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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№112】突発!魔族襲撃3

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「で、リュウ兄ちゃん、どんな作戦で行くの?」

「ガンツさん直伝飛ぶ鳥落とせばなんとかなる。かな。羽を焼き切って地上に、落としてしまいたい。ただ、長刀がないので、僕が相手出来るのは一体だけなんだよな。チルは武器はある?」

「いや、私もないよ。異空間の中だし。」

「なら、相手の滑空からの突進の攻撃を利用した土壁激突作戦は?」

「それは私には無理だよ。あの作戦って、タイミングが命じゃない?私は、リュウ兄ちゃんみたいに、女神様へのお祈り省略出来ないし、土壁の再生スピードだってそれほど早くないよ。やったとしても、壁が出来た時点で通り過ぎてるか、生成のタイミングが早すぎて、前もって回避されるかのどっちかだよ。」

「なら、また、扇風機で横から妨害か?」

「いや、それも運良くこっちに注意してないから当たっただけだよ。威力でかい割に、当てるのが難しいから、横から当てるのは厳しいんだよ。」

と話し込んでいるうちに、デーモンが二手に分かれて両側から攻撃してくるせっかく位置取りしたのに。しかも、地に落ちたやつも起き上がってこっちに走ってくるし、3面からの攻撃は卑怯だよ。

こっちのアースウォールを警戒してか、突撃するスピードは遅くなっているが、どちらにしろ手があまりない状態では変わらない。しかも、こっちは二人とも紙装備である。一撃喰らえばそれだけで戦況は変わってしまう。

「チル、そっち側の一体はすまんが任せた。その代わり前の地面と空からくるやつはこっちで対処する」

「ちょっ、ちょっとリュウ兄ちゃん。それは、私には荷が重いよ。。。。」

すまんすまんとは思うけど、やるしかない。本来は守る対象なのに、任せてしまうとは情けない。しかし、もう、話している時間もない、

『ヒートショック(熱線)』

ビームを左から飛んでくるデーモン相手に放つが、2番煎じは、通用しないのか、大きく回避される。指先を相手に向けて、動かすも、空中をあっちに避け、そっちに避け、中々当たらない。

あっちは近寄ることをやめ、空中で回避することに専念するようだ。まっまずい。その間にも、地表のデーモンが距離を詰めてこちらに走ってくる。

くっ、一人なら、距離を取って、立て直すんだけど、側にチルもいるし、なによりこいつらを任せろと言った手前、チルは他の2匹には注意を向けていないだろう。僕が距離を空けて仕舞えば、横側からざっくりチルは攻撃されてしまう。

僕は指先を空中のデーモンから地表によるデーモンに変えた。地表のデーモンはまた、熱線が来ると思ったのか、腕を顔の前でクロスして、さらに羽を体の後ろに隠すように畳んだ。

おっ、これなら意外となんとかなるか?熱線における動作がフェイントの役割を果たしてくれているようだ。学習能力が高いのは厄介な反面、こうやって、フェイントにも反応してくれるってことなのか。

こうなると、戦闘経験をある程度場数を積んでおけば、フェイントの応酬で、なんとかやりきれる場面が出てくるのかもな。

僕の指先にデーモンの意識が集中しているため、足元がお留守になっている。

『アースホール』

落とし穴を進行方向に作成してやったら。見事落ちてくれた。

「ふっ、飛べない鳥はただの鶏だ」

「ちょっと何意味わかんないこと言ってるのリュウ兄ちゃん。早くそっちを片付けて手伝って!」

とは、言ってもね。指先向けてなかったから、また近くまでデーモンが飛んできてるんだよ。しかも、落としたデーモンも死んでる訳じゃないし、また、よじ登ってきたら、参戦されてしまう。

決め手が無いのがとてもイタイ。魔法も通用しそうなやつは一応作ったんだけど、照準指定がシビアな上、発動してから、実際に放射されるまでかなりのタイムラグがあるので、実用には向かないんだよ。

長刀、聖霊樹の長刀が手元に欲しい。でも、取り出す時間が割けないこのジレンマ。どうしてくれよう。

ひとまず、熱線で、羽を落とす作戦を進める。相手のデーモンは大きく空中を旋回し、避ける避ける避ける。

うん、千日手臭くなってきた。また、下のやつが、復活したら、また2面戦争だ。なんとかここでこいつも地面に墜落させておきたいあわよくば戦闘不能にしておきたい。

『アースウォーターネット』

チルの詠唱が辺りに響く、チルの放ったやつをデーモンはゆらりと回避した。がっ、たまたま、僕の熱線を回避したデーモンがその後ろ方向を飛んでいて、運良く翼に張り付いた。

羽が身体とくっついて、浮力がうめなくなったため、ドシンと地面に落下する。さらに、その下には、僕がほった落とし穴から這い出てこようとするデーモンが顔を覗かせたが、そちらに落ちて行く。

『ガツン』

二人のデーモンは仲良く落とし穴の中に落下していく。アースネットのおまけ付きのため、二人のデーモンは、くっついてしまっていた。

「ナイスだチル。もう少しだけそっちの相手をしていてくれ。」

僕は急いで呪文を唱え、異空間から、聖霊樹の長刀を取り出して装備した。よし、これで決めては確保した。

【アースウォーターネット』

さらにダメ押しで、落とし穴に魔法を落として、強力に接着しておいた。

「チル、待たせた。準備万端だ。これから、反撃するぞ!!」

「うん、待ってたよ。リュウ兄ちゃん」
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