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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№111】突発!魔族襲撃2

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「うみゃ、えっ、リュウ兄ちゃんが私に大切な話?」

うん、びっくりするほど、あっさりとチルが気付いた。いや、おかしい僕があれだけ呼びかけたのに、なぜ?カクテル効果と言うやつだろうか?喧騒の中でも自分の名前を呼ばれたことに気づくってやつ?

いや、違うだろ。、僕もチルのことは何度も名前で呼びかけているんだし。

「ちょっとリュウ、早く手伝ってよ。私一人じゃ牽制するので、手一杯なんだから!」

おっと、そうだった。考え事なんてしてる場合じゃなかったよ。

「チル、前見て前!デーモン来てるから!早く僕から離れて」


「えっ、えっ、あっ、ごめんリュウ兄ちゃん」

どうも意識が飛んでたせいで、状況把握が出来てないようだ。正直デーモンの数が多すぎるので、チルにも牽制や撹乱などで手伝って欲しいのだが。。。

と話している間にも、3匹のデーモンがこちらに向かって突撃してくる。ティタニアは、一人で2体のデーモンを引きつけてくれている。5体なんて、とてもじゃないけど相手に出来ない。

かと言って1対3で対応出来るかと言われると。。。
よそ行きのお洒落な服。防御力0
精霊樹の長刀(マイン・ザ・ブレード)、異空間に収納中のため装備している武器はなし。徒手空拳?いやいや、武道の心得ありませんし。

チル。混乱中のため、戦線離脱。守るべき対象者。

うん、変わらずにピンチだ。ひとまずは、突進してくる相手にはお馴染みの、腕を前に出して魔法を唱える。

『アースウォール』

デーモン一体の進行方向に土壁を設置する。

「ドスン」

と言う音と共にデーモンが壁に一体突撃する。これでやられてくれたら、世話ないんだけどな。残り2体は、魔法発動を、察知したのか微妙に回避して、こちらに距離を縮めてくる。

土壁を作っている合間にも、後ろに下がって、距離をとる。うーん、手持ちがないのが寂しい。武器が有ればまだなんとかなるんだけど、精霊術で異空間を繋げて、そこらからお目当ての長刀を取り出す?そんな。時間ある訳ないでしょ。

での早い魔法で一体ずつなんとかしてくしかないよな。その間にチルかティタニアがなんとかしてくれれば。。。

なんとかしてくれればありがたいんだけど。と、考えながら次の魔法を唱える。

『熱線(ヒートショック)強』

2本の指先をデーモンの羽の方向に向け、打ち出す。

「ジュッ」と言う音がして、デーモンの翼に穴があく。それをさらに指先を上下左右に動かして、切り裂いていく。

前回の襲撃の後に効果のあった魔法は、折をみて、バージョンアップしておいた。貫通力のアップには、成功したもののそれが同時にデメリットにもなっている始末である。

指先に、さらには、その敵の後ろに人や物陰がないことを確認してからでないと照射出来ない。貫通力が高すぎるので、後ろに人がいればその人まで貫通してしまうこと間違いなしである。僕は人を殺めたいと思わないし、傷つけたいとも思わない。

今回は人がいない農場であることをいいことに使用している。よくあるあれである。銃を人に向けてはいけない。熱線を人のいる方向に向けてはいけない。人じゃなくて、妖精のティタニアさんがいなくもない気がするけど。

貫通力は高いけど、土壁は貫通出来ないのは確認しているので防御は可能だよと。

そんな感じの魔法なので、方向に気をつけながら羽を切り刻んでいく。試しに胴体を切断出来るか試してみたけど、前回の襲撃の時と同様で表面は焼け焦げるが、穴はあかなかった。

ガンツ師匠の教えその1
飛ぶハエは、羽をもぎ取り、地面に叩き落とす。

片翼をズタズタにされたことで、デーモンは飛行出来なくなり、フラフラと地面に向かって飛んでいく。落ちて行くとも言う。

「ズタズタタタ」

また、地面にミミズがはったような跡が出来上がる。これで、こっちに向かってくるまともなデーモンは後1匹。

流石に1体相手するのに時間をかけ過ぎた。もう、デーモン相手に魔法を新たに使ってる時間はない。そこへ、気を持ち直したチルが魔法を、放つ。

『吹き飛べ、巨大扇風機』

デーモンの進行方向とは垂直方向から放たれた超強力な風が、デーモンの進行方向をそらせてくれた。デーモンはそのまま僕たちの横を素通りして、通り過ぎていき、また、上空へと飛んでいった。


僕たちは、急いで場所どりを変える。今の位置では、前から、壁に突っ込んで自滅したデーモン1体、地面に撃ち落ちた一体、そして、僕らの背後の上空にいるピンピンしている1体と、見えない範囲に敵がいることになるからだ。

3人のデーモンが見える場所に移動して行く。チルも僕の後について移動する。

「チル、ありがとう。その調子でデーモンへの妨害と僕の援護を頼む」

「ちょっと初めに下手打っちゃったからね。挽回していくよ。」
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