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第12章 人間と物の怪の懇親会

【105】人間と物の怪の懇親会5

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「あっごめんナナちゃん。お肉焼くのに夢中になって話しを、聞いてなかったよ。」

「もうトシ君。お肉焼くのはいいけれどちゃんと話を聞いてないとダメじゃないいの。まーいいわ。今年の七夕に起こったタイムスリップのことを話していたのよ。」

「あーそのことかって、ナナちゃん。それって僕とナナちゃんの二人だけの秘密にするって言ってたやつじゃない?」

「ヘヘッ。ごめん。ウィーンさんが七不思議に興味ありそうだったんで、話の流れで話ちゃったわ。てへっ。」

 可愛いらしく時渡さんが舌をちょろっと出して、頭の上にこぶしをコツンとする。

「皆さん。ここだけの話にして下さいね。この話が世間にばれると、取材とかで大変な目に合いそうですから。」

「天宮君、そういうということは、本当にあった話なんですか?」

 僕も天魔さんも、雪那さんも小咲ちゃんもびっくりして、食べるのをやめて、天宮君の方を注視している。物の怪の中でも、時を遡るものはそういないし、会うことなんて、全くないんですよ。

 でも、時を操る物の怪って、そういえば朝活でりんたんが何か言ってた様な。でも、多分あれは時間の流れを遅くするとか、早くするで、時間遡行ではないだろう。
 
 そもそも時間の流れを変えるということ自体がフィクション、創作上の産物である。タイムテレポートとかタイムパーテション、タイムトラベル、タイムスリップなんかは、映画や漫画でしか聞いたことはない。勿論、僕がまだ幼い吸血鬼故にそう言ったことを知らないだけかも知れないが……。

 でも、周りの反応を見るとやっぱりあり得ることではない事態の様だ。勿論、これが本当かどうかなんて分かりっこない。天宮君のこの反応が演技の可能性だってある。でも、時間を飛び越えて移動できたらきっと面白いだろうな~。歴史上の有名人に会えるかもしれないし、ダンジョンマートの創立時に立ち会うことだって出来るかもしれない。

 天宮君が小声で喋るので、僕たちは。焼肉の網の上に顔を寄せた。雪那さんは、耳を当てがうことしか出来なかったようだが。肉の煙の上に顔を寄せているので、服に匂いが染み込まないといいけど。

「ホントここだけの話で、お願いしますね。僕たちの神宮寺高校の7不思議を追ってた時に、24年前の学校に飛ばされたんですよ。」

「そんなことがありうるんですね。それにしてもどうやってタイムスリップしたのでしょか?それに今ここに時渡さんと天宮君がいるということは、お二人は過去に一旦飛んでまた戻って来たということですよね。」

「それに関しては分かりません。七夕の日に短冊にかけていた願い事が、叶ったということぐらいです。それも24年前と私達の願い事がたまたま偶然重なって出来たので。あれから何度か試しましたが過去に戻ることは出来ませんでした。おそらくですが、七夕の日に短冊にかかっている願い事が実現するのかと。」

「ほうほう、と言うことは通常ならタイムスリップはあり得ないことだけど、短冊が願い事をしたから叶えてくれた。ありていに言うと、彦星様と織姫様が願いを実行してくれたとそういうことですね。」

  天魔さんが、彦星様とか織姫様と言っているけど、どう言うことだろうか?何か超次元的な存在でもいるのか?それとも姿を、隠している物の怪の名前だろうか?

「おそらくですけど、そういうことかと思いますね。」

「ねぇ~ねぇ~、にわかにはそんな現象があるとはとてもじゃないけど、信じられないんすけど、物証とかはあるんですか?」

 時渡さんが天宮君に視線を送り、それに対して天宮君がこくんと頷く。そして、時渡さんがカバンからスマホを取り出して、見せて来た。

「写真と新聞の日付ですので、物証と言うには少し信憑性が低いですが24年前の新聞の日付とその時に撮った写真です。」

「あっ確かにに24年前の7月7日の新聞ですね。でも、これだと物証としては確かに乏しいですね。現代のテクノロジーでは、このくらいの加工なら素人でも、調べて出来てしまいますからね。」

「そうなんですよね。現代の科学技術が発展し過ぎた手前、超常現象の証拠の提示が難しくなってしまいましたから。公表しても、炎上の可能性も勿論あるので………。」

「それが賢明な判断ですね。それでも、私はこれを信じますよ。夢がありますし、何よりそれをわざわざ私達に言って騙しても何もいいことはありませんからね。」

「もっともです。信じてもらえそうな人達に秘密をお願いして、少しだけ秘密を分かち合うぐらいですね。」

「はっはっはっはっ。それがいいです。それにしてもタイムスリップですか、出来ることなら一度はしてみたいですね。」

 その後は、タイムスリップやタイムトラベルが出来たら、どの時代に行きたいか?どんなことをしたいのか?について延々と話していた。勿論話の中心は、超常現象が好きな時渡さんです。天宮君は話を、聞きながら、せっせせっせとお肉を焼き続けています。

 こんなのんびりと会話が楽しく出来るので有れば、バイトさん達と定期的にしても良いかもしれないな。特にダンジョンについて聞かれることもなかったし。物の怪について何かを聞かれることもなかった。

 ただ、二人が真相究明倶楽部をしていること、超常現象に物凄い興味を持っていること(時渡さんのみ、天宮君は、興味があると言うより、時渡さんのお目付役のような感じだ。)がよく分かった。その異常な、高さの興味が有れば、ダンジョンについても調べたいとも思うし、部活動してしているのも頷ける。

 まー最悪ばれた時は.………。被害が拡大する前に僕が手を打とう。二人には悪いけどその時はいらないことに首を、突っ込み過ぎたと思ってもらうしかないかな。
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