上 下
96 / 188
第7章 ひとときの日常休暇編

【雇用№95】リュウと精霊樹の斧

しおりを挟む
次の日、簡単にセバリンに薬儒の森でのことを説明した後、マインちゃんの武器屋に行った。

「マインちゃんこんにちは」

「あっ、リュウさんいらっしゃいませ。今日はどのようなご用件ですか?ご注文の武器に関してはまだ出来上がっておりませんよ。」

「今日はね~武器の製作を追加で頼みに来たんだ。」

「ありがとうございます。オーダーの方は、注文が滞っておりまして。ものにもよりますが、仕上がりは一ヶ月後くらいになりますよ」

「あ~それで構わないよ。それで作って欲しいものというはこれなんだ。」

といって、僕は、木板に精霊樹様より聞いていた斧の製作内容を記載したものを出してみせた。

「ふむふむ、結構特殊な材料を使用しての製作ということですね。材料は持ち込みですか?」

「そこに書いてある木材と、水に関してはこちらで用意してある。ただ、この材料に関しては、製作過程ででた不要物に関しては全て返却してもらいたいのと、この製作と材料に関しては、すべて秘密でお願いしたいんだ。」

「わかりました。それでは専属のものを用意して、その方に全ての作業を行ってもらうことにします。」

「んっ、いいのかい?出どころが不明な特殊な材料ばかりだよ、それに役所の人間も欲しがっているものだし。」

「あ~~、もっと出どころを探ってくるかと思ったんですね。リュウさん。こっちも商売ですから、そこまで野暮なお話はしませんよ。気になると言えば気になりますし。役所に聞かれたら、答えづらい案件になりますが、オーダーメイドのものではよくあることですから。

 そこは気にしなくて結構ですよ。うちも守秘義務がありますから、ペラペラとお客様の個人情報を流したりはしませんよ。最も国の査察などが入ることになったら、その時は勘弁して下さいね。」

「あ~そこまで行っては、武器屋の存続にも関わるからね。そこまでは求めないよ。なら、お願いしますね。不明点があれば、聞いてください。あと料金はおいくらほどで、予算がないんだけど、材料でも問題ないかな?」

「そうですね。特殊材料での特殊工程の上に専属ですから、材料費を金属代だけにしても、30万ループ程かかりますね。こちらで必要な材料があれば、買い取らせてもらいますよ。どんなものがありますか?」

「あ~これも詳細は話せないが入手ルートに関しては聞かないで欲しい。魔熊の皮、骨、魔石だな。」

「なるほど、それほどの高ランクの魔物の材料ですか。魔石は残念ながら、うちでは買取できませんね。役所での一括買取という形になってますので、自家消費ならともかく、商売で使用するものはダメですわ。皮や骨に関しては、お勉強させて頂きますよ。」

 とりえあず、お金を工面するために朝早く、魔熊を小さいのを一体急いでばらして、材料になりそうなものだけ、袋に入れて持ってきたんだ。

「これだね」

と言って、カウンターの上に持ってきた、皮や骨を出していく。武器屋なのでお肉などは持ってきていない。流石に肉を出すと色々な所にばれそうな気がしたので。

「皮などは損傷が激しいですが、それでも強度が高いものですね。これなら、10万は出せますね。骨は」

『コンッコンッ』

「うん、強度は問題なく高いですね。これなら、15万は出せそうですね。全部買取させてもらえるなら、合計で25万ループとなりますが、いかがしますか?」

「あ~それで頼む、それと不足分のお金だ。これで宜しく頼む」

「毎度ありがとうございます。でっ、リュウさん。ここからは個人的な質問ですが、これのお肉ってあまったりしてませんか?」

「あ~~あることにはあるよ。もしかして欲しいの?」

「ええ、お祖父ちゃんが武器の製作を頑張ってくれているので、何か美味しいものを食べさせてあげたいなと思っているので、あったら買取させてもらいたいんですよ。武器屋としてではなく、個人的に。。。最近は魔猪のお肉も、狩れる人が少ないために高騰しちゃって、お金を出しても入手しずらい状況ですので。。。」

「う~~~ん。流石にお肉はね~~~。食べた人が出どころを聞いて来たらすぐさまばれそうな気がするんだよね。流石にお祖父ちゃんだけが食べるわけではないんだろう」

「はい、食べるときは家族のみんなが食べることになりますね。それでは難しいでしょうか?入手先は秘密厳守にしますので、どうか、お願い出来ないでしょうか?これに関しては、査察が入ってきても、個人で購入したものですから話す必要はありませんし。家族にも詮索しないことを言い含めますからお願いします。」

 念入りに頭を下げてお願いされてしまった。はぁ~~、僕はこういう所で脇が甘いような気がするな。やっぱり一人で来ないで、セバリンさんか、ウェルザさんと一緒に来ればよかったか。

「わかったよ。モニカちゃん。後でお肉はブロックで持ってくるけど、内緒でお願いね。」

「やった~~。ありがとうございます。リュウさん。大好きです」

 と言って、モニカちゃんが僕の手を両手でとって、ブンブンと上下に振るのであった。喜んでもらえてよかったよ。面倒なことにならなきゃいいな~
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...