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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№117】デーモンイーターとのどうにもならない戦い1

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僕たちが散開して、動き出すのを見て、デーモンイーターは、僕たちを標的として捉えたようだ。

「ぐきゅぐきゅぐぎゅくゅ」

不気味な笑い声を浮かべ、デーモンイーターはチルを一番始めに選んだようだ。

僕は、ヒートショックの魔法を発動しようとしたが、デーモンがチルを見た瞬間いきなりスピードが跳ね上がった。はっ早い早すぎる。これだと、デーモンがチルに攻撃する前に魔法が発動できない。

 あのスピードで攻撃をチルが受けたらと思うともう、迷っていることも迷う時間もなかった。発動すると決める。後のことは考えない。

『スキル:魔女の一撃』

デーモンイーターを対象にした、魔女の一撃は無事に効果を表したようだ。

『ぐうぎゃがぎゃがぎゃぎゃ』

デーモンイーターの加速が止まり、チルに叩く前に地面に倒れ伏せる。同様に10回目の魔女の一撃を使ったぼくも。

「いたたたたっ」

盛大にギックリ腰にかかり地面に倒れた。

「バタっ」

「いたたたたっ」

倒れた衝撃で、また、腰に負担がかかり痛みがます。

デーモンイーターと僕の二人に痛みによる悲鳴が辺りに響き渡る。

「リュウ!」

「リュウ兄ちゃん!」

チルとティタニアが形相を変えてこちらに駆け寄ってくる。
が、来るなとばかりに手を前に出して止める。

痛すぎて立ち上がるのも体勢を変えるのもきつい。戦闘はもう出来ないと考えた方がいい。初めてギックリ腰になったが、足が攣った時よりもなるかにきつい。

痛みを堪えれば、体を動かすことは出来なくても、手と口は動かすことはできる。

「チル、この機会を逃さな。僕はもう動けない。デーモンイーターにアースウォーターネットで動けないようにしてくれ。ウォータープロミネンスを使うから、動かれては困る。かけ終わったこっちに来て、座標指定を手伝ってくれ。これがやつを倒せる最初で最後のチャンスだ。」

「うん、分かった。」

チルはウォーターネットの呪文を唱え、痛みで動けないデーモンイーターに念入りに呪文を重ねがけしていく。

「ティタニア。ウェルザさんとモニカちゃんに直ぐに逃げるように伝えてくれ。あと、座標指定が出来たら、チルを連れてこの場をすぐに離れてくれ。」

「リュウはリュウは、どうするのよ。てか、どうなってるか説明しなさい。」

いや、そんな悠長に話している時間はないんだけど。

「スキルで、デーモンイーターをギックリ腰にした。その反動で僕もギックリ腰になって動けない。時間が経てば回復するから、今のうちに逃げるんだ。ウォータープロミネンスが効かなかったら、僕たちに勝ち目はどちらにしろないんだ。逃げてくれ。」

「はぁー、ギックリ腰?なんでそんなしょうもないものを。えっ、女神がくれたスキル?ほんとしょうもない女神ね。それであんたは痛くて動けない?ははっははっはっ。分かってないようだから言っとくけどあんたは神託のあった勇者なのよ。女神はどうでもいいとしても、うちの精霊神のご神託なのよ。あんたが神託を実行しないでどうすんのよ。あんたをおいて逃げたら、私は任務を放棄したことになるわけ。だから、」

精霊術で回復を、僕の腰にし始めた。

「早く治して、おの忌ま忌ましいデーモンイーターをちゃっちゃと倒すわよ。」

「リュウ兄ちゃんこっちは準備OKだよ。」

まったくどいつもこいつも僕の言うことを、ききゃしない、

「チル、僕の左手の人差し指をデーモンイーターの方に向けてくれ」

僕はユーザーインタフェースのスマホバージョンを召喚し、リストから、ウォータープロミネンスの魔法を選択する。

こんなことになるんなら、多重で魔法を発動出来るようにしとくべきだったな。もう出来るのは、これしかないからな。
チルの腕力じゃ、精霊樹の長刀を持ってしても、デーモンイーターには、傷一つつけられないだろう。

「リュウ兄ちゃん。準備OKだよ。」

「よし、『ウォータープロミネンス』起動」

寝転がりながら、スマホの画面を右手で操作して、魔法を発動するこれで5分後には、起動した太陽光線で、デーモンイーターを焼却してくれる予定である。

「さーここでやることは全てやった。チル、ティタニア、ウェルザさんとモニカちゃんを連れてここから離れてくれ。」

先程からティタニアが精霊術で回復してくれているが一向に回復の兆しがない。

「バカいいなさんな。あんたは、あいつどうやって倒すか考えてなさい」

ティタニアからの激励が入る。どうも連れて逃げてくれると言うのは相変わらずないようだ。

「リュウ兄ちゃん。私がリュウ兄ちゃん置いて逃げれるわけないでしょ。ここで逃げたら、リュウ兄ちゃん動かないんだから、絶対に死んじゃうよ。」

とチルは目に涙を浮かべながら、異空間から、常備してあるポーションを僕に飲ませてくる。

「ちょっと、ぶふっ」

横になりながら、水を飲むのはきつい。気道に入ってくる。

「ゴホッごほっ、いたっいたたったっ」

むせて咳をしたら、体全体が微妙に動いて全身に痛みが走った。

「ごめん。リュウ兄ちゃん。大丈夫?」

「大丈夫だから、体を動かさないようにしてくれ。ポーションは、かけてくれればいいから。」

チルが僕の服を捲り上げて、患部の腰にポーションを
「ドバドバ」とかけて行く。

服が濡れて気持ち悪いがそんなことを気にしている場合でもない。早く治るしないと、デーモンイーターが復活してきたら、倒しようがない。

あいつよりも早く早く回復して、ダメージを与えに行かないと。

デーモンイーターは、ウォーターネットで絡みついた糸を解こうとして、身体を動かすがそのたびに、ギックリ腰の激痛が走り、動かすのをやめると言うことを繰り返していた。
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