上 下
91 / 188
第6章 精霊樹の苗木 準備編

【雇用№90】薬儒の森  精霊樹その4

しおりを挟む
「ティタニアどうしたんだいその身体は?」

「リュウ。私もびっくりしたのよ。チルに言われて小屋の中で食べてよかったわ。私の場合は一口たべるごとに身体が大きくなっていったのよ。一つまるまる精霊樹の果実を食べた結果がこの通りよ。」

「いやでも成長しすぎじゃないのか?精霊ってそもそもサイズ的には、さっきまでのティタニアのサイズが一般的じゃないのか?」

「そんなことはないわよ。妖精は大体私と同じくらいの大きさだけど、妖精以外の上級の精霊たちは私よりも身体の大きい人はいるわよ。精霊王様は、リュウより大きいくらいだしね。」

「いや、それはもろに上の人が精霊樹を食べて大きくなっている結果な気がするぞ。」

「そうかも知れないわね。逆に言えば、階級で食べられる人が明確に決められているからのこの結果な気がするわ。ということは、私も晴れて、妖精を卒業して、上級精霊になるのかしら?」

「いや、ティタニアさんや。あなた様は精霊の中でも上の方だと思ってたんだけど、上級ですらもなかたのかい?精霊樹の苗木の件てかなり、重要なことじゃなかったのか?それに精霊神からのご神託の結果、僕に協力を求めていたんだろう?下っ端にさせる仕事じゃないと思うのだが。」

「私は上級精霊ではないけど、妖精としてはピカイチで、頭一つ分抜けて優秀なのよ。その能力と適正を慮(おもんばか)った精霊王様の判断なのよ。もしかしたら、この精霊樹の果実をもらって食べることまでが筋書だったのかもしれないわ。きっとそうよ。私の能力に合わせて階級を上げるためにこの任務をお与え下さったのよ。」

「ふむ、ティタニアにも詳しいことはわからないか。色々と疑問が残るが解決しないし横に置いて置こう。それで体のサイズ以外で変わったことはないのか?」

「そうね。私は、精霊術を使える量がぐ~~~んと増えた感じがするわ。きっと、きっと、精霊術を扱うための気の量が身体のサイズに合わせて増えたのよ。あとは私は特段ないかな。チルも同じだったわよ。リュウはどうなの?見た所何も変わっていないような形に見えるけど。」

「うん、私もリュウ兄ちゃんは外見が全然変わっていないように見えるよ。」

「やっぱり、何も変わっていないのか。いや、僕自身も何か変わったかというとなにも変わってないような気はしてたんだ。でも、ウリと、ボスが大きくなって、チルが少し大きくなって、ティタニアがダメおしで巨大化したから。僕もと少し期待したんだが。やっぱり何も変化なかったか。はぁ~~」

「そんなに気を落とさないでよ。リュウ兄ちゃん。それ以上大きくなったら生活が大変だよ。今でも時々、扉のとこで、頭をぶつけているの知ってるんだから。」

「うん、そうだね、チル。確かに僕はこれ以上身長は伸びなくていいかな。扉を出入りするときにこれ以上高さを気にしなくてよくなるしね。」

 それにあんまりリュウ兄ちゃんが背が高いと、せっかく私が慎重伸びて、差が縮まったのに開いちゃったら、いざ、こっちからキスしようとするときに不意打ちで出来なくなるから絶対ダメだよ。とチルは思いました。

「なら、確認は変化の確認は終わったし、急いで帰ろうか。、流石にもう、2日も農園を空けているから、早く戻った方がいいだろ。向こうもきっと心配しているだろうし。」

「じゃ~ボス、ウリ、今度こそお別れだ。またな」

『ぷぎゅ~~~』
 とボスが鳴いた。ウリは

『ぶぎゅ、ぷぎゅ、ぷぎゅ~~~』
 と何かをボスに言っているようだ。

「リュウ。どうやら、ウリは私達に着いてくるみたいよ。ボスもやむなくそれを今了承したわ。」

「いや、了承したって、ウリは魔猪だろ。流石に町には連れていけないだろう。連れていったら、討伐されて、食われちゃうんじゃないのか?」

「リュウ兄ちゃん。それは多分大丈夫だと思う。ちゃんと飼い主がしっかりしていれば、魔物も買っていいことになってるし。持ち主のものであるという証明に首輪が必要になってくるし、役所への登録も必要だよ。牧場とかでは、魔物の牛や豚とかを調達して、飼育したって聞いたことあるから。」

「そうなのか。それなら、うちはいいんだけど。ボス達はいいのか?群れから離れることになるんだぞ。」

『ぶぎゅ、ぷぎゅ、ぷぎゅ~~~』

「ええとね。小さい子には旅をさせろだって。後は今回の魔熊との体験がよかたみたいで、もっと経験を積んで強くなってから帰ってこいだそうよ。そうしたら、群れのボスとして、引継ぎを行うんだって。」

「は~お前も大変ななんだな。ウリ」

『ぶぎゅ~~~』

「そんなことはないよ。ボスの長男として生まれたからには当然の務めさ。長たるもの、幾多の経験とそれを乗り越える力がないと、引継ぎしてもお飾りになって群れを危機に陥れるからね。だって」

 いやはや耳が痛いお話である。勇者であることを嫌って、魔王を討伐しにいこうとしない僕とは雲泥の差である。もう、ウリが勇者でいいんじゃないの?必ずしも人間である必要はないでしょうよ。

 こうして、僕達の仲間にウリが加わることになった。成長したウリと成長したティタニアは丁度いいようで、まあ、またがって移動している。犬にまたがる子供に見えてくるから不思議なもんだ。

 ウリがいたおかげで、道中迷うことも、魔物に襲われることもなく、森を通り過ぎることができた。各種の珍しい薬草や花などを途中途中で寄り道して採取しながら。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...