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第12章 人間と物の怪の懇親会

【107】懇親会の終わり2

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「食べるにゃ。食べてみたいにゃ。フグヒレ」

「よーし分かった。じゃ~、僕とミリィの分を、一枚ずつとヒレ酒用に1枚焼いてみよう。」


「ニャーニャー」

 それから僕たちは、椅子に座りながらじっくりとフグヒレを炙った。その隣で日本酒を熱燗していく。

 炙ったヒレの旨味成分が染み出す温度が70度らしいので、そこまであっためる。

「いい香りがするにゃ?もう、いいかにゃ?」

「そうだね。少し焦げ目もついてきたみたいだから、これ以上やると苦味が多そうだしね。」

 炙ったヒレを、燗した日本酒にダイレクトイン。

「ぽちゃん」


「でこのコップの上にアルミホイルを被せてしばらく蒸らせば……フグのヒレ酒の完成です」

「にゃにゃ。出来たにゃ。ミリィのヒレ酒が出来たにゃ。」

「ささっ、ミリィ殿。こちらかヒレ酒になります。」

 僕は、コップを両手で持って、ミリィの所に持って行きそっと手渡す。

「かたじけないにやー。ご主人」

「さっ、ミリィ殿。まずは一口ぐいっと」

「にゃ。こくっ。うにゃー。フグの味が日本酒に染みてなんともいえないにゃー。美味しいにゃー」

「そうでございましょう。ミリィ殿。美味しかったみたいでよかったよ。ミリィ。で、後はこの炙ったヒレを、どうぞ。」


「うんミャー、じゃー頂くにゃー。」

 お皿に乗った、ヒレを手で摘んで口の中に入れる。

「カリッカリッ」

「にゃにゃにゃー。小魚の煮干しのお菓子食べてるみたいにゃ。ヒレ酒より、フグの味がとっても濃厚にゃ。ミリィはこっちのほうが好きかにゃ。」

「へーとれどれ。僕も一つ。」

「ポリポリ」

「うん、小魚の煮干しバージョンってイメージだね。僕はヒレ酒の方がいいかな。ミリィはお酒飲んだけど、体調大丈夫かい?」

「うみゃ~。なんかいい気分にゃよー。でもお酒はしばらくはなくてもいいにや。あっ、ヒレ酒の残りはミリィがちゃんと飲むにゃ~」

 あちゃー、さっきはまともだと思ってたのに。もう酔っ払っているよ。ミリィの顔もほんのり赤くなってきてるし。あっ、そういえばネットでヒレ酒を検索した時に、お酒に火をつけてアルコールを飛ばすってやり方も書いてあったな。

 もう遅いけど、これ以上ミリィが酔っ払あと、大変だし…。

「ミリィもう少しお酒入れるからちょっとコップ借りるね。」

「うにゃー。どうぞにゃ。」

 前回のマタタビ酒の時は取り上げるとごねたけど、今回は大丈夫そうだな。今回のは、アルコールだけで酔っている分前回のよりは大分ましだけど、それでもミリィはお酒に弱いな。コップで日本酒の熱燗一口、二口で酔うとは。

 マッチは臭いが作って書いてあったけど、他に火をつけるものもないし。

「ポッ」と

 日本酒に火を近づけた。ちょっと火が灯り。すぐにおさまる。

 これでアルコールは飛んだはずだから。ノンアルコールのヒレ酒の出来上がりだ。

「はい、ミリィ、お待たせ。ヒレ酒の追加ですよ。」

「ご主人、ありがとにゃー」

「ごくっごくっ」

「ふんにゃー、さっきのヒレ酒よりも美味しいにゃー。全部一気に飲めたにゃ。もうないにゃー?」

「ああそれで最後だよ。」

「ふんみゃー、そうかにゃ。ちょっと残念にゃ。またの・み・た・い・・・」

 ありゃ、最後まで言わずに机に突っ伏してしまったぞ。今度からミリィには、お酒は与えない方が良いな。まーアルコール中毒にもならないと思うし、少し時間が経ったら戻るとしようか。

 ふーっ、明日からまた仕事だな。来週には2階の雪山ダンジョンを解放していくから、そろそろ告知をして、少しずつ情報をお客さんに流していく必要があるな。

 そうすると、ホームページの更新、にゃんスタへの投稿、今現在来ているお客さんには、掲示板にチラシを貼って情報を流していこう。ただ、一回の受付フロアって、基本人が留まる用に考えてないから、足を止めて読んでもらうと受付ロビーが混雑するからな。

 人通りの多い場所にチラシを置くのは王道だけど、通行の邪魔になる所に置くのはNGだよな。となるとここも一工夫しておかないとね……。

 それと明日から、天魔さんと小咲ちゃんににわかプログラマーでもできる事務の改善の仕方を教えていくから。それの資料の準備をしていかないとな。

 うちの勤怠システムは、パソコンでの打刻式としている。初めは、他の支店と同じ用に、タイムカードを装置に通して、時刻を打刻する方式をとっていたのだけれど、それだと、Excelに時間を転記入力するのが手間だし、ミスも発生しやすいのでやめたのだ。

 今後有給の管理や残業時間の管理もしていく必要がある。今は人員不足で、総務系の仕事は全部僕の手でやっている。少しずつ小咲ちゃんに回す予定ではあるけども、それでもシフトを考えると、人手が少ないので専門でずっとしてもらう訳にもいかない。

 市販のソフトを導入することも考えたけど、消費税が変わったら、システムを交換しなきゃいけないとか聞いたことがあるので、その度にシステムを、交換し、操作を覚え直すのは面倒なんだよ。

 その辺は、実家でしていたから少しはノウハウがあるので、必要な時に使える様に少しずつ機能を追加していけばいいかなと思う。
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