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第6章 精霊樹の苗木 準備編
【雇用№69】精霊樹の苗木準備編 薬儒の森への出発2
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僕、チル、ティタニアの3人は、町をでた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
武器屋には、納期より一日早く行ってたんだよね。僕なら、前日には仕上げてイレギュラーの調整等で予備日を設けるから、挨拶がてらいったら、丁度よく出来上がってたのさ。
それで、試着してみると鎖帷子だけあって、多少の重さはあるものの、動けないわけではない。最近の体力向上のおかげかもしれないな。
これで耐刃性に関しては防御力は向上した。重量武器での攻撃には滅法弱いが僕らは、そこまでの近接戦闘をしてしまえば、そもそもダメなんだ。
爪や牙などに対する防御力を上げることで魔物への対策としている。あとは、この上に皮や木の鎧を付ければそこら辺も多少なりともカバーできるのだが、鎖帷子+●鎧では重みに耐えられず、体力の消耗が激しかった。
魔法使いや弓使いなどの遠距離は、基本は紙装備ってことですね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街をでたら直ぐにリヤカーに『空飛ぶリヤカー』の魔法をかけた。
さっそく、僕はリヤカーの縁に手をかけて、ジャンプして乗り込んだ。
「さっ、チル乗って」
と僕はチルに手を差し出した。チルはなぜか両手を僕に突き出してきた。
「リュウ兄ちゃん乗せて~~~」
あっれ~。本当は、片手でチルを引っ張りながら、リヤカーにチルが足をかけて、乗り込んでもらうつもりだったのだが、チルの両脇の下に手を入れて持ち上げることになった。
おっかしいな~。これちょっとずれたら、セクハラどころのレベルじゃなくなるんだけど。
チルは、ある決意を固めて家を出発していた。
ウェルザさんやモニカちゃん、セバリンさんがいないリュウ兄ちゃんと二人きりの旅行。それは、恋する乙女にとって甘酸っぱい物語の始りを示唆していた。
屋外で一泊したり、危険な魔物と戦うことがあって、お互い助けあって、危機を乗り越えたら、きっと恋が芽生える。そんな、童話や伝承にある物語をチルは望んでいた。
だって、ウェルザさんにリュウ兄ちゃんの件を相談したら、
「リュウさんは、かなり一途な上に激鈍チンだから、アプローチしてアプローチしてこれでもかってくらいした方がいいわよ。」
ってアドバイスをもらったんだ。
モニカちゃんやセバリンさんがいる手前、農園の方ではあれ以上のアプローチは私にはできなかった。
邪魔者のエルザさんは、ウェルザさんが、個人的な感謝を断ってくれていたので、助かった。エルザさんは私よりスタイルがいいし、女らしいし勝てる部分があんまりないんだよ。
あの人は、リュウ兄ちゃんに仕事かプライベートかはわからないけど、色目を使っている気がするから、あまり近づけたくなかったんだ。
実を言うと、ポーションの納品の件も、ウェルザさんに私がお願いして行ってもらった。リュウ兄ちゃんには、農園関係の責任者はウェルザさんなんだし、今後のことも考えて、行ってもらった方がいいよ。って言っておいたら、頷いてくれたから。
今回の精霊樹の件も魔霊樹の件も私にはチャンスだった。
リュウ兄ちゃんの役に立って、リュウ兄ちゃんに『僕の隣には君しかいない』って認めてもらうんだ。
そうと決めているからには、積極的にボディ的にスキンシップをしていくことに決めた。ティタニアちゃんも私に協力してくれるって言ってるし。
さっそく、リヤカーに乗るときに軽いスキンシップも出来たしまずは一歩前進である。
僕は、風の強さを徐々に上げて、まっすぐに薬儒の森の方へ向けて出発した。
2週間も来ていないと、前にせっかく雑草を刈ったというのに、もう、腰の位置まで生えてきている。
僕は除草魔法の『ウィンドカッター』を何度も使用している。チルは乗り心地もいいし、思ったよりスピードが出て風が当たって気持ちいいのか、あたりの景色を見渡して喜んでいた。
「きゃ~~~、凄いよ、リュウ兄ちゃん。もう、町が小さくなってるよ。はや~~~い」
「リュウ。本当にこれは凄いわ。私が飛ぶよりも早いじゃない」
と僕の腕を掴んでチルは無邪気にはしゃいでいた。ティタニアもすごく驚いていた。
そういえば、子供って、初めて乗り物乗る時って滅茶苦茶テンション高いもんな~。うん、喜んでくれてよかった。
セバリンさんにも今度伝えよう。モニカちゃんやウェルザさんも一度乗せてあげないとね。でも、これ二人乗りなんだよね。今回は武器や携帯食料なんかも詰んでいるから結構狭い。
そうこうしている内にあっと言う間に薬儒の森へついた。
「えっ、もう着いたのリュウ兄ちゃん。私もっと乗っていたかったな~」
「また、帰りに乗せてあげるよ。チル。さっ、ここからはちょっと気を引き締めて行こうか。魔猪が出るかもしれないからね」
「うん、わかったよリュウ兄ちゃん」
チルの顔がピリッと引きしまる。うん、いい顔だ。
「ティタニアどっちの方角に進んでいけばいいんだい。」
「ちょっと待ってね。そうね~~こっちの方向に進んでもらえばいいわ。場所は把握したから大丈夫よ。」
「さて、僕は魔素感知を使うとするか。チル、薬草があったら、採れるものはなるべく取ってね。マジックポーションの材料優先で。」
「うん、わかったよリュウ兄ちゃん任せといて、ここ最近のポーション作りで必要な薬草は見分けられるようになったから。」
こうして、3人はリヤカーを引きながら薬儒の森に入っていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
武器屋には、納期より一日早く行ってたんだよね。僕なら、前日には仕上げてイレギュラーの調整等で予備日を設けるから、挨拶がてらいったら、丁度よく出来上がってたのさ。
それで、試着してみると鎖帷子だけあって、多少の重さはあるものの、動けないわけではない。最近の体力向上のおかげかもしれないな。
これで耐刃性に関しては防御力は向上した。重量武器での攻撃には滅法弱いが僕らは、そこまでの近接戦闘をしてしまえば、そもそもダメなんだ。
爪や牙などに対する防御力を上げることで魔物への対策としている。あとは、この上に皮や木の鎧を付ければそこら辺も多少なりともカバーできるのだが、鎖帷子+●鎧では重みに耐えられず、体力の消耗が激しかった。
魔法使いや弓使いなどの遠距離は、基本は紙装備ってことですね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街をでたら直ぐにリヤカーに『空飛ぶリヤカー』の魔法をかけた。
さっそく、僕はリヤカーの縁に手をかけて、ジャンプして乗り込んだ。
「さっ、チル乗って」
と僕はチルに手を差し出した。チルはなぜか両手を僕に突き出してきた。
「リュウ兄ちゃん乗せて~~~」
あっれ~。本当は、片手でチルを引っ張りながら、リヤカーにチルが足をかけて、乗り込んでもらうつもりだったのだが、チルの両脇の下に手を入れて持ち上げることになった。
おっかしいな~。これちょっとずれたら、セクハラどころのレベルじゃなくなるんだけど。
チルは、ある決意を固めて家を出発していた。
ウェルザさんやモニカちゃん、セバリンさんがいないリュウ兄ちゃんと二人きりの旅行。それは、恋する乙女にとって甘酸っぱい物語の始りを示唆していた。
屋外で一泊したり、危険な魔物と戦うことがあって、お互い助けあって、危機を乗り越えたら、きっと恋が芽生える。そんな、童話や伝承にある物語をチルは望んでいた。
だって、ウェルザさんにリュウ兄ちゃんの件を相談したら、
「リュウさんは、かなり一途な上に激鈍チンだから、アプローチしてアプローチしてこれでもかってくらいした方がいいわよ。」
ってアドバイスをもらったんだ。
モニカちゃんやセバリンさんがいる手前、農園の方ではあれ以上のアプローチは私にはできなかった。
邪魔者のエルザさんは、ウェルザさんが、個人的な感謝を断ってくれていたので、助かった。エルザさんは私よりスタイルがいいし、女らしいし勝てる部分があんまりないんだよ。
あの人は、リュウ兄ちゃんに仕事かプライベートかはわからないけど、色目を使っている気がするから、あまり近づけたくなかったんだ。
実を言うと、ポーションの納品の件も、ウェルザさんに私がお願いして行ってもらった。リュウ兄ちゃんには、農園関係の責任者はウェルザさんなんだし、今後のことも考えて、行ってもらった方がいいよ。って言っておいたら、頷いてくれたから。
今回の精霊樹の件も魔霊樹の件も私にはチャンスだった。
リュウ兄ちゃんの役に立って、リュウ兄ちゃんに『僕の隣には君しかいない』って認めてもらうんだ。
そうと決めているからには、積極的にボディ的にスキンシップをしていくことに決めた。ティタニアちゃんも私に協力してくれるって言ってるし。
さっそく、リヤカーに乗るときに軽いスキンシップも出来たしまずは一歩前進である。
僕は、風の強さを徐々に上げて、まっすぐに薬儒の森の方へ向けて出発した。
2週間も来ていないと、前にせっかく雑草を刈ったというのに、もう、腰の位置まで生えてきている。
僕は除草魔法の『ウィンドカッター』を何度も使用している。チルは乗り心地もいいし、思ったよりスピードが出て風が当たって気持ちいいのか、あたりの景色を見渡して喜んでいた。
「きゃ~~~、凄いよ、リュウ兄ちゃん。もう、町が小さくなってるよ。はや~~~い」
「リュウ。本当にこれは凄いわ。私が飛ぶよりも早いじゃない」
と僕の腕を掴んでチルは無邪気にはしゃいでいた。ティタニアもすごく驚いていた。
そういえば、子供って、初めて乗り物乗る時って滅茶苦茶テンション高いもんな~。うん、喜んでくれてよかった。
セバリンさんにも今度伝えよう。モニカちゃんやウェルザさんも一度乗せてあげないとね。でも、これ二人乗りなんだよね。今回は武器や携帯食料なんかも詰んでいるから結構狭い。
そうこうしている内にあっと言う間に薬儒の森へついた。
「えっ、もう着いたのリュウ兄ちゃん。私もっと乗っていたかったな~」
「また、帰りに乗せてあげるよ。チル。さっ、ここからはちょっと気を引き締めて行こうか。魔猪が出るかもしれないからね」
「うん、わかったよリュウ兄ちゃん」
チルの顔がピリッと引きしまる。うん、いい顔だ。
「ティタニアどっちの方角に進んでいけばいいんだい。」
「ちょっと待ってね。そうね~~こっちの方向に進んでもらえばいいわ。場所は把握したから大丈夫よ。」
「さて、僕は魔素感知を使うとするか。チル、薬草があったら、採れるものはなるべく取ってね。マジックポーションの材料優先で。」
「うん、わかったよリュウ兄ちゃん任せといて、ここ最近のポーション作りで必要な薬草は見分けられるようになったから。」
こうして、3人はリヤカーを引きながら薬儒の森に入っていった。
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