人の命を救い味方に変えるのです。多少不利なことがあれど、民主の力が有れば覆すことも可能にぬります。リュウさんここからが本当の正念場です。さーいって下さい。しばらくはファームの復興は後回しです。まずは街の復興が最優先課題です。」

「はい、ありがとうございます。セバリンさん」

 僕は、ポーションをたくさん持って、被害のある街に走っていった。

「これでリュウ様の方は大丈夫でしょう。役所や門の警備の人への根回しが必要ですね。これは私の方で進めておきましょう。ホッホッホッ。」
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