上 下
19 / 188
第2章 魔族襲撃編

【雇用№018】雇われ勇者 正体がばれた

しおりを挟む
まずい、二人だけ、チルとグラマンさんだけだけど僕が勇者だとばれてしまった。
「そうなのか?リュウ君。君が女神と王より召喚された勇者なのかい?」
「本当なのリュウ兄ちゃん??とてもそうは見えないんだけど」

「はい、実は僕が勇者です。と言って、そこまで強くはないので名ばかりの勇者ですよ。デーモン相手に死にそうになるし、こっちに来たときはインプ相手もまずかったですから。
勇者と言ってもほぼ何も出来ませんので、他の方には内緒にして置いて下さいね。」

「いや、勇者と言えば、私たち人類の希望なんだよ。ここは盛大に広めて、魔族におびえる人たちを安心させてあげた方がよいのではないかな。」

「いえね、僕が魔王を倒すとかとてもじゃないけど、出来ませんし。僕が出来るなら、グラマン隊長やガンツさんだって魔王を倒すことが出来ることになりますよ」
「うむむむ・・・・そうか。それでは民に期待させるだけさせておいて。一行に何も変わらないってことになり、逆に不安になるかもしれないな」

「そうだよ。グラマンさん。リュウ兄ちゃんが魔王を倒すなんて無理だよ。良くて私のナイト様だよ。ね、リュウ兄ちゃん」
チルの茶色のさらさらした髪の毛をなでながら。
「そうだね。それなら僕にも出来るよ。知らない誰かのためには、戦えないけど、親しいチルのためなら僕は勇気を振り絞って戦えるよ」

「う~~ん。いかに神託のあった勇者といえどもな。。。。
 わかった。私の胸に片隅に覚えておこう。なにか協力出来ることがあったら言うといい。なるべく助けになろう。ただし、勇者と皆に明かせないなら、よっぽどの理由がないと大きなことは手伝えないがな。」

「今回の精霊樹の苗木の件も、魔霊樹の伐採の件も情報の出どころを話すわけにいかないのなら。ついていくことも難しくなる。これが伝説の勇者から与えられた情報と話せば、国にも動いてもらえるのが。。。。

 ティタニアさんよ。苗木の件は、リュウ君意外にサポートがいると思うのだが、これ以上人に話すのはやはりダメなのか?」

「ええ、いけません。秘密は少なければ少ないほどいいです。あなた方が他者に秘密を洩らさないと信頼した上でお話したのですから。」
「そうか、ではリュウ君苗木の件と、伐採の件は君に任せたよ。私は私の方で今聞いた情報で何か出来ないか考えてみるよ」

「ええ、わかりました。出来る範囲でその件お手伝いしてみます。」
「リュウ兄ちゃん。私も一緒に行くよ。」

「えっ、ダメだよ。チル。今回みたいに魔族が襲ってくるかも知れないんだよ。僕一人なら、なんとか逃げたり、凌げたりするけど、チルを守りながらだと厳しいよ。それに宿屋の手伝いだってあるだろ。チルが抜けたらまずいじゃないか。」

「私だって、魔法は少しだけど、使える。宿屋の手伝いはおかみさんに言えば大丈夫だよ。新しい人を雇ってもらえる。宿に住まわせて、ご飯もらっている変わりにお仕事手伝ってたから。それに、ティタニアちゃんをどこに入れて連れて行くつもり?」

「そうですね。私もチルには着いて来てほしいと思ってます。身体がもう少し回復すれば、精霊術を使う事も出来ますし。
 (それに怪我をしていたとはいえ、普通の人に精霊族は見つけらないはずなんだよね。見せようと思わない限り、見えないはずなんだ。何かしら精霊にゆかりがあるかもしれないしね。)」

「は~~二人がそうまで言うならわかったよ。でも戦闘に関しては僕の指示に従ってね。逃げろといったら、逃げてね。」
「わ~~~い。リュウ兄ちゃん好き♪」
「ありがとうリュウさん」
「では、グラマンさん準備が出来次第、まずは精霊樹の苗木の件を解決しに3人で行ってきます。」

しおりを挟む

処理中です...