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第7章 ひとときの日常休暇編
【雇用№107】リュウとチルのデート5
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チルは家族愛に飢えていたのか、なら、何も言うまい。これからもみんな一緒に家族みたいな関係であったかく、過ごせるように善処しよう。
これまでの悲しい過去が忘れられるくらいこれからの未来をあったかいものにしてあげればいいものな。
「チルさんには僕の知らない、想像もつかない過去があったんだね。チルそんのことをもっとよく知りたいな。」
ウェルザさんやモニカちゃんのことも、プライベートなことは余り詮索しないように聞いてこなかった。気になることは気になっている。旦那さんはどうしたのかとか、以前はどんなお仕事を、していたのとか?セバリンもなんであんなに色んなことが出来るのか?とか、聞きたいことって沢山あった。
でも、僕はオーナーで、社員の人達に対し、そんなことを問いかけると、パワハラみたいで、絶対的に答えなきゃならないような気がして、聞くことが出来なかった。本当はもっと、みんなと仲良くなりたい。チルのことももっと知りたい。これまで、何気なく押さえつけていた欲求が前に出て来ていた。
「私ももっとリュウさんに色んなこと知って欲しいです。でも、同じくらいに私もリュウさんのことが知りたいです。」
「そっか。そうだよね。チルさんはどんなことが聞きたいのですか?」
「私は、前の世界でどんな風にリュウさんが、過ごしてて、どんなものを食べて、どんなことをしていたのか凄く聞きたいです。」
うーん、こことは違う所の話か、どうしたものかな。知らないもの、ここにはないものを説明するってかなり難しいんだよな。チルが分かるように説明出来るかな。
「分かったよ。話すことが向こうの世界のことだから、なるべく丁寧に説明するつもりだけど、分からなかったら、遠慮なく聞いてね。」
「はいっ」
そんなに僕のことが知りたかったら、遠慮なくいつでも聞いてくれていいんだけどな。あっ、それは僕も一緒か、一緒に暮らして、冒険までしているとはいえ、プライベートにはなるべく干渉しないようにして来たからな。
こめかみを、少し掻いた。結局こういう機会でも作らないと聞きづらいのかもしれないな。
それから僕は、地球のことをチルに色々と話した。本が好きで毎日積み本を作っては、読んでいたこと。スマホのゲームをあてもなくしていたこと。回転寿司やお寿司が好きで給料が入った日は、お腹いっぱいになるまで食べたいこと。
実家では、母さんの家庭菜園をたまに手伝ってハーブやサツマイモを植えて育てていたことをかいつまんで話した。
生の魚を食べる習慣のないチルにはドン引きされた顔で見られた。海が近くにないこの街では、生のお魚の刺身なんて無理だしね。川や湖の魚でのお刺身はかなり手間をかけないと食べられないって聞くし。
スマホでら、電話、ええと、遠くの場所にいる顔の見えない相手に声を伝える道具?もかなり驚いていた。
「それって、最新鋭の魔法じゃないの?」
「僕の世界では、魔法じゃなくて、科学が発達しているんだ。というか、魔法は向こうの世界では一切使えないんだよ。火を起こすのも風を起こすのも、土を、耕すのも魔法ではなく、科学から出来た機械なんだ。」
そうか、ここの人達から僕らの世界を見ると、僕らの世界がなんでも出来る魔法の国になるのかもね。異世界間交流とか、国外留学みたいな形で気軽に出来れば楽なんだけどなー。
「じゃーリュウ兄ちゃんも、科学って魔法を今使えるの?」
科学の魔法か。タバコは吸わないからライターは持ち合わせてないし、作業服で転移して来たから、名刺と財布、ボールペンぐらいはあったかな。スマホもあるけど、流石に1ヶ月以上経っているから、電池切れだし。
異空間から作業服を取り出して、ポケットを漁る。あっ、メジャーと、定規、カッターも入ってたわ。ボートの上がゴタゴタしてきたので、作業服を異空間に入れ直す。
「これらが向こうの世界で作られた道具だよ。魔法みたいなものではないけど。通話出来るものは、エネルギー切れだし。あっ、これなんか面白いかも。長さを測るものでメジャーって言うんだけど、こう、引っ張ると測れる部分がどんどん増えるんだ。」
「リュウ兄ちゃん。すごいね。魔法みたいに何もない所から、出てくるよ。」
驚いてくれたみたいでよかったよ。電池さえあれば、スマホで写真を撮って、チルをあっと言わせて楽しませることが出来るんだけど。
スマホをとって、電源を入れてみるが、やっぱり起動しない。電気ならなんとかすれば作れないこともないけど、コネクタの規格が作れないから、結局、充電はこの世界では無理なんだよな。
「リュウ兄ちゃんはこっちの世界来てるから、いずれは向こうの世界に戻るんだよね?」
「ああ、そうだね。知り合いや両親、愛ちゃんも向こうの世界に残してきているから、帰る方法が見つかったら、向こうの世界に戻るつもりだよ。」
「そうなったら、どうするのか?また、こっちの世界に戻ってこれる?」
若干、涙目に、なってチルがこっちをじっと見つめてくる。しまった。今チルが僕を家族だと言ったばかりじゃないか。そんな人が一生会えなくなるかもしれない。一時的な別れではなく、生きていても絶対に会うことが出来ない根性の別れ。
せっかくのデートの予習でチルにそんな思いをさせていいのか?いや、ダメだろう。僕はチルの兄貴分なんだ。そんな寂しい思いはさせられやしない。
これまでの悲しい過去が忘れられるくらいこれからの未来をあったかいものにしてあげればいいものな。
「チルさんには僕の知らない、想像もつかない過去があったんだね。チルそんのことをもっとよく知りたいな。」
ウェルザさんやモニカちゃんのことも、プライベートなことは余り詮索しないように聞いてこなかった。気になることは気になっている。旦那さんはどうしたのかとか、以前はどんなお仕事を、していたのとか?セバリンもなんであんなに色んなことが出来るのか?とか、聞きたいことって沢山あった。
でも、僕はオーナーで、社員の人達に対し、そんなことを問いかけると、パワハラみたいで、絶対的に答えなきゃならないような気がして、聞くことが出来なかった。本当はもっと、みんなと仲良くなりたい。チルのことももっと知りたい。これまで、何気なく押さえつけていた欲求が前に出て来ていた。
「私ももっとリュウさんに色んなこと知って欲しいです。でも、同じくらいに私もリュウさんのことが知りたいです。」
「そっか。そうだよね。チルさんはどんなことが聞きたいのですか?」
「私は、前の世界でどんな風にリュウさんが、過ごしてて、どんなものを食べて、どんなことをしていたのか凄く聞きたいです。」
うーん、こことは違う所の話か、どうしたものかな。知らないもの、ここにはないものを説明するってかなり難しいんだよな。チルが分かるように説明出来るかな。
「分かったよ。話すことが向こうの世界のことだから、なるべく丁寧に説明するつもりだけど、分からなかったら、遠慮なく聞いてね。」
「はいっ」
そんなに僕のことが知りたかったら、遠慮なくいつでも聞いてくれていいんだけどな。あっ、それは僕も一緒か、一緒に暮らして、冒険までしているとはいえ、プライベートにはなるべく干渉しないようにして来たからな。
こめかみを、少し掻いた。結局こういう機会でも作らないと聞きづらいのかもしれないな。
それから僕は、地球のことをチルに色々と話した。本が好きで毎日積み本を作っては、読んでいたこと。スマホのゲームをあてもなくしていたこと。回転寿司やお寿司が好きで給料が入った日は、お腹いっぱいになるまで食べたいこと。
実家では、母さんの家庭菜園をたまに手伝ってハーブやサツマイモを植えて育てていたことをかいつまんで話した。
生の魚を食べる習慣のないチルにはドン引きされた顔で見られた。海が近くにないこの街では、生のお魚の刺身なんて無理だしね。川や湖の魚でのお刺身はかなり手間をかけないと食べられないって聞くし。
スマホでら、電話、ええと、遠くの場所にいる顔の見えない相手に声を伝える道具?もかなり驚いていた。
「それって、最新鋭の魔法じゃないの?」
「僕の世界では、魔法じゃなくて、科学が発達しているんだ。というか、魔法は向こうの世界では一切使えないんだよ。火を起こすのも風を起こすのも、土を、耕すのも魔法ではなく、科学から出来た機械なんだ。」
そうか、ここの人達から僕らの世界を見ると、僕らの世界がなんでも出来る魔法の国になるのかもね。異世界間交流とか、国外留学みたいな形で気軽に出来れば楽なんだけどなー。
「じゃーリュウ兄ちゃんも、科学って魔法を今使えるの?」
科学の魔法か。タバコは吸わないからライターは持ち合わせてないし、作業服で転移して来たから、名刺と財布、ボールペンぐらいはあったかな。スマホもあるけど、流石に1ヶ月以上経っているから、電池切れだし。
異空間から作業服を取り出して、ポケットを漁る。あっ、メジャーと、定規、カッターも入ってたわ。ボートの上がゴタゴタしてきたので、作業服を異空間に入れ直す。
「これらが向こうの世界で作られた道具だよ。魔法みたいなものではないけど。通話出来るものは、エネルギー切れだし。あっ、これなんか面白いかも。長さを測るものでメジャーって言うんだけど、こう、引っ張ると測れる部分がどんどん増えるんだ。」
「リュウ兄ちゃん。すごいね。魔法みたいに何もない所から、出てくるよ。」
驚いてくれたみたいでよかったよ。電池さえあれば、スマホで写真を撮って、チルをあっと言わせて楽しませることが出来るんだけど。
スマホをとって、電源を入れてみるが、やっぱり起動しない。電気ならなんとかすれば作れないこともないけど、コネクタの規格が作れないから、結局、充電はこの世界では無理なんだよな。
「リュウ兄ちゃんはこっちの世界来てるから、いずれは向こうの世界に戻るんだよね?」
「ああ、そうだね。知り合いや両親、愛ちゃんも向こうの世界に残してきているから、帰る方法が見つかったら、向こうの世界に戻るつもりだよ。」
「そうなったら、どうするのか?また、こっちの世界に戻ってこれる?」
若干、涙目に、なってチルがこっちをじっと見つめてくる。しまった。今チルが僕を家族だと言ったばかりじゃないか。そんな人が一生会えなくなるかもしれない。一時的な別れではなく、生きていても絶対に会うことが出来ない根性の別れ。
せっかくのデートの予習でチルにそんな思いをさせていいのか?いや、ダメだろう。僕はチルの兄貴分なんだ。そんな寂しい思いはさせられやしない。
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